見出し画像

(ある意味)推しを世間に布教してくれた本


今、あの有名な本を読んでいます。


アドラー心理学が、大好きで。
なのにこれまで、一番有名ともいわれる「嫌われる勇気」は、読んだことがなかったんです。


でも逆に、読んだのが今でよかったかもしれない。
この本の、とんでもなくスゴいところを、リアルに実感しています。


私なりにそのスゴさ、読書感想文としてざっくりまとめてみました。



1.流行りをつくった


この本の初版は2013年。
ちょうど10年前でした。

今でこそアドラー心理学ってかなりポピュラーになっているけど、当時は結構、認知度低めだったんです。

私の場合は保育の観点でアドラーを知り、その後アドレリアンの教授のもとでも少し学びました。

心理学が学びたくて大学へ行ったのに、それでもフロイトやユングに比べて、アドラーなんて俄然マイナー。そのマイナーさも、魅力だったりしましたが(笑)

アドラーってなに?って聞かれると、正直いつも、説明に困ってました。


「嫌われる勇気」の、1つめのスゴさがまさにそこ。

アドラーということばを、世間に浸透させてくれた。



おかげで、質問されても「嫌われる勇気っていう本のやつ!」って答えるだけで、なんとなく会話が成立するようになりました。(笑)


これって本当に、めちゃくちゃ有難い。

わりとマイナーなジャンルに推しがいる人なら、この気持ち、わかってもらえるんじゃないかなー。
「関ジャムで紹介されてた人(が、推し)だよ!」みたいな。
うーん、これは伝わりづらいかな(笑)


でもこの本が存在する・・・・世界線と、存在しない・・・・・世界線があったとしたら、前者で本当によかったと思う。
考え方がかわった人、仕事の幅が広がった人、救われた人が、たくさんいます。


2.見た目のスゴさ


そもそも「嫌われる勇気」って、なんといってもタイトルがすでに魅力的ですよね。

パっと見の、インパクト。



もちろんそれまでにも、アドラー心理学の本は色々ありました。だけどそれらはいかにも専門書、といった感じだったり、そもそも最初から興味を持っている人じゃないと、手に取らないような仕様でした。
読んじゃえば、面白いのに。

でもこのタイトルなら、アドラーなんて知らなくても、興味なくても手に取っちゃう!

あえて逆のことを言ってみるってやつですよね。
大抵の人は、人に好かれたいと思っているはずなのに。
勇気をだしてまで、わざわざ嫌われにいくって、どういうこと?

おもわずページをめくりたくなっちゃう!


そして、あの表紙。

きれいなブルーの表紙には、大きく読みやすい白で「嫌 われる 勇気」と書いてあります。
それに比べて「自己啓発の源流 アドラーの教え」という文字のフォントは、作者名ぐらい小さいくて、色のせいで認知しづらい。(逆に目立つとも言える)

書店には、たくさんの本がならんでいるけど。
なんだか妙にオーラのある、へんてこタイトルは、興味をそそる。
なんなの? コレ、なんの本なの??って。

おもわずページをめくりたくなっちゃう!!




3.中身のスゴさ


そうなったとき、さらにたたみかけてくるのが、あの書き方です。

対話篇というアイディア。

小説のようにストーリーがすすんでいく。


最近はマンガになっていたり、わかりやすい書籍がどんどん増えてきましたよね。
嫌われる勇気は、その礎になっているとも思われます。



アドラー心理学には、ライフタスクとか家族布置とか劣等コンプレックス、勇気づけ、などなど、
実はパワーワードになる用語がたくさんあります。

もし私がこの心理学の本をだすなら、それらをひとつずつ説明していく形をとるでしょう。
だけどそれって、ツマラナイ。(もちろん技術によりますが)

しかも当時はアドラーなんて、だぁれも興味をもってない。
そんなときに、教科書みたいなかたちの本をだしたって、大勢の人に読んでもらえるわけないんです。



そこでこの本の、個性が活きます。

会話形式だから、読者は、登場人物の会話を聞いてるだけでいい。

それだけで手軽に、岸見一郎先生のアドラー講義が受けられちゃいます。


登場するのは、2人だけ。

納得できないと理詰めで防衛。人の視線を気にしすぎて、周囲とうまく関われない青年。

人はだれもが、今日からでも幸せになれると説く、温和だけれどハッキリとした言葉をもつ哲学者。

哲学者のはなしをきいて、青年がこれまでの人生や考えかたを、回顧していくストーリー展開です。


でてくるエピソードを、自分の過去に重ねてみたり。
哲学者にめちゃくちゃ噛みつく青年に、心のなかでツッコんだりしているうちに(笑)どんどんどんどん、読みすすめちゃう。


もー、会話劇ってすごい!
なんて画期的なアイディアなんだ!


4.真のスゴさ


しかも会話劇って、パっと見で読みやすそうって、感じられますよね。
本の購入って、ペラペラめくってみたときの視覚的な情報も、判断材料になったりすると思うんです。

だから、売れる。
そりゃ爆売れです。


でも。
実はこの対話形式って、読みやすいのに、書きづらい。

最近わかりやすい文章を書きたいと悩むようになって、初めて気付いたことですが、会話を本にする時には、ただ話していたセリフを文字に起こすだけじゃ、ダメなんです。


話し言葉と書き言葉って、実際はまったくの別モノです。
この本を手がけたライター、古賀史健さんの著書「20歳の自分に受けさせたい文章講義」のなかでも詳しく述べられていました。
細かい技が、たくさん散りばめられてるんです。




そこが、この本の真のスゴさ。

アイディアやインパクトだけ、じゃない。

岸見先生の豊かな知識と、古賀さんの確かな技術の合わせ技。



たくさんの経験から培われてきた、それらがあったからこそ、この本は大ヒットへと繋がったんです。






いやーほんとにすごい!さすが文章の達人だ。

これをカタチにするのに、どれだけの時間や労力がかかったんだろう。とか、読みながらおもわず考えました。
ブックライターの仕事もしたい私にとっては、感動が大きすぎてちょっと泣きそうになってしまいました(笑)めっちゃカロリー使いそう…。
とはいえ古賀さんの苦労を買うことなんてできないし、ワタシは私のキャパにあった、できることをコツコツ頑張る。うん。



と、いうことで、あと残りの40ページ。
読みに戻りまーす。
あのだいぶこじらせ感つよめの青年が、ここからどれだけ、カチコチ頭をやわらかくしていけるのか。どんなラストが待っているのか。
楽しみだー!

読んだことがある人も、ない人も、この機会にゼヒ感想教えてくださいね!


#読書感想文

この記事が参加している募集

読書感想文

人生を変えた一冊

スキ、フォロー有り難うございます。とっても嬉しくて励みになります!いただいたサポートで新刊の本と本棚を購入したいです。整理できない本が山積み…