DPRK CARS

北朝鮮の自動車についてあれこれ書く予定です。素っ気ないブログとして使用していますのでご…

DPRK CARS

北朝鮮の自動車についてあれこれ書く予定です。素っ気ないブログとして使用していますのでご了承下さい。ツイッターアカウント @DPRK_cars

最近の記事

平壌に新たに導入された新型ダブルデッカーバス「平壌-816」

・概要 2022年12月12日、KCTV(朝鮮中央テレビ)は平壌の様々な路線で新型ダブルデッカーバスの運行が開始されたと報道した[1]。このバスは、2021年10月に開催された国家産業美術展にて図案とスケールモデルが展示されたバスと同一である[2]。フロント上部にデジタルで表示された時計が特徴的だ。平壌市旅客運輸総合企業所と平壌バス工場等の関連工場が製造したと見られる。 新型ダブルデッカーバスの子細について、The Pyongyang Timesでは座席数78としているが

    • 金星トラクター工場 チョンリマ-804

      ・概要 チョンリマ(千里馬)-804は、2016年に開発が完了した新型トラクター。金星(クムソン)トラクター工場の現在の主力生産モデルである。 チョンリマ-804は2016年5月8日に初めて公開された。北朝鮮メディアは100%自国技術で開発した自力更生の創造物と主張しているが[1]、外観と特徴的なカラーリングから、CNHインダストリアル傘下の農業機械・建設業機械ブランド「ニューホランド」が生産しているトラクターを模倣したものであることが分かる。より厳密には、CNHグローバ

      • 北朝鮮の三菱i-MiEVコピーの太陽光蓄電池自動車

        「太陽光蓄電池自動車型図案」(朝鮮の今日) 2022年2月から3月中旬までにかけて金正日の生誕を記念して開催された光明星節慶祝産業美術展示会で公開されたイラスト。外観は三菱i-MiEVに酷似しており、ルーフにはソーラーパネルが背負うように備えられ、何故かオーバーフェンダー化されている。「朝鮮の今日」に掲載された画像によれば、 技術的特性 ・人数:3人 ・用途:観光用 ・重量:500キロ ・充電時間:1時間  ・放電時間:8時間 とされ、環境保護やエネルギー

        • 楽元機械連合企業所

          楽元(ラグウォン)機械連合企業所は重機等を生産する代表的な工場。かつては小規模な農業機械工場だったが、戦後間もない1945年9月1日には農機具を生産する新義州機械製作所となり、1947年1月1日に楽元機械製作所に改称。1954年5月5日(1952年とも言われる)に楽元機械工場と改め、朝鮮戦争後にはクレーンや掘削機の生産を開始。1958年に最初の千里馬号ショベルを生産した。1963年に長白号(チャンベクホ)マイニングショベル、1980年にリープヘル製ショベルがベースと見られる楽

        平壌に新たに導入された新型ダブルデッカーバス「平壌-816」

          万里号

          一作品のみに登場するブルドーザー。2006年の朝鮮映画「발자욱」(足跡)の序盤にて、室内で登場人物が会話する背後にこのイラストボードが置かれている。判別しにくいが、만리호(マンリホ)という名称と見られる(imcdbでは万景号としているが、この場合のハングルは만경호である)。 下画像の拡大図 出番はこの序盤のみで作品自体に一切絡まないため、どのような意図で登場させたのかは不明。ベースも不明だが、ソ連のChTZのT-130は細部こそ違うがやや似ているため、海外製ブルドーザーを

          平和自動車 フィパラムⅠ

          フィパラムⅠ(または単にフィパラム)は平和自動車で最初に生産された小型セダン。イタリアのフィアットが発展途上国向けに輸出するシエナを輸入、セミノックダウン生産したものである。シエナはウーノをベースに、フィアット178という世界的なプロジェクトに基づいて開発された。当初は南米市場向けにブラジル工場で1996年に生産され、21世紀に入ると中国やベトナムでも生産が開始された。平和自動車の大元の統一教会はベトナムにメコン・オートという自動車製造会社を持ちそこでフィアット車製造を行って

          平和自動車 フィパラムⅠ

          北朝鮮のスマート・フォーツー及びフォルクスワーゲン・ニュービートルのコピー

          このどう見ても明らかにスマート・フォーツーとわかる自動車は、2018年4月6日に開幕した太陽節祝賀国家産業美術展示会でイラストと模型が展示された。 スマート・フォーツーに酷似した謎の自動車(Twitter) これに加えて、フォルクスワーゲン・ニュービートルに酷似した自動車のイラストも展示された。 太陽節祝賀国家産業美術展示会(わが民族同士) 朝鮮版スマートの概要を見ると、 ・蓄電池乗用車 ・全長2910mm、車高1785mm、車幅1830mm ・技術的特性…車重

          北朝鮮のスマート・フォーツー及びフォルクスワーゲン・ニュービートルのコピー

          楽元機械連合企業所 万景号

          万景号(マンギョンホ)は重機の代表的な工場として知られる楽元(ラグウォン)機械連合企業所が生産したブルドーザー。1971年発行の切手にイラストが描かれており、主体62(1973)年3月24日に万景号と命名されたという。キャプションによれば300馬力とのこと。 この情報が殆ど無いブルドーザーだが、外観からソ連で1961年から量産されたチェリャビンスクトラクター工場(ChTZ)のDET-250というブルドーザーをコピーまたノックダウン生産した可能性が高い。DET-250は戦後よ

          楽元機械連合企業所 万景号

          最初の国産自動車の第一歩:勝利58

          勝利58は北朝鮮で最初に生産が開始された自動車である。1950年創立の勝利自動車工場(正式には勝利自動車連合企業所)は、1958年に第一次五カ年計画に基づき、自力で僅か40日で勝利58を製作したというのが北朝鮮の主張だ。 勝利58は外観から分かるように、ソ連が戦後すぐの1946年から1975年にかけて生産した2トン貨物トラック、GAZ-51のコピーである。元々はフォード製トラックをライセンス生産したGAZ-AAの後継として計画され、1939年にGAZ-11-51として最初の

          最初の国産自動車の第一歩:勝利58

          北朝鮮の新しい自動車工場・自動車合弁会社

          北朝鮮は古い歴史がある勝利自動車工場やかつて韓国と合弁で設立した平和自動車を除けば、バス工場などが細々とある程度で目立ったものはなかった。 しかし現在、北朝鮮は中国との合弁会社や新たな自動車工場創立の流れが強まっている。この動きは2010年代に入ってから急速に見られ始めた。ここではそれらの合弁会社に簡単ではあるが触れていく。 ・チョンプン(清風)合弁会社2012年の第13回平壌春季交易会に参加しており、少なくともその頃から活動していると思われるが情報は皆無だった。しかし、

          北朝鮮の新しい自動車工場・自動車合弁会社

          北朝鮮の自動車工場:勝利自動車工場

          勝利(スンリ)自動車工場の正式名称は勝利自動車連合企業所といい、北朝鮮で最も歴史のある自動車工場である。その母体は1950年11月に設立とされる徳川(トクチョン)自動車工場だ。工場がある徳川市はかつて朝鮮戦争中、兵站基地として中国がいくつか施設を建設していた場所でもある。その市内の、金日成が命名したという標高404mの勝利山(スンリサン)の麓に工場が建設された。 1958年、チェコスロバキアの支援を受け同国初の自動車として勝利58トラックを生産した。このトラックはソ連製GA

          北朝鮮の自動車工場:勝利自動車工場

          北朝鮮の謎多き試作セダン 白頭山

          白頭山の名前を冠する車というと以前取り上げたメルセデス・ベンツW201のコピーがあるが、実はもう一つ別の白頭山という車が存在する。日本では恐らく殆ど知られていない一台である。 https://note.com/chosunautomobile/n/n24aba74f6503 この白頭山が最初に目撃されたと思われるのは、1979年にアメリカ人ジャーナリストのブラッドリー・K・マーティンという人物が訪朝した際のこと。彼は平壌の社会主義建設成果展で手造りのセダンを見たといい、ガ

          北朝鮮の謎多き試作セダン 白頭山

          北朝鮮の自動車 メルセデス・ベンツのコピーについて

          北朝鮮の自動車産業は周辺国と比較すると貧弱かつ初歩的と言わざるをえない。他国に頼らず独力で産業を推進させる「自力更生」のスローガンを掲げるが、現状は特に中国車を輸入してセミノックダウン生産、あるいはエンブレムを付け替えて販売しているだけだ。以前までは韓国との南北合弁会社である平和(ピョンファ)自動車工場で中国車、更には韓国車やイタリア車の一部を生産していたが、2012年に経営元の統一教会が自動車事業から撤去したことでそれは潰えた。 その代わり平和自動車工場は2013年から中国

          北朝鮮の自動車 メルセデス・ベンツのコピーについて