見出し画像

デザイナーによるコミュニケーションのすゝめ

デザイナーほどコミュニケーション能力が求められる職業があるでしょうか。

一日の日課を終えて、他の方々の業務報告を見ると、業務内容確認、各所連絡、ミーティングなどが必ず入っていることに気づきます。
分からないことは質問し、結果を報告。開発者にデザインの意図を説明するための会話も、昼食中の日常的な会話もします。 普段は対面で話して、大切な内容や長文はメールで説明します。
自分の一日を考えてみても、業務時間を全てデザイン作業に割けるわけではありません。作業以外の時間は、常に誰かと話をしています。

このようにデザイナーの日常は多様なコミュニケーションの連続です。

では、良いデザイナーに求められる要素は何でしょうか。参考用デザインを探し、最新のデザイントレンドにアンテナを貼り、1ピクセルにこだわります。このような過程が重要なことは言うまでもありません。
しかし、状況に合わせて言語を選択し、他人の共感を導くこともそれに劣らず重要です。 デザイナーはデザインに対して、長時間を費やすことに慣れています。
しかし、皆さんはこのようなコミュニケーションに対して、時間を避けているでしょうか?

今回は、デザインには自信がある反面、それを伝えるコミュニケーション力に自信のないデザイナーの方々に対して、より良いコミュニケーションの方法を紹介したいと思います。

1.親切な説明

誰かにデザインを紹介する時には、レビューを受ける時は意図、目的、コンセプト、期待効果などをまず伝えることが大切です。
先日、上司に改修したデザインのレビューを受けた際、いつものようにこんなデザインを作成しました。ご確認お願いいたしますと送りました。
デザインを言葉で説明するのが難しいため、悩む時間がもったいなかったからです。
その結果、どこの部分を改修したんですか?という返事をもらいました。しまったと感じたことを強く覚えています。
このデザインをなぜ作り、どんなことを意図したのか、それによって得られる効果は何なのかを説明できることが、デザインをすることと同じくらい重要であると考えます。

2.スピーキングとリスニングは3:7

コミュニケーションの専門家は会話の際、リスニングを重要視します。 スピーキングとリスニングの理想の割合は3:7。たくさん喋ったからといってコミュニケーション力は高くならないということです。ここには二つの理由があります。

1点目は、話す比重を減らせば考える時間が多くなり、これは失言の減少につながるからです。周りに口は達者ですがミスが多い人たちがいるでしょう。その多くがグッドリスナーでないと思います。
2点目は、言葉の割合で相手が対話を主導しているように感じるからです。よく聞いてあげるだけで相手は「この人は私の話に耳を傾けてくれるんだな」と考えるようになり、これは好感度の上昇につながります。仕事での仲に限らず、聞き取りの比率を高めて絆を形成する必要があります。それだけでコミュニケーションが一層簡単になります。

3.エレベーターピッチ

エレベーターピッチ(Elevater Pitch)という言葉を聞いたことがありますか。
シリコンバレーの代表が投資家と一緒にエレベーターに乗った時、投資家を虜にするための30秒~1分の会話を意味します。
コミュケーションの専門家は、ほとんどの人が15秒しか他人の話が聞けず、最初に提示された情報の方が後に提示された情報よりも記憶に影響を及ぼすと言っています。
心理学ではこれを「初頭効果(Primacy Effect)」といいます。
これらを踏まえて、仮にエレベーターで相手の興味を瞬時に引き出すためには何が必要でしょうか。
答えは、結論から話すということです。
例を挙げましょう。

A. サイトでボタン色を変えてバナーの比重を増やす必要があります。 デザインリニューアルは売上の一助となると思います。
B. デザインリニューアルは売上の一助となると思います。 サイトでボタン色を変えてバナーの比重を増やす必要があります。

どちらがより響きますか。
また、このような初頭効果を必ずしも会話に限定する必要はありません。例えば、プレゼンテーションを始める際、言葉より強烈なイメージ一枚を使うことで注目度を高めることができます。

4.クッション言葉

配慮なしに渡された情報は迷惑メールのようなものです。
論理的ですが、他人の自尊心を傷つける人がいます。会社で会う人たちは一日二日と会う関係ではありません。彼らと良い関係を維持したいなら、むやみに論理だけを展開してはいけない場面があります。
これを解決する方法として「クッション言葉」があります。すぐに情報を伝えるのではなく、絆を呼び起こす資源をまず活用することです。
この時、相手に関する内容が効果的です。例えば、「弟さんの結婚式はどうでしたか?」のようにです。もし情報が限られている場合なら、今日着ている洋服に対するコミュニケーションでもいいです。それさえもなければ天気の話でもしたらどうでしょう。
クッション言語を先に話すだけで、論理だけでは不可能な信頼度が生まれます。そのような情報は迷惑メールになりません。人間はあくまでも感情の動物だからです。

5.勇気をもって話すこと

私たちは普通反対意見を出すことに消極的な傾向があります。相手を傷つけないようにするためです。
しかし、反対意見は相手を見下す行為ではありません。 反対意見を述べることで、より早く、より良い方向に進むこともあります。むしろ業務によっては、曖昧な態度が問題を起こすこともあります。人は思ってるより話し手の意図を把握するのが苦手です。意図が曖昧な話は相手を混乱させます。核心をうまく伝えるためには対話の中で自分が伝えたい情報を確実にする必要があります。
反対意見することを恐れず、明確に意見することは多くの練習が必要です。しかし、相手の意見に対して、「ここは素晴らしいと思いますが〜」などのクッション言葉を使えば、上手に伝わるかもしれません。

6.〜的、〜性、〜化を捨てる

私たちは的、性、化という接尾語を何気なくよく使っています。デザイン的、審美性、差別化などが考えられます。このような表現をよく使うと、言語に圧力が生まれ、対話が硬直しやすくなります。それは円滑なコミュニケーションを妨げます。考えてみれば、デザインに関する言語の多くかま接尾語でできています。可読性、連結性、概念的など、何気なく使う機会が多くないでしょうか。同じ職種間の対話なら大きな問題ではないかもしれません。しかし、デザインに対する理解が少ない人との対話を妨げる要因になりかねません。不要な接尾語を乱発すれば、異なる職種の方にとって、親切な会話であるとは言えません。頻度を減らす練習が必要です。

7.地獄への道は副詞で舗装されている。

The road to hell is paved with adverbs。(地獄への道は副詞で舗装されている。)

小説家スティーブン·キングが作家志望生のために書いた言葉です。
作文において副詞は無駄だから、すべて取り払えというのです。これは会話においても例外ではないと考えます。日常で「すごい」は習慣的に使われる副詞です。しかし、副詞を除いても意味は通じます。

ex)
これ、すごくおいしい。→ これおいしい。
すごくいい天気だね。→ いい天気だね。
すごく可愛い。→ かわいい。

デザイナーのコミュニケーションには「すごく」、「とても」のような副詞はない方が良いです。結果的に、主語と述語が近くなり、言葉に「強い力」が与えられます。

ex)
このデザインは売上に非常に良い影響を与えると思います。
 このデザインは売上に良い影響を与えると思います。
ex)
強烈な赤いボタンは購入誘導に役立ちます。
 赤いボタンは購入誘導に役立ちます。

8.沈黙という言語

デザイナーの原研哉は空白が空っぽではなく「可能性」だと言いました。
目に見えるの空白は、会話で言う沈黙のようなものです。発言前の沈黙は、考えを整理するためです。発言後の沈黙は、会話の相手を配慮するためです。
専門家たちは話す前後に2秒程度を割けと言います。切れてない話し方がいい話し方だという考えは誤解です。バラク・オバマ前大統領はアリゾナ州銃乱射事件の犠牲者追悼式で、次のように演説しました。

「彼女(犠牲者のクリスティーナ・テイラー・グリーンさん)の期待に応えたい。我々の民主主義は彼女が想像するものと同じくらい、立派なものでなければならない。」

そうして急に止まりました。沈黙が流れました。10秒後、彼は右側にいる人たちを見ました。20秒後、長く息を吐き出しました。計50秒ほどの厳粛な沈黙がありました。そしてまた演説を続けました。マスコミは最高の演説だと賛辞を送りました。長い沈黙には、言葉では言えない複雑な感情が込められていたのでしょう。
沈黙はコミュニケーションの一つの方法であり、一つの言語であります。

まとめ

私はデザインより対人関係やコミュニケーションでスランプに陥りがちです。
その中心にはいつも言葉があるからです。コミュニケーションに自信がなくて選んだデザイナーという職業は、何よりコミュニケーションが大事な職業でした。

いくら有能なデザイナーでも、自分のデザインをきちんとアウトプットできなければ成功できないと考えます。なぜなら、我々は芸術家ではなくデザイナーであり、結果的に作ったデザインを言語化し、説明することが求められるからです。
そのための強力なツールがコミュニケーションなのです。

もし、自分がコミュニケーションに弱いデザイナーであると思うなら、今回紹介した方法を今日から一つずつ実践してみてください。これらのうち一つでも実践することができれば、皆さんのデザインは、意図を伝達する役割を果たし、大衆性を獲得することで広く認められるデザインになるのではないでしょうか。
今回紹介した方法が皆さんのより良いデザイン作成の一助になれば幸いです。


\ Wizは一緒に活躍できる人を募集しています! /

UIUXデザイナーの募集

WEBデザイナーの募集


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?