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それぞれのハーモニーと、音楽の力

先日(確か金曜日)NHKのニュースでチラッと見かけた話題。

COVID-19で休業しているフランスのオーケストラの楽団員が自宅で「ボレロ」を演奏をしている動画、とにかく素晴らしいので見てほしい。

公式ツイート(フランス語)

この土日も、ずっと家にいたのだけれど、他の楽団でも同じようなことをしていて、それぞれの演奏をずっと聴いて(見て)日がなすごしていた。

ボレロももちろん素晴らしかったのだけれど、ベートーヴェンの第九の演奏はもう、とにかく胸がいっぱいになる。これも是非。

こういう時に聴くと、なんだかもうよくわからない感情のまま、涙がとまらなくなってしまった。でもたぶん、クラシック音楽ってそういうもの。ことばにできない感情がぐわあぁ~って呼び覚まされるのだ。

そんなわたしは高校時代、実はオーケストラ部に所属していてヴァイオリンを弾いていた。


――さらっと書いたが、なにか楽器経験があった訳ではない。
ピアノすら習ったことがなかった。なのに、である。いきなりのオケ。
常識的に考えればなかなか無謀なことであると思うのだけれど、若さってすごいね、部活の勧誘文句「未経験でも大丈夫です!」(オケだからとにかく人数がほしいってのもあったんだろうな)ってのを信じて入ったという訳。

やりたい楽器の第一志望はフルートだったのだけれど、二管編成といって管楽器はオケで二人、つまりそれぞれの学年で一人という狭き門で、じゃんけん(これもすごいよね。オーディションとかではなく民主的!)であっけなく敗退。第二志望の人数が多いヴァイオリン奏者になった。

それから猛練習の日々がはじまった。クラシック音楽は親の影響もあって結構好きだったこともあり、苦になるどころか毎日ほんとうに楽しかった。先輩だけではなく、卒業したOBやOGがかわるがわるコーチに来ては、全くの初心者のわたしたちにそれこそ文字通り手取り足取り教えてくれた。放課後は同じオケラ(オーケストラ部の略称)の友達と音楽室に直行していたのが懐かしい。
そんなこんなで、夏の合宿などをへて数か月後にはみんな何とか形になり、秋には定期演奏会をしていたのだ。

2年生の時にはコンサートミストレスをやらせてもらったこともある。絶対音感が人一倍すぐれた先輩に、最初のチューニング(コンサートの一番最初にオーボエのA(ラの音)に合わせてみんなが一斉に数秒音を出すアレです)をほんと心配されていたのもいい思い出。

たぶん、演奏自体は拙いモノだったのだと思うけれど、大勢で自分たちだけのハーモニーを生み出す、という醍醐味があのオケ部の最大の魅力だったのだと思う。

ひとりではそんなに上手でなくても、みんなでカバーし合いながら呼吸を合わせて音を紡いでゆく、あの瞬間が鮮やかに蘇った。

そして、それは今のこの状況とまったく同じ

ひとりでは無力かもしれないし、不安になることも多いけれど、それでも自分にできることをして、“信じる”ことが大切だということ

そして、ことばのない“音楽”にも人を勇気づけ、癒す大きな力があることも忘れてはならないと

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