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赤ペン先生

今日もまた、先週に続き赤ボールペンを一本使い切った。

採点業務というのはなかなか地道&アナログな作業である。
校正業のほうでは早々にApplePencilを導入したので、たくさん揃えていたフリクション(赤ボールペンだけでなく蛍光ペンなども使っていた)が一気にいらなくなった。けれど、答案だとそうはゆかなくて、皆が手書きしたものに、わたしも一枚一枚、手書きで赤を入れることになる。
これはたぶんなかなかの苦行であり、向かない人はすぐ匙を投げたくなる作業だろうと思う。なにしろ、数時間ずっと書きっぱなしなのだ。集中力ももちろん必要とされるけれど、物理的に“書く力”も必要になってくる(純粋に手が痛くなる)。そんなときは、あぁ、売れっ子のアイドルがサインをずっと書いているのってこんな感じなのねぇ、うんうん、お互い大変よねぇ、などと勝手に妄想して凌いでいる。

書くという作業自体はずっと仕事としてやっているので、筆圧を調整しながら(手に力がなくなったときは筆圧を弱くするだけでだいぶ楽になる)ダラダラと続けることができるのだが、最近困っているのが、赤ボールペンのインク問題である。

今私が使っているのは、某メーカーのものなのだが、そのインクの質があまりよくないのだ。キレが悪いというか、ダマになったり、そのインクダマが裏側まで若干染みたり(答案は両面なのでできれば染みてほしくない)、そして速乾性ではないのか、手にも結構ついてしまう。できるだけ気をつけていても、下手すると手だけではなくて、服とか「え、こんなとこに?」みたいな場所にインクがついてしまっていることがある。当然落ちない。だから家で採点業務をするときは、どうでもいい服、着古したTシャツなどのルームウェアで行うことになり、それもまたテンションが上がらない理由になる(まぁそれは仕方ないことかもしれないけど)。

このボールペンは自分で買ったものではなくて、これまた長年続けている某有名予備校での添削業務の際に送られてきたものだ。一時期、ものすごい量の答案を請け負っていたことがあり、答案とともにボールペンもいっぱい送られてきた。使い切れず、かといって新品を捨てるのもと思ってとっておいた。今やっている採点業務はクライアントが違ってそちらは赤ペンは自前(ふつうそうなるよな)なので、これまで溜め込んでいたものをせっせと使っている訳である。
ストックしてあったボールペンは2種類あって(予備校側の予算の都合とか取引先との関係?とかで送られてくるメーカーが途中で変わった)もう一つのほうは、そこまでインクトラブルがなかったはずなのだが、今使っているほうはとにかく手や答案が汚れてしまうので困っている。

ケチらずに書きやすいボールペンを買えば、と思われるかもしれないけれどどれがいいんだろう。
別に高機能とか高いペンである必要は全くない。何百枚と書き続けるにはとにかく軽くて持ちやすいのがいい(筆記具自体が重いとそれだけで手が疲れてしまう)。できれば水性インクのほうがいいことはわかっているが、それだとめちゃめちゃ減りが早い。長い添削人生で自腹を切って買っていた時期ももちろんあるが、すぐなくなってしまうので、仕方なくそれはやめた。線も細すぎないほうがいいのだけれど、太すぎると書くのは楽でも滲んで読みにくくなるのでバランスが難しい。
なんだかんだ比べてみて、誰もが「いちばん安い赤ボールペンってきっとコレだよね」ってわかる、シンプルなモノがやはりコスパ的にも一番よかった気がしているので、その替芯を買おうかなという気持ちがないわけではないがまだ家にはストックがある。貧乏性なわたしは、それを使い切ってからと思ってしまう。ただ、一年ほど前はまだこんなにある!と思っていたが、最近消費のペースが上がってきて残り数本になった。そろそろ次に何を使うのか検討しなければ。そんなに高いものではないけれど、自腹ってことになるのだし、やはり快適、かつ機能的なものを選びたい。

そう考えると、ApplePencilってやっぱりすごいなぁと思ってしまうのだ。
1万円超えの筆記具って!と買う時にはかなり勇気が必要だったが、それ一本で鉛筆、ボールペン、蛍光マーカーなど何役にもなる。重さと真っ白なデザイン(アホなわたしはピンクがいい)はちょっとネックではあるが、それをしのぐメリットがある。もちろん手も汚れないし、書いたり消したりも自由自在。修正液もいらない。書類も電子データなので汚す心配がない(紙だと飲み物をこぼしたら、とか気づかぬうちに油染みが、とかいうことがある)。もっというと、生徒が汚している答案(一生懸命格闘した結果なので仕方ないとは思うが、消しゴムのカスが付着してたり、これまたよくわからない汚れがついていることもしばしばある)にじかに触れずに済む。
すべて電子化するのは大変なのだろうとも思うけれど、答案をスキャンしてくれれば、そこに手書きでコメントを書き込むことは可能なので、デジタルとアナログの融合に落とし込んでほしいなぁ、と思う。

まあ、さすがにすぐその段階に移行するのは難しいだろうから、まずは筆記具の改善だ。近々、インクがダマになりにくくて、手につきにくい赤ボールペンを探す旅を始めようと思う。


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