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どうしてもハロウィンな君に逢いたくて~L'atelier à ma façon~

2日間続けて同じ店に通うことはあるだろうか。

馴染みの居酒屋なんかは当たり前だろうね。
スタバやドトール、タリーズなんかも、1日の中でひとつのルーティーンに組込まれたりしている。

でも、月に一度のご褒美に!
みたいなお店は、そう何度も行くものじゃない。

でも、行ってしまった。

2日連続で、L'atelier à ma façonのことを書いてきた。

これは、1日目、土曜日のお話。
さて今回私は、翌日の日曜日にもそこに行った。


1日目、10時15分開店のところ、9時半頃にお店に着いた。45分前である。
前回、9時50分くらいに行ったら2巡目になってしまって一層長く待つことになってしまったから、もう少し早めに。

それでも7組目でちょっとギリギリ…かな?と店内の席数を見て指折り数えながら順番待ちの名前をボードに記入した。

ん?
名前記入欄の横にも、食べるパフェの本数を書き込む場所が……。
よくよく読んでみると、
「ハロウィンパフェ限定7台」「黒胡麻パフェ限定5台」とのこと。

なっ……なんですと!?!?
黒胡麻パフェの方は食べない人もいるようで、5人目。セーフ。
ハロウィンパフェの方は――、
「1、2、3......7、は、はち……」
何度数えても、8人目だ。無理。

元々他の人のアップした写真で、ハロウィンパフェがあることは知っていた。素敵だった。それを……食べられないのか。

翌週に再チャレンジ、とも考えたのだけれど、翌週の土日って…30日、31日だぞ???もっと人気なのでは?急な予定が入るかも…そもそも、ハロウィン当日まであるとは限らないじゃないか。

どうしようもない事実に呆然としていると、一緒に来ていた人が提案をしてくれた。「他の人が注文しているのを見て食べたいなと思ったのなら、明日、もっともっと早く名前を書きにきなよ」

い…いいのか???そんな、いいのか!?!?
ああ、でも以前にもそんなことがあった。
アマファソンの前身とも言える中野屋。
友達と行った時は2時間待ちとかで諦めたのだけれど、私だけはどうしても諦めきれずに、翌日1人で並んだことを思い出す――。

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さあ、見たぞ。
素晴らしかった。羨ましかった。食べたかった。
だから、やっぱり翌日に再チャレンジすることにした。

お店の方に聞くと、名前を書くボードは7:00~7:30頃の、出勤した時に出すらしい。
だから、日曜日の7:30頃に――。
流石に一番かと思いきや、先に1人名前を書いていた。
スゲエ。

書き間違いをしていない?気持ちが高揚し過ぎて「書いた」という幻想を見ているだけなのでは??という不安を抱きながら、いや、でもしっかり書いたぞということを何度も確認して。お隣、二子玉川へ。

ちょうど改札を出たところに、8時開店のゆっくりできそうなカフェがあった。

NICOTAMA DAYS CAFE

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モーニングセットをスルーして、アップルパイ。
イートインだと温めてもらえるわけだが、そう、この「温めてすぐ」状態のアップルパイというスイーツがとんでもなく美味しい。

これは、そのまま時間が経つと油が出てきそうなパイ生地だと思ったけれど、すぐだとその絶妙なラインがグッとくる。バターがバターらしく、自然と舌に乗る。甘さが、旨みが、熱と共に染み渡る。美味しい。

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オレンジ色に透き通る林檎がゴロゴロシャキシャキと分厚く入っていて。
添えられたソフトは、なんとクレミア!
最近は色んなお店で使われるようになってきたけれど、名前が出てきた当初はレア過ぎて。初めて食べた時は嬉しかったなあ。
甘くてミルキーな、シルキーな、純白のひんやりがスッと自分の中に入ってくる。そんな繊細な味わいながらも、しっかりと軸のある味わいで、それは林檎のインパクトに全然負けない。

アップルパイと、素敵過ぎるコンビじゃないか。


そのお店でnoteを書いたり前日のパフェを見返してニヤニヤしていた。今の時代はマスクで口元を隠せるから変な顔をしていても…ってあれ??そういえばコーヒーを飲みつつだから、マスクしてない!!不審者だ!!!

でもまあ、端席で表情なんて誰にも見えないし、そもそも人は他者にそんなに関心がないから大丈夫って、誰かが言っていた気がする。誰だっけ?

そんなことよりも、私には開店時間前の、でも前過ぎると寒いから良いタイミングでアマファソンに戻るという重大な使命がある。

そしてそれは果たされ…紆余曲折が特にあったわけでもなく無事に、それは私の前にやってきた。

南瓜のモンブランとプリン、京番茶のジュレ ピスタチオのアイス、オーツミルクのパルフェ ハロウィン仕立てのグラスデザート

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この瞬間、私は何を思ったのだろう。
「うおぉぉぉ!!!」と心の中でテンション爆上がりで叫んだかもしれない。
「素敵だ……」とただ静かに、凪いだ心持ちで見つめていたのかもしれない。
分からない。

ただ、胸がいっぱいになった。

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もちろん上からも撮る。

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こんな芸術を、これからスプーンでゆっくりと壊し、口の中に運び入れてしまうのか。
なんたる背徳感。

しかしそれが、短い寿命の食べ物として生み出されたこの芸術の運命だから。私がその運命の行先の一つを見守ろう。


素晴らしい芸術を前にした時、ひとつ気をつけなければならない。いつでも思い出せるように、やはり写真には残したい。けれど、それだけに集中してはならない。それでは、誰かの撮った写真を見るだけと同じではないか。そんなことの為に苦労して足を運ぶわけではない。

ちゃんと自分の目で見て、香りを楽しんで、胸の高鳴りを感じて。五感をしっかりと意識して、自分だけの記憶として刻みつける。

写真は撮るけれど、そういうことも大切にしたい。

ハロウィンの怪しげな雰囲気を出すために、目の前で液体窒素を噴射する。
近いと服が濡れることまで心配してくれる配慮、優しい。


これもアマファソンの大胆な取り組み。
思い切り撮影を楽しめるよう、世界観を全力で生み出すディスプレイを用意する。でもそれだと食べにくいので、撮影が終わったらお皿をシンプルなものに変えてくれる。

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こっちも十分、雰囲気あってかっこよくて最高だけどな!!!

写真だと少し分かりにくいだろうか。
上に乗ったモンブランは、パフェの中心軸から少し横にズレている。
ちょっとアンバランスだ。

その不安定さが、ドキドキを生み出す。

最初に食べるのはやはり、月かな。
"月を食べる"とか……ああぁ、そこは「日常」ではない。いつの間にか、どこかの夢世界に入り込んでしまった。

月をかじった瞬間に口に広がる不思議な甘さは…ブランデー?

真っ黒な帽子のメレンゲ。
サクシュワッと、あっという間に消える。
甘い余韻が漂う。

最近、この「帽子」の形はちょっと興味深いなと思う。分厚い部分、薄い部分の両方を楽しめる。なんだそんな違い…お腹に入れば一緒だろう?と思うかもしれない。けれど、舌に触れるその厚みが異なると、味わいまでもが結構変わるのだ。面白い。

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箒の表現力、やばくない???
「カダイフ」という麺の一種らしい。

ワシャッとして、パリパリッと。広がり、繊細に砕け散り、…散り……やっべ、机に一部散らばってしまった。片付け片付け。

そういう新しい出会いとの感動が…あぁ、まだまだ先はあるのに、余韻に浸る時間が必要だ。箒の柄をポリポリ。ん?なんだか甘くてスパイシー。シナモンかな?

そうしてようやく、というかメレンゲたちを食べつつ既にちびちび頂いていたわけだけど…南瓜のモンブランに突入!!
なんだかこのパフェの顔っぽくない?その役割としても、ビジュアル的にも。

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南瓜クリームの中には、またまたアマファソンの魔法のようなメレンゲが身を潜め驚かせてくれる。ん?メレンゲ…だよね?見えないからこその、ちょっとしたドッキリ。サクッとした食感。
その下にムースがあるのだけど、普通、このサクッとフワッのモンブランの位置って逆なんだよね。
なんだ、これ。私の中の常識がひっくり返る。

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で。
正直に言おう。
この後、とんだ。

白、3層くらいあるじゃん。
もう色んなものが次々と口に飛び込んできてさ。
どれがチーズでどれがオーツ麦だったのか。

グラスの上の薄い板は、紫に彩られて分からなかったけどパキリと割りながら食べると確かなホワイトチョコ。
ピスタチオも美味しいし。トロリとキャラメルなんかも甘々でほんのり苦くて色々な素材と絡み合って、食感素材だってここで沢山出てくる。

下からは、スッキリと深く、今までの色濃い世界をサアッと透明に溶かしていくような京番茶のジュレが出てきたりして。

もう私の記憶は、このパーツがこうで…と綺麗に整頓できなかったのだよ。

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気が付いたらハロウィンの世界。
ただただ私は、その空気に流され踊らされ、なにやら楽しい雰囲気に酔っていく。難しいことなんて考えない。それで、それが、良いのかもしれない。

評論家のように「情報」を正しく伝え、何かの判断材料になるように分析した結果を述べるのであれば、それはもう「仕事」だ。
仕事なんて忘れちゃえ!!
ただ好きという気持ちだけ持って、楽しめばいい。


ハッとした。
再びやってくる、濃厚な南瓜世界。
色々な色々が踊り狂っていた世界はもうお終い。
シンプルに、南瓜の海に沈む。
静かになった。冷静になった。
美味しいね、うん、美味しい。
色濃い南瓜が、滑らにハロウィン世界に分厚い幕を引いてくれる。

グラスの最後は平らだから、「ああぁ…取れない!!!」というイライラも無く綺麗に食べて、ふうと一息。
ごちそうさまでした。


お店まで足を運んで、しかし食べたいスイーツが食べられなかった!
という悔しい思い出をもつ仲間は、きっと多くいることだろう。

そこで諦めるのもひとつの選択肢。
その日は別のメニューを頼んで、別の日はまた別のカフェに行ったなら、それはそれで新たな出会いもあるだろう。

一方で諦められなくてもう一度挑戦して。
そうして得られたスイーツもそれはまた新たな出逢いで、特別だ。
一晩寝かせた「絶対に逢いたい」と膨らんだ気持ちを乗せて、きっと一生忘れられない特別になる。

そういう選択もある。

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