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ザワザワを鎮めたかったから〜ゆとりの空間〜

ホッとしたかったのかもしれない。

昨日と同じように昼過ぎまで少し勉強をして、さてカフェに行こうと思った。でもなんでだろう。どうにも心がザワザワする。

4時頃に1時間だけ仮眠しようとして目が覚めたら8時だったからだろうか。今日返却する予定だった本を読み終えられなくて1週間延長してしまったからか。そんな風に頑張りきれなくて、本当は1年以内に転職なりなんなりで今の居場所を変えてやる!なんて啖呵を切りたいのに、先が不安で言葉にも出せないからかもしれない。それに、色々な小さな夢さえも叶えることなんて出来やしないと思っているから……。

あぁ、情けない、不甲斐ない。

いつも思う。
良い服を着て、素敵なカフェでのんびりと過ごして。全然相応しくないのに、そんなことしてる余裕はないのに。私は何をやってるんだろう。それでいいのかなって。

それでも今の私には普通より少し「好き」という気持ちが強いだけだから。それを手放すのが、たまらなく怖い。

それに、家で引き篭っているだけでは決して得られないものが、外の世界にはある。外で味わうカフェ巡りの実体験もそうだし、自分の足で地面を踏んで歩くこと、向かい来る冷たい風、街中に設置されたベンチの造形の工夫とか、すれ違う人たちの表情。流行のファッションや実際に活用されている新技術。この前あったはずの店は無くなり、なかった店が建っている。そういうものに対する肌感覚というものが、家でニュースを読んでいるだけでは分からない。世界から、どんどん切り離されていく。

無力感と焦りが、こんなにも不安にさせたのかもしれない。心が凄く、落ち着かなかった。

日比谷に、気になっていたお店があった。
このパフェのボードを見る度、今度行こうと思っていたのだ。

ゆとりの空間。
人気料理家・栗原はるみプロデュースのお店。

なんとなく、この方の料理には温かみがあるという印象を抱いていた。
それに、絶対美味しい、安心するようなチョコレートパフェ。これだと思った。
今の動揺した心に必要なのは、3,000円もするようなお高いデセールではない。この温もりだ。

誘惑もあった。

盛り合わせかあ・・・。
いいなあ、色々なスイーツ。

でも。
私はあのパフェの写真を見て、行きたいなと思っていし。なにより、バナナとチョコレートを組み合わせた王道中の王道なパフェを食べたかったのだ。


ブラウニーとバナナムースのパフェ

ミルクな茶色と濃い茶色。それに真っ白なクリームと、たっぷりのフレーク。完璧だ。

パフェに乗ってるチョコミントは、いつも迷う。ただハーブだし、きっとリラックス効果とか。

パクリとミントを口に入れた直後に、なんとなく紅茶を合わせて飲む。あぁ、ミントの正しい食べ方は、これかもしれない。パフェの構成からはどうしても浮いてしまう、あのスーッとした爽やかな味わいを、紅茶が丁度いい感じに馴染ませてくれる。

甘い甘いチュイールでたっぷり幸せに。
そしてチョコアイスやブラウニー、フッと消えるクリームは、それはもう「知ってた」という絶対的な美味しさ。知らなかったのは、前半の食べ応えの強さだ。

フレークが多いのは見た目からもよく分かるけれど食べてみると、どこからどう出てくるか、どのくらいの量をクリームやアイスと合わせるか、一口ごとに状況はどんどん変わる。加えて、ブラウニーなんかも、出てくる出てくる。

忙しい。
忙しいって楽しいのよ、と言わんばかりに、でも確かに楽しい。

そしてふと、食感の嵐は静まる。
チーズ、だろうか。スッキリと爽やかなフワフワムースほぼオンリーな層が出てきた。

落ち着いた。

…と思ったら最後に、お母さんが子供に対して「まだあるわよ〜?」といたずらっ子な顔をするように、たっぷりのフレークが出てくる。

驚くけれど。
なんだよ不意打ち〜なんて文句のように言いつつも、香ばしくてカリカリで甘くて美味しいそれが大好きだなあ、と思ってしまうみたいなフレークだ。


それで心のザワザワが完全に晴れたか、というと、まだ少し不安は続く。だって何かが解決したわけでもないのだから。そりゃあそうだ。

それでも、楽しいなと思えたから。
ワクワクできたから。
今日はそれで良しとしよう。


あぁ、なんだか停滞しているようで目まぐるしく進んで過ぎ去っていく日常に、クラクラする。
そんな中だからこそやっぱり外に出るのはきっと大事なことだ。
その楽しい記憶を切り替えスイッチとして、また頑張れるから。
明日から6連勤だけど、頑張れる。

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