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16のシャンパンに溺れて、ブリュレに溢れて、そしてローストビーフを食べる日常

少し、投げやりな気持ちだったのかもしれない。

ワインの飲み比べイベントに参加した。
コロナでそういうのって全部オンラインだったから、現地でのイベントって久しぶり。
そろそろ何か開催していないかな、と思って「ワイン イベント」とか検索したんだと思う。

お酒飲み比べ系は、好きだけど、正直怖い。
何度か痛い目もみた。
赤裸々に語ってしまえば、イベント終了後に「ねえ、もう1軒どう?」とかなんとか言われて気がついたらホテルの前、みたいなパターン。

不幸中の幸い、というかちょっと笑えるのが、私が連れていかれるのは大衆トイレでもラブホでもない。誰でも知っているような、都内でも有名な高級ホテルだったりして。
そんなにお高い女に見えるだろうか。


全然幸いでも無いし、全く笑えない。
普通に怖い。

でも心の傷みたいな記憶にしてしまうのも癪なので、「ちゃんと逃げましたけどね〜」というオチを付けて笑い話のひとつとして話す。

そんなこと、あるはずがない。
10以上を記録したことがない握力と、学年で下から3番以内を脱したことのない速力。加えて意識を保つのだけで必死なくらいのアルコール量による弱体化で、どうやって逃げろと。
無理に決まっている。

1人でお酒イベントに参加する女性、マジで気をつけて。

まあそれはそれとして。
怖いけど、やっぱり時折、参加する。
日常に少しの特別感が欲しいから。目に見える景色が色褪せていくのが、心のドキドキが減ってキラキラを見つけられなくなってしまうのが、日常がいつのまにか真っ暗なところに沈んで閉じ込められてそれが当たり前になってしまうのが、なによりも怖い。寒い。

今回気になったイベントの開催はエノテカ。
信用がある。少なくともそのイベント自体に危険性は無い、ということで参加を決めた。

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シャンパン16種類の飲み比べ。

申し込む時あまり深く考えなかったけどさ、16種って、まあまあ多くない?
私のお酒許容量はワインフルボトル1本くらい。
少量ずつだから量的には大丈夫だけど、一応気をつけながらゆっくりと。

16種飲み終わる頃には、他の参加者は全員余裕で飲んで帰っていた。皆さん、強いですね…。
でもワインをグラスで1,2杯飲むくらいを好む人が安易に申し込んではいけないイベントだ。

イベント、とはいっても皆でワイワイと楽しむものではないらしい。2脚ずつ目の前に置かれ、空いたグラスがあれば店員さんが次の番号にチェックを付けて持ってきてくれる、というランニング形式。
誰かと話しながら飲みたいのであれば、仲の良い誰かと来よう。

それぞれのワインについて、その銘柄についての説明が書かれている冊子があって、それを読みながら勝手に飲み進める。体験型読書みたいで、1人で静かに黙々と飲むのも普通に楽しかった。6,000〜9,000円台のシャンパンを16種類も飲み比べられるなんて経験も貴重だしね。


ちょっとほろ酔いになってきた頃、帰りはBarでも寄って飲み明かそうかな、なんてことも考えた。
知らない人に声をかけられたりしても、まあ別にいいいや。このままもう少し日常から遠ざかって、自分を忘れるくらい遠くに行っちゃいたいな、とか。

けれど実際に飲み終わった時に頭に浮かんだ考えは少し違って。

あぁ、家で美味しいローストビーフ食べたい。

結局他のお惣菜も買い揃えて、帰った。2,000円くらいしてまあまあ高かったけれど、Barに行くことを思えば全然安い。そう思うとお酒って高いよなあ。

お酒を飲む店には行かなかったけれど、家に帰る前にちょっとだけ落ち着きたかった。

知らないお店のドキドキは、今はいいや。お気に入りのお店で日常に戻ろう。

但馬屋珈琲
先日行った時に気になった、マロンブリュレを注文した。

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好き。

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パリッパリの薄いキャラメリゼを割る。

滑らかで、もったり分厚くて、トロリンとしたクリームが溢れんばかりにパリパリの中に眠っている。

マロンの甘さと、キャラメリゼの苦味の調和がたまらない!!クリームがもっちりしている。柔らかく、まったりと溶ける。とけゆく中で弾けるように消えるパリパリが、楽しい。

クリームによるマロンの風味が、上に乗る個体としての栗を食べることで、なんだか現実味を増す。

あぁ・・・。好きだな。

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お酒は好きだ。
日常から逃げるように、好きだ。

でもやっぱり、スイーツも好き。
日常をちょっと素敵に彩ってくれるスイーツが好きだ。

こういう分け方は、違うか。
お酒も日常で、スイーツも非日常で、ちゃんと繋がってる。


とりあえずさ。

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野菜も、

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魚も、

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お肉も美味しかったから。

今日も平和だ。
今はそれでいいや。

そうやって気が付いたら、ズルズルと夢世界に引きずり込まれて、自分の家のコタツで寝ていた。風邪は、大丈夫ひいていない。

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