「会員制」の魅惑に囚われて
それは、一生忘れられないインパクト。
初めて会員制のBARの会員になった。全ては憧れから。
どんな出会いがあるのだろう…そんなワクワク、初めては、仕事を調整して休みにした。
なんて言って、実はそれほど行かなかった。
入会金3万円もしたから行かないのも勿体ないのだけれど、行ったら行ったでお会計は諭吉とサヨナラレべルで贅沢だし。
勿論おいしかったのだけれど、私フルーツモリモリ系よりパティスリー系の方が好きだし。
盛り合わせはなんだかお得感がある。
そして月日は過ぎ――1年の有効期限が切れてしまう。
続けるつもりはなかった。
だって今は、少し高い料金を払えば別に会員でなくともいけるようになったのだもの。「会員限定」の特別感に酔いしれて買ったのに、なんだ誰でも入れるのなら、別に特別じゃないじゃんなんて思って…やめた。
とはいえ最後…最後に、もう一度——。
パフェの前に、やっぱりどうしてもフルーツのカクテルは飲みたい。そんなお店。フレッシュクランベリーのシャンパンシーブリーズ。いかにも美味しそう。
小さく添えられた薔薇が可愛いんだ。
シンプルだけど凄く拘りが詰まっていて。それは特別飾らない宝石や染め上げただけの布みたい。
シンプルだけどいつまでも見ていられる神秘的な色だ。
とはいえ、まあ飲む。ゴクゴク飲む。
潤いがときめき。世界がピカピカと輝いていく。星空を突き進んでいく銀河鉄道の夜。そんなドキドキ感。
さて主役のマンゴーはパフェにした。あ?間違えた、パフェはマンゴーにした。
可愛い。
あれ?パフェって元から2サイズあったっけ?
以前食べたシャインマスカットは間違いなくLサイズ。
でも私は同じものを沢山よりも、少しを色々を選びたい。だから小さい方を選ぶのだ。こちらはRサイズ。
チュルンとスベスベに滑り込んでくるマンゴー。
甘すぎる主張は無い。でも甘い。
クリームが薄化粧だから、マンゴーはシンプルでも凄くよく映える。うん、やっぱり甘いじゃん。
ちゅるん、とろ…ちゅるル…ほわっ。
艶やかで柔らかで。トロピカルな陽気さは、とても上品でむしろエロティックというか、エキゾチックという方が近いか…いやでも、そんな刺激とは違って、関節が滑らかで、上品だ。高貴だ。
素敵な思い出は、しかし本音を言えば少し辛さもあったりして。
高い入会金を払ったのだから、もっと行かなきゃ損だ。全然行けてない。あぁもう、どうして。勇気を出して行ったら…お店の人と話さないとなのかな…話せるかな…しーーーーーん…あれ????
沈黙。
カウンター目の前で黙々と何か作業をされていて…え、なんか、その立ち位置食べにく……えっと……え、このまま、何も会話しないの……あ、食べ終わっちゃった…ん???
BARでの正しい過ごし方が分からない。
最後にもう一品……と思って、沈黙に耐え切れず、お会計にした。
で。最後にシャトレーゼに寄って、ケーキ2つと焼菓子2つとヨーグルト4個と……えぇ…この時点で、追加しようとした1品より安い…シャトレーゼ強い。
あ~あ、会員のドキドキ、あっという間に終わっちゃった。
嘘である。
ここ数日、名古屋にあの店がオープンするという話が一部界隈をざわつかせた。別の会員制パフェBAR。それはいかにも、私の好きなパフェだった。
パティスリー系芸術パフェ。Remake easy。
渋谷店舗の会員追加募集が今夜行われるという。
絶対無理だろうけど…絶対無理だろうけど……できた。
え?あ???月3,000円???え、意外と行けそ…あれ?年36,000円…前のより高っっい!!!
でも、それでも私は、その体験が欲しかった。
会員期間が終わって、再び巡ってきたパフェチャンス。きっと運命だったんだ…なんてロマンティックな意見でまとめたい。
特別な世界で、今度手に入れられるモノとは――。
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