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好きを言い訳に今日もなんとか生きている

なんとなく、最近自己肯定感が酷く低い。

元々それは無駄に低かったけれど、なんというかもっと自覚的に低い。
きっかけに心当たりはある。誰も気に留めない、私すら気に留めないはずの、会話の中のささいな一言。

「君って不思議なくらい自己肯定感が低いよねー」

うん、そう。知ってる。
初めて言われたことでもない。
でも、ああそう、そうだよね、うん、私は確かに自己肯定感が低い。なんで?低いんだから仕方が無いじゃん。

どうして今更になってこんなに心の中でその言葉が響くのか分からない。


気持ち悪い。キチガイだ。
そう言われたのは私ではないはずなのに、千回も万回も、どんどん輪郭を鋭くして今の私に突き刺さる。
寝る前、電気を消した部屋で天井に向かって手を伸ばした。その先にも握りしめた手の中にも、何も無い。
死にたいと思った次の瞬間に、どうでもいいやという気持ちが心の中にジワリと滲んで、自分の中の大事だったはずのものに嫌いだったはずのものが上塗りされていく。

自分を否定するためのイメージばかりが自分の中にはいくつもあって。なんとなく、なんということもなく、小さな蓄積が少しずつ。少しずつ。


一応ね、理解はしているんだ。
私はそんなに人から嫌われる方じゃない。社交的だって言われるようになった。それなりの信頼も獲得していると思う。代替のきく村人Aなんかじゃなくて、私個人を認められたのかなと嬉しくなることもある。「私はコミュ障だから(笑)」なんてジョークに突っ込みを入れてもらえるくらい、強くなったよ。

でも違うんだ。

苦手を克服したんだね?
そうじゃない、今でも凄く怖くて、怖くて怖くて耳を塞いでしゃがみこみたくなる。気持ちはあの頃と何も変わらない。

心の弱さは、トラウマは、乗り越えたんだね?治ったんだね?
いや無理だろ。
乗り越えること。心を治すこと。それってそもそも、どういうことを言うのだろう。だってあの頃の体験や記憶を覆したらそれはもう今の私じゃないし。捉え方を変えるとか前を向くとか、多分そういうことなんだろうなとは思うけど、そういう綺麗な話で綺麗に終わらせることなんて、できないじゃん。


スイーツが好きだ。
もう少し好きの理由を追求すると、辛かった時にスイーツの存在に救われたからだ。
良かったね、めでたし!
面と向かって誰かに話すのは、多分ここまで。

でもそれも少し違うかなという気が最近はしている。
救われたから、なんだ。
フィクションはそれで良いかもしれないけれど、リアルの人生はそういう美談でチャンチャンというわけにはいかない。結局その先にしんどさは繰り返すものだから。それを大好きな、いつでも救ってくれたスイーツに頼って誤魔化してしまう。

好きの気持ちで心の痛みを覆い隠して。
大丈夫、今日は美味しいものを食べたから素敵な日。
大丈夫、ちゃんと食を楽しむ未来に向かっているよ。
大丈夫、大丈夫、私の人生に、ちゃんと私はある。生きていて良かった。
スイーツを言い訳にしないと、今日を明日を生きていく自信がない。

で。
だからどうした、という感じもする。
だって言い訳のための好きな気持ちは、悪いこと?
完全な正義ではないのかもしれない。けれどきっと、間違いでもない。

だから今日も昨日も明日も、やっぱり先を生きるために、美味しいスイーツを求めて彷徨うんだ。


会員制パフェBarに行っている、というのは私の重要な体験のひとつだ。
誰にでも語れることじゃないから、興味を持って聞いてもらえる。
…なんて言うと、「自慢の為に高いお金を払って行ってるの?」なんて思われるかもしれない。否定したいけれど、多分そういう思いだって少なからずあって、誰かに語れるだけの価値ある体験をしている私にはちゃんと価値があると思えるから。でもそれって、ちゃんとそのお店を楽しめていないことになるのだろうか?


昨年行っていたフルーツパフェのお店は結局あまり回数は行けていなかったけれど、今回のは季節のパフェが食べた過ぎて毎月行けている。

10月
富有柿とフロマージュブランのシブーストパフェ〜金木犀の香りを乗せて〜

11月
いちじくとカシスのモンブランパフェ

12月
ノエルフランボワーズピスターシュパフェ

そして最新、
1月
金柑と甘酒のクレームダンジュパフェ

唄うようなパフェだなあ。
というのが最初に感じて、最後まで続いていた感想だ。

ひとつひとつのパーツに、「おぉ」と思う。

香り高い、凄く。
最初のほうじ茶メレンゲとか、軽ーーーい食感と香りの衝撃とで脳が忙しかったよ。

存在感抜群の金柑は、もっとヤワヤワジュワリになったやつかと思ったら、一粒ずつが意外としっかり。ミチッとした若々しさが印象的だ。

下の方にはサクホロの甘いクッキー。食感の変わりゆく流れに凄くワクワクする。

全てを繋げてくれるのが、フワッとしたエスプーマ。

それぞれのパーツが静かに独自の世界を持っていて、どのパーツとも仲良くなれるエスプーマにより、全然別のそれらに一体感が生まれる。

静かに、でもそれは凄くリズミカルで。
なんて唄うようなパフェなんだ。


ペアリングは金柑酒煌螺

これもまた香りが凄い。香りの爆弾だ。
飲んでみると、意外にも甘さが非常に強くて。でもそれは甘ったるさじゃなくて、果実感とかスパイスやハーブによるものなのか、大人な甘さで。軽やかな酸味とほろ苦さのあるパフェと不思議な程によくよく合ってしまう。

なるほどコレこそがペアリングか。


美味しいものに救われてきた。
でも今の幸せが、だからといって今の悩みを綺麗に解決してくれて、今の自分は超好き。なんて思えるかというと、そんなことは全然なくて。

でもいつかさ、振り返ってみて、ちゃんと自分の人生だって言えることが自分の中に沢山見つけられて。それらを全部ひっくるめてなら好きな人生だったかもって思えたらいいのかな、なんて思っている。


さあて今はバレンタインの催事で色々なお店が楽しいことになっているし、私も既に相当楽しんでいる。忙しさもまだまだ続くけれど、それらのことも早く書きたいな~!!

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