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1人で楽しむ。誰かと楽しむ。どっちも好きだけど、どっちでもよいのではない

「お姉さん、スイーツお好きなんですね」

会社帰りにパフェを食べようとしていたら、隣の席の女性に話しかけられた。


正確にはちょっと違う、
私は外でスマホを使う時、フリック入力が苦手だからキーボードを使うことが多い。Bluetoothで繋いで…とか。自分で言っていてもよく分からないけど、とりあえずなんか凄く便利。

だから時々知らない人に聞かれるのは確かだ。
「それなんですか?便利そうですね」と。

この前はその後に、何故か話が弾んだ。
スイーツが美味しいという話が中心だったから私自身楽しかったのだけれど、だが。同時に思う。
(会話の途中だけど…パフェの写真撮っていい?食べてよい…?)

閉店も時間の問題だったので、断って少しずつは食べ進めたけれど、その味わいには全然集中できない。

このパフェは毎回凄く楽しみにしているやつで。
各パーツもさながら、最初から最後に至るまでの物語性が素晴らしいのだ。


FAR EAST BAZAAR
アリバカカオとデーツのパフェ

注文時に渡される説明がもうさ…

パフェ愛が凄過ぎていつもリスペクト。
これをゆーっくり読み進めながら自分と対話しながら食べたい、が本音。

だが、話は盛り上がっていく。

「私最近凄く感動した出会いがあって!!」
ほう、それは良かったですね。
「色々悩んでいたんですけど、その人はそれを全部分かってくれて。聞いてくれるとかじゃないんです。伝えてくれるんです。何に悩んでいて、どうすればいいか。目の前がパァっと晴れていく感じで!」
ん、んんん〜そ、そう…良かったですね〜…。
「お姉さんも悩んでいることとかあれば教えますよ!!」
…(ごめん別にいいや、とは言えず)そ、その人はメディアとかで結構表に出ている人だったり…?
「そうじゃないんです!本当に限られた人だけ相談に乗ってくれる感じなので、紹介制で。興味あったら私が話して日程取ってもらいますよ!」
…ごめんなさい、今忙しくて、ちょーっと時間取れないですね〜。
「そうですか〜、まあチャンスを掴むかを決めるのは結局自分ですから。行かないことだって選択ですしね。でも悩んでいることがあって解決したいと思っているなら絶対おすすめですよ!2時間で2万円なんですけど価値は十分です!」

あーーー、それ絶対駄目なやつ!!!

なぁんだ、スイーツのことで楽しくお喋りしていたつもりだったけど…これ勧誘だったかなあ。
彼女、就活の時期で本当に悩んでそういう出会いがあって色々な人に勧めているって話してたから…それがどこまで本当かはよく分からないけど、本当だったらなんというか…今後もっと取り返しのつかないような詐欺には気をつけて欲しいなと思う。


…さて。

しくしくしくしく。
申し訳程度に撮った写真は案の定かなりぶれているし、アイスはすっかり溶けている。

話を聞きながらだから脳はそっちに向けられなかったけれど。とはいえ舌は、ちゃんと美味しいとびっくりしていた。

特に印象的だったのは、まずはやっぱりチョコアイスの部分。非常に華やかで濃厚で、上品さと力強さをあわせ持っている。後から振り返って気がついたのだけれど、デーツよジャンドゥーヤのチョコ系2種に対する印象が混ざったのかなあという気がする。

このカカオの強さにしっかりと合わせるナッツの存在が大きい。上の薄いパリパリチョコやピスタチオ、カカオニブ、それに続くクランチショコラ。

ここまでで1つの世界観ができあがっている。
その後がまた、面白い。

例えば昇ってきた朝日の光がサァーッと目に飛び込んできたような、世界の変化、その瞬間を目の当たりのしたような。

オレンジ・アプリコット・ドラゴンフルーツのコンポートが、カカオやナッツとは全く異なる透明度で綺麗に弾け染みていく。酸っぱいと思いきや、結構ずんと深く甘い。

そしてホワイトチョコクリーム…は、とっても不思議。温度帯とか、滑らかさとか、そういうのが分からなくなる。バニラが、香る。カカオが、香る。
上のコンポートと凄くよく合う。
なんだこれ、ただコンポートの透明さを白で上塗りする感じがとても好き。
だからこそだろうか。
食べ進める舌が、多分このパフェのなかで1番、この白に恋していたと思う。

そして名残惜しいかな、カカオパルプと白ブドウのジュレはこれもまた香り良く、後に引かない終わりを迎える。


私は人と食べる食事も好きだ。
1人で食べるのも好きだ。

どっちでも好きなんだと思っていた。

違う、かもしれない。
どっちも好きだけど、今はこっち。明日はこっち。
その時によるものなんだ。

思い通りにいかなくても、それはそれでイラついたりしないでその時を楽しみたいなとは思っている。
人生そういう予想外があるから楽しいんだってよく知ってるしさ。

ほら今回の話だって、女子大生にナンパされた話としていつかの飲み会で話すわ。
ほら楽しい。

ただ…そう、

今はどっちがいい時なのか、ちゃんと知って意識して楽しむっていうのはきっと大切なことだ。

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