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「いつもの」が歴史を築き上げていく〜ブレッツ カフェ クレープリー〜

「どこに行こう?」「あそこは?」
曖昧極まりないこそあど言葉で通じるのってちょっと良い。
だってそれは過去に積み上げてきたものがあってこそだもの。

自分1人だったら、食べたいものに迷って混雑で撃沈して初めてのお店に挑戦して近くの席の人が五月蠅いのが少し気になりつつもそれは見なかったことにして味に滅茶苦茶感動してみたりして。
1人だったら、なにがなんでも楽しみたいものだと思っている。

嫌なことがあったから、上手くいかないから嫌い。
なんてことには決して決してならないのよ。

けれど誰かと一緒ならそれはまた別。
お店に迷ってグルグル無駄に歩いたりできないし、想像とは異なり密集したガヤガヤで相手がそのことに滅茶苦茶気にしてる空気があると、滅茶苦茶デラックス気になる。
だから、安心のお店があるのは良いことだ。

「今日はガレットにする?」
私たちはいつも迷わずそのお店を決める。

ブレッツ カフェ クレープリー

入店時に「お食事利用ですか?それともカフェ?」
これは多分「渡すメニューはスイーツ系と食事系どっちがいいの?」という質問に置き換えられるものなのだけれど、両方欲しい時の上手い言い方ってなんだろう。

そして何を食べたいのかももう、よくよく分かってしまっている。
コースが食べたい。
単品でもいいのだが、「単品にドリンク付けたらもうコースの値段なんだよなあ」と思うといつもついコースを選んでしまうのだ。贅沢過ぎる。

必ず注文してしまうシードルは、毎度注文後すぐにくる。
注文後にお手洗いに席を立つと、戻ってきた時に「またボトルから注がれるとこ見逃したね」とお決まりに少しの残念。
最近はもう分かってるから。とりあえずこれが提供するまでは大人しく席についていることにしている。

透き通る色味が物凄く綺麗でうっとり眺めてしまうし、香りも良い。
昔おばあちゃんの家に行く度大好きで飲んでいたリンゴジュースの香りだ。懐かしいと新しいがいつも混在している。

プラス300円のスープをつけるかは悩みどころ。
量的には無くても十分なのだけど、なにせお得なのだ。このスープ、単品だと倍以上するからね。ついつい、ついついつい……。

このお店のガレットは、世界一おいしい。
私のガレット経験値がそれ程高くないというのもあるけれど、私の抱く世界においては本当に間違いなく一番美味しい。

端っこのガリっとした、いやパリッと?薄くて、バリッとしている。蕎麦の香りがフワリとブワリと強く浮かぶ。チーズだったり生ハムだったりのキレのある塩気、割った瞬間にとろけ出す卵、素材の味からメチャウマな野菜。
全てのバランスに乾杯。あぁ、シードルがべらぼうに合う。

これ以上の味を、想像できないよ。


さてコースなので、この後にデザート系クレープが……。
来ない。
広い机の上がガランとした状態で、結構ずっと待っている。
隣の席のお客さんが食べ終わって帰るくらいの間、来ない……。

「もしかして忘れられてるとかね」
「まさか~目立つ席だしこんなに机空いてたら気が付くでしょ伝票もまだ来てないし。」なんて言いつつ、店員さんが居る方向をチラチラと見やる。いかにも「まだですか~?」と言うように。

本当に準備中なだけかもしれないし、どのくらいのタイミングで店員さんに「まだですか?」って聞いて良いものかわりと悩む。
このお店だけじゃない、カフェ巡りを生業…とはしていないが習慣としているからには、この「忘れられ?問題」には頻繁にぶつかる。

1人だったらあと20分くらいは本を読んだりして待っていたかもしれないけれど、一緒にいた方の「これはおかしいセンサー」の境界を突破したらしく「まだかかりそうですか?」と。

「確認します」からの「今おつくりしますね」
…やっぱり単純に忘れられてたんかな。

とりあえず思ったより空気が悪くならなくて良かった。

んん~~~待っただけある。
これも初めてのメニューじゃないけど…けど。
あれ?いつものより少しもっちり分厚い?

どんどん溶けてくるバニラアイスは先に食べちゃう。
ハッキリとした甘さがたまらんね~~。
真っ赤なベリーたちと合わさってとても華やかで。
そば粉のガレットよりもずっと甘い、でも甘過ぎない上品な生地。
シンプルな構成でも凄く、とっても「美味しい」のインパクトが心に残る味わいだ。

赤いベリーは彩りも味わいも強めだから、そんなに「シンプルさ」を強調するのも違うかもしれないけれど、でも時にはもっともっとシンプルな時もあるのよ。
それでも、やっぱり生地の芳ばしさとアイスの甘やかな絡み合いがたまらない。


生ハムを上にたっぷり盛り付ける構成も上がるけれど、しまいこんじゃうのも、食べてみると案外多くて美味しくて楽しい。

こういうのも華やかで可愛い。


もう一人が注文するのは、大概これ。

嫌いなものが異常に多くても、やっぱりチョコバナナは最強。
キャラメリゼがまたまた甘い苦味で、チョコやクリームの甘さとの掛け合いが罪。

こんなやばいやつもある。

これも大変尊い。

こういうのも。なんだか凄く、新しく面白く、罪深い。

「いつもの」だからこその共通に話せる話題。
その中にも、その時だけの思い出もまた混在していて。そういうことの積み重ねが、自分の歴史になっていく。そういうことを感じるようになった。

きっとまたいつか、「あの時はデザートの方なかなか出てこなかったけど、今回はすぐきたね〜」なんて言いながら同じように食べている。
そんな未来があるのだろうと、想像できる。

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