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焼岳 天国と地獄

上高地2日目


焼岳にチャレンジしました。

滞在中に登る山は、焼岳、岳沢、蝶が岳の3つの予定でした。
どれも共通するのはお花畑が存在することです。昭文社の地図では焼岳にはお花畑のマークはありません。これは多分、数多くの高山植物が存在しない、という意味で省いているのだと思います。
焼岳展望台付近はアザミなどの低地でも見られる花が咲き、私にとってはお花畑で有り、そこには蝶なども集まってくる、という認識での「お花畑」であります。

さて、テントから出て河童橋近辺まで来た時、曇り空に薄日が差し、なんと虹がかかっていました。
過去何度か来た上高地ですが虹を見たのは初めてでした。

幸先の良いことを願いつつ焼岳登山口まで来ました。
昨夜は激しい雨だったので上下共にレインウェアにスパッツ姿で半分川状態になっている登山道を登っていきました。

途中、時々青空なども見えて展望台のお花畑での撮影をイメージしつつ最初のハシゴに到着。

ここにはいくつかのハシゴがあり、一番最後のハシゴが一番長く恐らく誰もがそれなりの決心をして登りはじめるのだと思います。
そのハシゴのすぐ後にクサリ場が待っています。
それを通過すると漸く少し見晴らしの良い標高となり焼岳北峰近くの大岩が目に入ってきます。
反対側を見ると大正池や周辺の建物も見ることができます。

見晴らしの良い登山道を登っていたら目の前に突如として目的の蝶が飛んできました。ベニヒカゲ(クモマベニヒカゲ)です。
この蝶は標高1700m以上でないと見ることが出来ません。しかし、過去の事例から大量発生する最盛期には標高1500mの梓川河原でも数は少ないですが飛翔してました。

見晴らしの良い山道を登り切ると焼岳小屋があります。以前は営業していましたが、今は廃墟の様になっていました。また、現時点では水の補給も出来ません。

ここから15分くらい登ると焼岳展望台です。

私の目的地でもありますが、到着した時、天候が悪く蝶は1匹も飛んでませんでした。天気が良ければすぐに出てきますが、悪ければ下草の奧や岩の間にすぐに隠れてしまいます。もし天気が良ければ蝶が沢山乱舞するだろうお花畑を恨めしく想いつつ焼岳の頂上を目指します。展望台から約1時間。活火山であちこちから煙が出ていたり硫黄のにおいが漂ってきたりと、山頂である北峰に近づくにつれて硫黄混じりの砂礫に足を取られつつ、文字通り這って登る様な場所もありなんとか登頂。

しかしガスの中。周囲はすべて真っ白でした。20分ほど休憩しましたが一向に晴れる傾向は見られず、むしろ雨が降り出しました。

下山をはじめると雨脚が強くなり、なおかつ周囲がより真っ白になりました。うっすら見える見覚えのあるだろう岩が複数出てきてルートをロスト。岩についたマーキングを見失い、しばらく感覚で下山してました。30分ほどして漸くマーキングを見つけて本来のルートに戻りましたが雨はより一層激しくなりました。そんな状況下で川状態の山道の急な下山を長時間していると集中力が途切れてきます。岩の上で何度もダンスをしました。登りより下りの方が怖いので集中するのですが、疲れで意識が散漫になります。頭の中にチラッと「遭難」という文字が浮かんできました。焼岳程度で遭難だ、なんて言われたら世の笑いものだろうなぁ・・と叱咤しつつ下山しましたが、やはり天候不良ではメンタルにも良くないです。

漸く登山口まで下山すると、下界は晴れていました。
典型的な山の天気でありました。


なお蝶果はゼロ。


上高地3日目

本日は、岳沢に登る予定でしたが、非常に悩みました。
天候のせいもあり、昨日の焼岳はキツかったわけですが、岳沢はもっとキツイ事は過去何度も行ってますので良く理解してました。
天候が不明なのは、焼岳も岳沢も同じ条件として、私にとって最後の岳沢は数年前で細かいルートは忘れてます。それとお花畑の面積は焼岳の方が広い。さらに焼岳のルートは昨日往復したので良く理解している・・等等の比較により、本日もう一度、焼岳にチャレンジすることにしました。

やはり朝は曇り。河童橋からみる明神岳や穂高連峰も雲がかかっていました。

一抹の不安はありましたがルートは同じなので安心して登れます。さらにハシゴを登り終えた頃から天気も良くなり昨日とは比較にならない良い眺望となりました。


焼岳小屋から少し下ったところにユリの花を見つけました。
蝶の集まる絶好のポイントです。ルートから外れて急な斜面に咲いているユリの花の下の茂みに身を潜め、カメラの望遠レンズだけを出して蝶が来るのを待っていました。私にとってワクワクする時間帯でもあります。
で、そんな時、登山道の方から話し声が聞こえてきました。
おそらくパパが子供に諭すように話しかけていました。

パパ「苦しい時は、自分との戦いだからね・・・」
子供「・・・」

他の登山者のおばさん「あらぁ~。歳いくつなのぉ~? ・・え、小学校2年生・・・小学2年で焼岳なんてすごいわねぇ~」

私の姿は登山者から見えません。
それにしても小学2年でよくあのハシゴを登ってきたものだ・・
いいパパだなぁ~ と関心をしていたら私のお客さんが飛んできした。


撮影終了後、途中の焼岳小屋で親子が休憩していました。
私も「お嬢ちゃん、よく登ってきたねぇ」と声をかけました。

この日の展望台は、まさに私の草刈場。約2時間ほどお花畑でいろいろと撮影出来ました。

昨日とは別世界で本当に天気が良いです。
登山者が皆笑顔で話しかけてきます。

自分が幸せで無ければ他人を幸せに出来ない、という格言は事実だと感じました。自分を愛せない者は他人を愛する事など出来ないのだろう。

さて、この日は、ピークを目指しませんでした。私にとってピークに用は無い。まぁ、良い眺望の写真は撮れるのだが、早く下山したかったのです。お花畑のある展望台からピークの北峰まで約1時間。山頂で休憩30分として往復2時間半。
実は2日連続シビアな登山だったので温泉に入りたいのです。そして日帰り温泉の場合時間制限があり夕方5時までなので早く下山してゆっくり楽しみました。疲れているときは、温泉は本当に体に効きます。温泉を出てからテントにつくまでフワフワした感じで体が軽くなり内側から微笑みが出てくるような気分でありました。

それと、最終日に、バスで新島々駅まで戻るのでは無く、徳本峠を越えて歩きで島々宿まで行く約十数キロのコースも考えていたので現在通行できるのか、その情報収集をしたかったのです。このコースは、バス道が出来る前の上高地に入る伝統的なコースです。

徳本峠~島々宿に関して

※去年の10月崩落などで通行止めであったのですが、現在でも不通との事。後日、現地に何度も視察に行った山道の整備をしていた方から詳しいお話を伺うことができました。

徳本峠の小屋までは行けるが、その先の岩魚留小屋から先が何カ所も崩落しており、営林署や県、環境省などがタッチしないと復旧は
難しい、との事。植林からやらないとダメな箇所もある、との事でした。
私がこのルートに注目するのは、沢すじの道で、地形から多くの蝶が生息していると思われるので多少の崩落程度であれば余分な食料を持って行きたいと思っていましたが、かなり酷い状態の様です。復旧までには数年はかかるとの事でありました。




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