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鳥取旅行をするなら智頭町はいかが?③ ―美味しい・美しい・あたたかいにあふれた町での3泊4日の旅の記録―


こちらは連載記事です。
①、②はこちら!


3日目のこと

絶品山菜料理と大自然

 3日目は智頭の山奥にある「みたき園」というところで山菜料理のコースをいただくことになっていた。山奥とはいえ、整備された道路を20分ほどドライブすると着くところにあるので、アクセスはそこまで大変ではない。
 楽しくおしゃべりしながら車で揺られているとあっという間にみたき園に到着した。
 周りは青々とした木々と美しい川、勢いよく流れ落ちる滝があり、大自然に囲まれている、それはそれは癒される場所だった。みたき園の門をくぐると、茅葺き屋根の建物や水車があって、より一層趣がある。人気な食事処のようで、その日もお客さんでいっぱいだった。

 席に案内され、外の景色を見ながら待っていると、ほどなくして料理が運ばれてきた。たくさんの山菜料理の他にニジマスのあらい、さくさくの天ぷら、お味噌汁に炊きたてのごはんなどが続々とやってきて、あっという間にテーブルはいっぱいに。料理の写真もそこそこに、みんなでさっそくいただいた。
 智頭で育った山菜や川魚、そして水に流れる水を使った料理を堪能しながら、私は自分を取り囲む木々と小鳥のさえずり、川音に癒される。なんだかここが、自分のふるさとなのではないかという気さえする、本当に素晴らしい場所だった。

綺麗な水が流れるみたき園
みたき園を訪れた人からのメッセージも。


 食事をした後は、みたき園の大女将とも少しお話をすることができた。この土地でみたき園を始めたときのことや、茅葺き屋根の建物のこと、夏は蛍が飛んでいること、そして智頭町の町政の歴史など、ここでも自分一人で訪ねていたら知ることもなかったことをたくさんお聞きすることができて、またここにきて美味しい料理を食べ智頭町に思いを馳せ、自然に癒されたいなと思った。
 そのあとはみたき園の裏手を散策し、天空の滝を見た。なんとこの滝は自然にできたものではなく、人工的に作られたのだという。あんなに高いところにどうやって水を引いているのだろうか…と思わずにはいられないほどの迫力ある滝は、見ただけでなんだか自分の中のエネルギーが満タンになる気がした。

圧巻の滝!



 散策後はみたき園の中にあるカフェ「クインス」にてティータイムをとった。
 小鳥をモチーフにした可愛らしいカフェで、イラスト入りの手書きメニューが可愛く、おすすめメニューのこっこプリンもとても美味しそうだった。(お腹いっぱいで食べられなかったけれど、次回はぜひいただきたい)

小鳥モチーフの店内。
カウンター席の他にもテラス席がある。
はちみつレモンのソーダ割。ひんやりさっぱりで美味しかった。
カラフルな絵と文字がかわいらしいメニュー表


 みたき園という、これまた素晴らしい場所で美味しい料理をいただくことができ、心も体も本当に元気になった。この体験をぜひ、いろんな方に味わってほしいと思う。

 ちなみに、みたき園では鶏が飼われていて、1日に数回鶏小屋にいる鶏たちをみたき園内に放し飼いにしている時間があるそうだ。私が訪ねたときもちょうど放し飼いの時間で、お客さんの驚きの声や鶏の鳴き声がいたるところから聞こえてきており、園内は少し賑やかだった。
 みたき園までの交通手段は車だけになってしまうものの、誰しもがもつ心のなかの「ふるさと」を体現したようなこの場所には、ぜひ一度訪ねて欲しい。

鶏小屋の様子。


近所のお祭りとアカゲラブックス

 みたき園をあとにし、最後の一泊をする宿にチェックインをしにいった私たち。明日の家は二泊でしか借りられなかったため、最後は1日目にも伺った「楽之」に宿泊することになった。
 一日目にお会いしたオーナーMさんもその日は楽之にいらっしゃっており、今夜、近くでお祭りが開催されるらしいということを教えていただいた。
 この日の夕方から夜にかけては特に予定はなく、お祭りまで時間もあったため、私たちは1時間ほど智頭町の駅周辺を散策してみることにした。
 駅の近くの観光案内所でお土産を見てみたり、近所のスーパーの品揃えや特産物がないかを確認したり、おじいさんが経営する喫茶店でかき氷を食べてみたり、小さな書店に入って鳥取関連の本を探してみたりと、この3日間で一番自由に、そしてゆるく観光をした。

暑い夏にかかせないかき氷🍧


 だんだんと日が落ちてきて、お祭りも始まっている時間になり、私たちは駅から5分ほど歩いたところにある古民家食堂「tomarigi」を訪ねた。
 普段は間借りのようなかたちで曜日ごとにお店が変わるようだが、その日の夜は店内で焼き菓子やカレー、フォー、お酒などを小さく出店するかたちで販売していた。

 tomarigiには2階もあり、そこは食堂とは別で古着屋さんともう一つ、私や名和さんと同じように個人で営んでいらっしゃる本屋「アカゲラブックス」がある。
 私は個人的に独立系書店好きで、かつ興味もあり、アカゲラブックスのこともトモコさんから聞いたことをきっかけに自分で調べて気になっていたので、ちょうどいいタイミングで訪ねることができて嬉しかった。
 その日は、アカゲラブックスの店主 翼さんもお祭りに出店されていたので、翼さんに選んでもらったジンを飲みながら、本屋の店内を見せていただいた。
 店内、とは言っても古民家の2階なので、階段を上がった一部屋の畳の部屋に本棚やテーブル、カウンターがあるような少し不思議な空間だったけれど、本好きな翼さんがセレクトされている本たちはどれも素敵なものばかりで、落ち着く空間も相まって、ジンで少し酔った頭でひそかに感激していたのを覚えている。
 そうしてじっくりとラインナップを見ていたところ、私がとても欲しかった本を2冊みつけたので、お祭りの出店で忙しそうな翼さんに少し無理を言ってその本を買わせていただいた。手に取った本の片方は偶然にもサイン本だったので、この日ここで買えて本当に良かったと思う。
 お祭りでは智頭に住む多くの子どもたちが、元気に走り回ったり、親子や友人と楽しくおしゃべりしながらご飯やお菓子を食べていて、店内はとても賑やかだった。

 本屋の話を翼さんに伺っていると、だんだんと出入りする人たちも増えてきたので、名残惜しかったものの、私たちはその場をあとにし、楽之に戻ってゆっくりとご飯を食べることにした。

壁に『アカゲラブックス』の文字
棚やテーブルにはたくさんの本が置かれている


雑貨の販売もされていた
自宅にて アカゲラブックスで購入した本
アカゲラブックスは楽之にも本棚があり、ここでも翼さんセレクトの本を買うことができる。


 3日目の夜は楽之で鹿肉のキーマカレーやペペロンチーノ、そしてタルマーリービールをいただきながら、この3日間を振り返った。
 楽之の料理長さんと大塚刃物の話をしたり、オーナーのMさんには人生相談をしたり心強い励ましの言葉をいただいたりして、旅の疲れはあるもののとっても元気づけられた時間だった。
 3日目もたくさんの素敵な方に出会えて話せた、いい一日となった。

 ちなみに、この日は前日に大塚刃物鍛治にお願いしていた名和さんの包丁を取りにも伺っていた。
一日でぴかぴかに生まれ変わった包丁を見て、前日オーダーした包丁がより一層楽しみになった日でもあった。

before
after
柄も桜の木に取り替えてもらって、握りやすく切りやすく生まれ変わっていた


④に続く

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