佐鳥

さとり です。日々の喜びや人と人との関係について、小説やエッセイ、詩を通して書いていま…

佐鳥

さとり です。日々の喜びや人と人との関係について、小説やエッセイ、詩を通して書いています。夏と海と鳥と青春が好きです。 不定期更新。毎日投稿を始めたと思いきやぱたりといなくなることも。 横浜・ローカルブックストアーkita.さん内で「書店Fika」やってます。

マガジン

  • 小説「曖の味」 連載用

    自分を大切にしてくれる人はどこにいるんだろう。 こじらせ女子の恋愛を紡いでいます。

最近の記事

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書店Fika はじめました。

自由気ままにエッセイや小説をnoteに載せはじめて、どのくらいの時間が経ったのだろうか。 始めた頃は大学生だったのに、もう気付いたらアラサーになっている。 老いは怖くはなく、ただ時の流れにしみじみしている今日この頃。 昔から文章を書くのは好きで、読むことも大好ききな私。それで最近、もっと本にまつわる趣味の幅を広げたいな〜と思い、このたび本屋を始めました。 実店舗です。 場所は横浜市にある「ローカルブックストアーkita .」さんの中の一棚。 ここでは100ほどある縦横38

    • 視線の三行詩

      並の 冷か温か えらべず、ズルズル コンタクトレンズ はずすぼんやりに 亡き犬 いる 寝転び 窓から見た 反射する青を 影をみつめて 見上げた空の サイダー色 もうすこしだけ右に いやあなたは左に一歩 黒い箱にゆらめく人々 愛してと叫ぶ あなたの瞳の 奥のバケモノ わたしの だんごっ鼻が 指す明日はきっと あこがれみとれ 電柱に額をうつ 青春の手中 暗がりと 高鳴る鼓動を 食い物にする小魚

      • すれちがいの三行詩

        レースのカーテン越しに 鳶の影 さてはまやかしの箱 机の角にぶつけた腿 退く衣擦れの 発音がきれい かつて肩を預けた壁の 預金額は目減りして 0円 杯を交わす 薬指の 指輪にレンズは もう仕込まれていた 君を振り向いて 首にへばりつく黒蛇を 振り払って薫る 平均台なら 私うまく渡れますけど そうねあなたはどう? 指名手配犯 飄々とUターン そして 黄色の警告 鉛を押しつけた 手の煤 スカートにこびりつくから 尊い我が子 抱きしめても みかんを望む いや きっ

        • 小説「つまるところは」(推敲版)

          以前書いた小説を、書き直しました。 「ねえ」  今日あったこと。仕事がうまくいかなかった。それで少し気分が落ち込んでいて、誰かに慰めてほしい気分になっている。 「んー?」  そう言って返事はするけれど、私と目が合うわけではない。彼の視線は、プロ野球のテレビ中継に向かっている。 「今日さ、仕事がうまくいかなくて、自分の効率の悪さに落ち込みそうになってさ」 私の言葉が宙に浮く。それは目の前の人に届けた言葉。だけれど目の前には、人の形をした壁があるだけのようだ。  相槌が欲しい、

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        書店Fika はじめました。

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        • 小説「曖の味」 連載用
          5本

        記事

          私の本史②

          「私の本史①」の続きです。 島の中学校で、私は結局2年働いた。 その2年間の間に、私は読みたい本を読んだし、図書館に新しく本を入れるためにカタログを見たり、生徒のみんなにアンケートを取ったり、先生方に生徒に読んでほしい本を聞いて回ったり、他校の図書室をのぞかせてもらったりした。 私がただ読みたいと思っていて、中学生にも読めそうな本も、たまにこっそり頼んだりした。 相変わらず多忙であることは変わらなかったけれど、1年目よりもストレスなく、そして余裕も少しできて家に早く帰れ

          私の本史②

          活字中毒者の営み

          散歩が好き。 ゆっくり歩きながら まわりをきょろきょろするのが好き。 ルーティンの散歩コースはないけれど 私はなんにもない静かな住宅街や 広い公園を歩くよりは 少しにぎやかな街の大通り沿いや 商店街があるあたりを散歩したくなる。 散歩をすると 新しい発見がたくさんある。 例えばふと通りかかった道沿いに出ている 白地に店名が書かれているだけの看板。 その看板の先は階段になっていて なんのお店なのかはわからない。 「気になるなぁ」 「アクセサリーのお店?ケーキ屋さん?」

          活字中毒者の営み

          私の本史①

          最近思っていること。 痩せたい。 学生時代に戻りたい。 仕事したくない。 寒い。 あれ食べたいな。 今日、食べすぎたな。 この漫画、面白いなぁ。 旅行、行きたいな。 ぱっと浮かんですっと消えるような そんなことばかりを思う日々。 でも最近、自分の本当に好きなものが何かを 考えられるきっかけに出会ったりもした。 そういうわけで、 私の好きなものについて、 最近思っていることを記したい。 私の好きなもの。 たくさんあるけれど、いつでも思い浮かべるものがある。 それは

          私の本史①

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          褒められた。 いつもはあまり他人を褒めるようなことはしない人に。 私は私が褒められると嬉しくて この嬉しさをみんなに知ってほしくて 幸せを分けたくて いつも誰かに言ってしまう。 今回のことも嬉しくて、 誰かに 「褒められたんだ」 って言いたくなって ツイートしようと書いてみたけれど 今日のだけはなんだか 自分だけのものにしたくて そのまま ツイートの下書きに保存した。 私だけが抱きしめてあげることにしたの。

          下書きに貯め込む

          今日は忙殺されたので投稿はお休みします。 のんびり過ごしたいけれど、そうじゃない日のほうが多くてもやもやする日々。 明日は大好きな人のお誕生日なので、絶対にケーキを食べると決めているんだ。 一緒にお祝いできたら嬉しいけど、ね。

          今日は忙殺されたので投稿はお休みします。 のんびり過ごしたいけれど、そうじゃない日のほうが多くてもやもやする日々。 明日は大好きな人のお誕生日なので、絶対にケーキを食べると決めているんだ。 一緒にお祝いできたら嬉しいけど、ね。

          小説「つまるところは」

          キッチンの排水口が臭う。 少なくとも1ヶ月前はこうじゃなかった。 排水管を掃除する薬剤を使っても、届く範囲をキレイに洗ってみても、臭いは取れなかった。 シンク下の戸棚を開けると、そこももう、臭いがこもっていてまいった。 1ヶ月の間に、どうしてこうなってしまったのか、原因は何も思い浮かばなかった。 途方に暮れ、仕方なく夫に 「最近、キッチンの排水口が臭うんだけど」 と話してみた。 けれど夫は 「そうか?俺は感じないけど」 と言っただけで、何も解決しようとしてくれなかった。

          小説「つまるところは」

          小説「曖の味」(5)

          「今終わりました!1回家に帰ってから行きますね」 やっと時が過ぎた。時間は18:43。 まあもちろん、今日はずっと家に居るけれど。 あの人はもう家に着いたのだろうか。 今日は珍しく飲みに誘ってくれた。外で会うことはなかなかないから、気持ちが少し浮ついて今日はいつもより準備が入念になる。 多分、19時くらいに家を出ればちょうどいいくらいにあの人の家に着くだろう。 今日も泊まることになるだろうから、メイクポーチは忘れずに持っていかないと。 明日は「本当に」バイトがあるけど、

          小説「曖の味」(5)

          ある日のあの夢の話

          エレベーターで地下に降りていく。 ひんやりとしていて静かなその空間に私は1人だった。 少しの不安が心をよぎる。私はいま、何をしているのか、と。 私の横には長い、桐でできた質素な箱が横たわっている。私はこれを、ついさっき買った。 買ったのは、この建物の地下1階。 建物は表面上はデパートになっていて、でも内部にはある秘密が隠されているようだった。 なぜ、私にはこの長い桐の箱が必要なのか。 わからない。 エレベーターが地下5階にとまった。 私は桐の箱とともにエレベーターを

          ある日のあの夢の話

          生かされている

          大学生の頃、ゼミの先生や同期とたくさんの文化的な活動をした。 熱心に小説を書いたり、読書会をしたり、句会を開いたり。 自作の小説やエッセイ、詩や短歌などを持ち寄ってあれこれ意見や感想を言い合ったあの時が、私はとても恋しくてたまらない。 私は高校を卒業してから、地元を離れて山口大学に通っていた。4年間のうちにたくさんの素敵な方々に出会うことができた、かけがえのないあの時。 現在も交流はあって、友人たちとはたまに近況報告をしたりするし、ゼミの先生とも今もメールのやり取りをしたり

          生かされている

          強く惹かれるその歌声を

          昨日の夜、Avril Lavigneのcomplicatedを聴いた。 THE FIRST TAKEに出ているのを知って、すぐにその動画をみた。 1発録りのプレッシャーの中、彼女はやはり素晴らしい歌声で歌いきった。 私は、身も心も震えた。 彼女の歌を好きになったのは、中学生の頃だった。 私にはアメリカの文化が大好きな大親友がいる。 もちろん今も仲良し。 その子は当時から洋楽をよく聴いていて、その影響で私もたくさん聴くようになった。 マイリー・サイラスやセレーナ・ゴメス

          強く惹かれるその歌声を

          帰路と晩夏

          家の近くで、リーズナブルなお弁当屋さんを見つけた。 路面店になっていて、支払いは現金のみ。 ショーケースもあって、そこには量り売りのおかずや1個80円の大きなコロッケ、110円のまんまるメンチカツなど、たくさんのおかずが並んでいる。 お弁当の種類もありすぎるくらい、ある。 何がいいのかと悩みに悩んでいる私と、いつこの人は言葉を発するのかと、静かに見守る店員さん。 初めて頼むお弁当は「幕の内弁当」にした。 レンコンのきんぴらとマカロニサラダ、コロッケや唐揚げ、だし巻き卵、シ

          帰路と晩夏

          明るい真夜中

          夜、電気を消して スマートフォンをいじる時間が好き。 誰にも何にも邪魔されず 眠くなるまで好き勝手するこの時間が。 今日の仕事のことを思い出して。 明日も仕事だと憂鬱を感じて。 明日こそは早く起きてお弁当を作ろう なんて 守れないかもしれない 自分との約束をして。 暑い夏の夜は キンキンに冷やした部屋で 毛布にくるまると リッチな気分になれるから 好きな人のことを考えて 窓からのかすかな月明かりに照らされた部屋で 私が見ていないあいだも 寝ている間も 瞬

          明るい真夜中