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私の本史①

最近思っていること。

痩せたい。
学生時代に戻りたい。
仕事したくない。
寒い。
あれ食べたいな。
今日、食べすぎたな。
この漫画、面白いなぁ。
旅行、行きたいな。

ぱっと浮かんですっと消えるような
そんなことばかりを思う日々。

でも最近、自分の本当に好きなものが何かを
考えられるきっかけに出会ったりもした。

そういうわけで、
私の好きなものについて、
最近思っていることを記したい。


私の好きなもの。

たくさんあるけれど、いつでも思い浮かべるものがある。

それは、「本」。

小さい頃から絵本が好きで
おばあちゃんからもらう誕生日プレゼントは毎年決まって図書カードだった。
町の図書館では毎回上限の10冊を借りては読み、返してまた10冊借りる日々。
(貸出期間を延長したことももちろんあるけれど。)
小学生の時も、学校の図書室で本を借りては読み、返してまた借りる子どもだった。
いつもは1人1冊だけど、夏休みや冬休み前は1人2冊借りられるのが嬉しかった。

そんな子どもだった。

中学生になった私は、あまり本を借りなくなった。
図書館でも学校の図書室でも。
その時の学年の雰囲気が
「図書館で本を借りるなんてダサい」
そんな雰囲気だったから。
だからおそらく、私は、中学生の時は数えるほどしか図書室に「行けなかった」。

でも、本は読みたかったから、私はたまに本屋で本を買うようになった。
相変わらず誕生日には図書カードをもらっていたのでそれを使うか、お小遣いで買ったり、たまに母が買ってくれたりもした。

高校生になってからは、部活が忙しくて授業の予習復習もやらないといけなくて、そういう事情から本を読むことがなかなか出来なかった。
それでも私は、読みたいものは、夜更かししてでも読んでいた。

高校一年生のときの担任(世界史担当)が本を読むことが好きだったらしく、授業中にあれが面白い、これが良いとたまにみんなに向けて話してくれていた。
そのおすすめの中に、村上春樹の「1Q84」があった。
私にとってはそれが初めての村上春樹作品との出会いで、私はそこから村上春樹作品にのめり込んだ。
1Q84を読み、海辺のカフカを読み、ねじまき鳥クロニクルを読んだ。
明日も学校だというのに、ねじまき鳥クロニクルを夜中の1時30分まで気づかず夢中になって読んでいて気づいて慌てて眠った、そんな日もあった。
 
高校生のときにクラス内行事としてあった「読書会」用の本は、無料で一冊の本がもらえて嬉しかったのを覚えている。

1年のときは、堀辰雄の風立ちぬ、2年のときは夏目漱石のこころが題材だった。(3年生のときは受験だからそんな機会がなかった。残念。)
読書会に向けて、もくもくと本を読んでその日を迎えた。
でも、1年のときも2年のときも、本を読んでいる人は、私を含めてもクラスに2~3人しかいなかった。
図書委員が前に出て、司書の先生や国語科の先生が考えたであろう問いについての意見を求めてくる。
私はとりあえず答えた。
他の誰かはどう思うか、聞きたかった。
でもほとんど聞けなかった、そんな読書会を経験した。
そうして3年生になって高校受験も迫り、私は本当に、なかなか本を読めない時間を過ごした。

大学生になっても、本は読むようにしていた。
私が大学生活を送る間に、村上春樹の長編「騎士団長殺し」が発売された。
発売日に大学近くの本屋に飛び込んで、迷うことなく買った。読んだ。

そんなふうに読みたい本は読んでいた。

でも私は大学生になってから、高校生の時とは違って、本を読むことよりも優先させたいことが増えてしまい、純粋に本を読む時間はなかなか取れなくなっていた。

あんなに好きだった本を、私はあまり手に取れなくなっていた。
好きだと思う、でも手に取るのが、時間を費やすのが、なんだか億劫になってしまった。
それは社会人になってからも変わっていない。

大学を卒業して、私は中学校の教師になった。
目が回るような忙しい日々。
ストレスに苛まれて苦しくてつらくて、毎日帰宅時にはコンビニに寄り、たくさんのご飯を買って、たくさん食べて自分を慰めた。
本なんて読めるはずがなかった。

そんなふうに過ごして一年経って、私は島の中学校に異動した。
2年目になったからなのか、島ののんびりとした雰囲気がよかったのか、私は前よりも心に余裕が出てきて、ストレスが明らかに減った。

島の学校では学校司書の役割も担うことになった。小さな学校なので、規模的に学校司書が雇えないという悲しい現状があったからそうなったのだが、私はまた、本に触れる機会が増えた。
自分が中学生の時に読んで面白かった本や最近話題になっている本、先生方のおすすめの本、生徒たちがアンケートで答えてくれた、今読みたい本。色々調べて沢山の本に触れることができた。
学校の図書室で本を借りて読んだりもした。
私はその頃、恩田陸の「蜜蜂と遠雷」を愛読していた。

また本が読める時間が増えてきて、私は嬉しくなった。

(続く)


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