見出し画像

【詩】みんな放り投げることができたなら

僕がかけらしか持っていないものを
君は抱えるほどに持っていたから

君がひとつまみしか持てないものを
僕は両手いっぱいに持つことができたから

そうやって並んでいられることを
当たり前のように感じていたんだ

それなのにいつしか少しずつ
君の持ってもらいたいものが
なんなのかわからなくなっていた

だから君の涙だってもう
ほかのものでいっぱいになった
この手じゃ拭うこともできない

それをみんな放り投げることができたならと
できやしない「もしも」を自分に言い聞かせた

ただ君の手をとる力と
勇気を持っていなかっただけなのに


ちょびっとの悲劇

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?