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アート関係を必死に理解しようとしてレビューするマガジン

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広い意味でのアートをレビューします
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#横浜能楽堂

「横浜狂言堂」231008

「横浜狂言堂」231008

「縄綯(なわない)」

ギャンブル好きの主人が、何某氏に負けた分の支払いをできずに、太郎冠者を差し出す。
太郎冠者本人はまさか自分が借金の支払いにあてられたとは知らずに何某氏のところに出向く。
そこで、自分が借金のカタにされていたと知らされる。
何某氏に仕事を命じられるが、太郎冠者は渋る。
借金のカタに手にいれた太郎冠者が働かないので、何某氏は主人にやっぱり金をくれという。主人は太郎冠者はちゃんと

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横浜狂言堂230709(和泉流)

横浜狂言堂230709(和泉流)

「文山賊(ふみやまだち)」
二人組の山賊が主人公。仕事がうまくいかずに、喧嘩になる。殺し合いをすることになるのだが、見物人もいないところでやるのもなんだな、という話になる。
では遺書を残そうではないか、と。
ふたりがあれこれと掛け合いをしながら、遺書を書いていくのだが、結局は仲直りをするという話。

たとえばこれが外国人同士だったとする。言語も文化も違っていたら、やっぱりこういう風にこじれるかもし

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横浜狂言堂230611(大蔵流<茂山千五郎家)

横浜狂言堂230611(大蔵流<茂山千五郎家)

「延命袋」
口うるさい女房が実家に帰ったのをきっかけに、夫は離縁状を書いて、実家の妻に届けさせる。離縁状を読んだ妻は激怒して、「自分で面と向かって返事をする」と、夫の家に戻り、怒鳴りあいがはじまる。妻が「別れるのなら、暇のしるしをくれ」と言うと、夫が「別れてくれるならなんでも好きなものを持っていけ」と言い返す。」妻は「そのためにちゃんと袋を持ってきたんだ」と大きな袋を取り出す。そして妻が選んだもの

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横浜狂言堂230409

横浜狂言堂230409

座席が少し離れたところだったので、逆にあたらしい発見があった。
シテが遠いので、アドの視点がちかい。
狂言はいくつもの視点が同時進行するというか、登場人物がそれぞれ主役になりうる。
人生もそうだ。自分や身近な人だけでなく、さまざまな人がそれぞれの人生をいきている。

「素袍落(すおうおとし)」
シテの太郎冠者は、主人のお使いで、親戚の叔父さんの家にいく。伊勢参宮のお誘いなのだが、急な話だったので叔

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横浜狂言堂220911

横浜狂言堂220911

文相撲

とある大名が部下を召し抱えることにする。
大名と太郎冠者とのやりとりがとぼけていて面白い。
大名は部下をたくさん集めたいようなのだが、太郎冠者がやんわりと「たくさんの部下を集めても、養う余裕がない」とたしなめる。結局部下はひとりでいいという話に落ち着く。いい相談役がいると経営が破綻しなくてよい。

太郎冠者が見つけてきた男は相撲が得意なことがわかり、大名自ら相手をすることになる。
そして

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【狂言】「衣大名」「鎌腹」

【狂言】「衣大名」「鎌腹」

横浜能楽堂にて。

「衣大名」
アンデルセンの「裸の王様」を狂言にしたもの。
明治時代に早稲田文学で、こういった動きがあったらしい。
全体的には狂言として消化されていて見事だった。
最後がシリアスになっていて、ここは狂言的ではないと感じた。これはなにか意図的な演出なんだろうか。

「鎌腹」
夫婦の物語。
妻が鎌をつけた棒を振り回すところからはじまる。かなり激しい演出だが、狂言らしい楽しさがある。

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狂言師山本東次郎氏のことば

狂言師山本東次郎氏のことば

横浜能楽堂にて狂言を観た。
狂言師の山本東次郎氏は4歳の時から狂言をはじめて、今年の5月5日で芸歴80年を迎えたとのこと。

芝居をするときは声にも張りがあり、動きもしっかりとしている。さすがだなと思っていたら、最後の挨拶のときに、「元気に見えるかもしれないが、体がぼろぼろです」という話をされていた。喋りながら、言葉が出てこなかったり、耳も遠くなっている様子。芝居のときとのギャップに驚いた。

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