いじめじゃなかったと思われているけれど

いじめだったとはいい切れないのだろう・・・か。

小学校の低学年のころ、息子はしょっちゅうけがをして帰ってきていた。
息子もそこそこやんちゃだったし、大きなケガではなかったので、それほど気にしていたわけでもなかった。

でもあるとき、目の上に傷をつけて帰ってきた。
「どうしたの?」と聞くと「Ⅿくんがブロックを上に投げてぶつかった」
Ⅿくんは保育園も一緒で、仲のいい子だった。
体が大きくて、頭もよくて、少し乱暴な子だ。

いおうかどうしようか迷ったけれど、このときは相手には伝えなかった。

数日後、Ⅿくんのお母さんに会ったので、ケガしたことをいった。
「目のそばだったんです」

「目はどうでした?」
「目は大丈夫でしたけど」
「そうですか」

それで終わってしまって、謝罪もなかった。

ん??
と思ったけれど「謝ってください」とはいいにくくて、ぐっと飲みこんでしまった。

少しして、今度は足をケガした。あざと、切り傷がある。
学童のお迎えで、
「どうしたの?」と聞くと
「Ⅿくんに足を引っかけられて、机にぶつかった」

その時、保育園からずっと一緒の、しっかりした女の子Sちゃんがいった。

「スポッ太くん(息子)のけがは、み~んなⅯくんだよ」
あっさりいわれて驚いた。

「そうなの?」と聞くと息子は、
「ん~・・・」と悔しそうな表情で、うなづく。

どういったらいいものか。
悩んでいたら追いかけるように、またケガをしてきた。

息子は鈍いのか?とも思うけれど、ケガはケガだ。
今度はおでこ。
髪の生え際にかけて、切り傷が痛々しかった。

またⅯくんだ。

学童では、「すみません。目を話していたすきにⅯくんがやったようです」という。
息子と学童の話を総合すると、取り合いになった時にⅯくんがカッとなってブロックでぶったらしい。

でもⅯくんのお宅から謝罪はなかった。

思い余って小学校の先生に伝えた。
ケガが絶えないこと、すべてⅯくんのせいであること、保護者からは何の連絡もないこと。

先生が息子のけがを見て、Ⅿくんのお宅に連絡をしてくれた。

「かすり傷ではありません。血の跡もありますし、3㎝以上の切り傷です」

それでようやく連絡がきた。

「すみません。学童からはかすり傷だと聞いたので」と。
深い謝罪には受け取れなかった。
かすり傷でもけがをさせたなら、私だったら連絡をするし、謝罪する。

私は納得できず、休日に時間を取って会うことになった。

説明を聞いたが、
「うちのⅯはスポッ太くんが大好きなんです。だからつい構ってしまって・・・けがをさせる気はなくて」

「でもこの間の傷はかなり大きな傷で、ぶたれたんですよ、硬いブロックで」
「本人に聞いたらおぼえていないようなんです・・・」
「でもぶたれています。血が流れた後もありました」
「カッとしてしまったようで、すみません」

あまり悪いと思っていないように感じられた。Ⅿくんをかばう言動ばかり。こちらのしんどい気持ちは伝わっていない。
そしてこう続けられたのだ。

「Ⅿがケガさせるのは、スポッ太くんだけなんです」

え??

どういうこと?
スポッ太だけならいいっていうこと? 
それはおかしいんじゃないの?
うちの子はどうなるの?

のちにうちの子だけではなかったと判明したが、その時は知らなかった。

これ以上謝ってもらっても変わらないのだ、ということはわかった。


息子と話すと
「もうⅯとは遊びたくないから、いい。ほかの子と遊ぶ。
今までもそうしたかったのに、Ⅿが来るんだよ」

どうやらほかの子と遊びたがる息子を引き留めるために、激しい行動をしてしまうようだった。

本人はもちろん、いじめという自覚はない。
ご両親にも、ない。

小学校の先生と学童のスタッフに状況を伝えて、気をつけてもらうようにお願いした。

その後、けがは減ったけれど、しつこく追いかけられているという報告はあった。息子は積極的には遊ばず、適当に受け流しているようだった。

仲が悪いわけではない。

遊ぶこともある。

でも、遊ばせたいわけではない。
息子も遊びたいわけでは、ない。
うちに呼ぶことは、もうなかった。


Ⅿくんのご両親は「Ⅿはこういっています」とはいうけれど、こちらの話はあまり聞いてくれなかった。


息子はケンカをしても勝てないことが、悔しかったようだ。
「今度ケンカしたら、勝つ」といっていた。
でも体の大きさが違うしね・・・。
息子は細いが、Ⅿくんはがっしりしたタイプで、背も高かった。

息子の背がⅯくんを追い抜いたとき、もう遊ぶことはほとんどなかった。

その後もかかわりはあったけれど、少しずつ親子ともに距離ができていった。あるいは距離を取っていったともいえる。
ほかの子とも摩擦があり、Ⅿくんはだんだんと孤立していってしまった。
私は何もいえなかった。それも、胸に重い。


今もⅯくんもそのご両親も、息子をいじめたと少しも思っていないだろう。

息子はⅯくんの名前が出ると、「もう関係ないから」ときっぱりいう。

でも私の中には、苦いものが残っている。

どうしたらよかったのか、わからないのだけど。
今も時折り、胸が苦しくなることがある。

だから、そのあと別の子とケンカがあった時、とにかく話を聞くようにした。息子の話も、相手の話も、ご両親の話も。
息子の味方だが息子の側だけに立たない、ように。

中学に入っても。

あれ以上大きなケンカもケガも、ない。
でもいつか起きたら、とにかく話を聞きたい。もう高校生、だけどね。


20210615窓の雨粒


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