一緒にいるだけが温かいんじゃないよねっていい聞かせている
友人がぼやいていた。
「黒猫の方は、俺の布団に入ってくるけど、三毛の方は嫁の方にしか行かないんですよ・・・」
飼い始めた2ひきの猫ちゃんの、話。
もうメロメロで、見せてもらった猫と同じくらいその男性が、可愛い。
ふと思い出した。
同じ布団で寝た、温かいもの。
小さい時の、息子。
うちはベビーベッドを用意しないで、ずっと添い寝だった。
10歳くらいまで。
赤ちゃんの時は、暑いくらいポカポカ。
でも、足元まで届かないので、足はスース―してたけど。
「ママ~」といってくっついてきたときの、至福。
ぬくぬくと温かかった。
少しして、寝相が悪くてたたかれて、けられて。
布団も狭くなってきて、寝不足になって。
「別々のお布団にする?」
と聞いた時の泣きべそ顔。
もちろん、わかっていた。
期間限定であること。
やがて、布団からも、部屋からも出ていって。
夫も「いびきがうるさいだろうから」と別の部屋に。
伸び伸び。
だけど、ちょっと、寂しい。
冬。
スース―するので、湯たんぽを買った。
お湯を入れるのがちょっと危なくて、面倒だけど、暖かい。
はじめは真ん中に置いて布団を温めて、寝るときに足元にずらす。
ホカホカ。
時おり、おなかに抱いてみる。
ポカポカ。
そして動かない。
やがて、それでも寒いことに気がついた。
かけ布団がペタンコなのだ。
15年以上使っていた。
毛布を掛けてごまかしていたけれど、あまりにも、薄い。
悩んだ末に、かけ布団を新調した。
ふっくらふくらんで。
置いてあるだけで、人が入っているみたい。
そっと入り込むと、もう温かい。
ああ、危険・・・。
出られない・・・
布団を買ってから、湯たんぽを忘れていた。
でも、息子のぬくもりは何度も思い出す。
仕事で深夜に帰った時。
夫と寄り添って眠る息子をそっと抱き上げて、寄り添って寝た。
ほっとして、ガチガチに固まっていた頭がふっとほぐれた。
甘い時間だった。
でも、大丈夫。
今は温かい羽根布団が十分すぎるほどに、誘惑的なのだ。
「猫を飼ったら?」といわれるけれど、それもすてきだけれど、
私は旅に出たいから。
あきらめて。
だから、私一人でも暖かいように。
羽根布団だけで寒くなったら、湯たんぽと毛布も動員しよう。
あのぬくもりは、一生忘れないけれど。
※イラストはおくちはるさんからお借りしました。ありがとうございます。
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