卒業。そして私も新しい日々へと
「最後の制服姿を、撮りたいな」
「ん。どこで?」
息子の卒業式の朝の、普通の会話。
みたいだけど。
私はしみじみした・・・
小学校の卒業式では、ぶんむくれていて。
少し早めの思春期か、式の間もずっと仏頂面だった。
だから担任の先生との二人写真も撮れず。
中学の卒業式でも、ツーンと無表情で。
まあ、中高一貫校なので「卒業」という感じでもなかったけれど。
それが、高校卒業となると、ちがうんだなあ・・・。
朝からジ~ン。
階段と、玄関の外で。
近所の人が通っても、気にしないで撮影させてくれた。
普通、なのかもしれないけれど。
今までは、いやがっていたり、逃げたりしていたから。
学生服も、もう見納め。
卒業式は、とても静かに進められて。
淡々と、終わった。
「ああ、これでもう卒業なんだな」
本番?はそのあと。
教室で、仲よく騒いで。
看板の横で記念撮影をする。
親子で。
友だちと。
私たちはあとの方。
だんだん撮影が盛り上がってきて。
「もっとくっついて」
「サービスカットお願いします!」
なんて声がかかって。
子どもが、お母さんの肩を抱いたりする。
「え~」とかいいながら、でも笑顔で。
私の時も、肩に手を回してくれて。
ふふ
うれしかった。
息子の、めっちゃシャイな友だちも。
生意気なことをいっていた友だちも。
みんな。
お母さん方はみんな、ウルウルして。
サラッとこんなことができるようになって。
親への、反発や反抗心を乗り越えて、通り過ぎて。
少し離れたところから、親を見るようになったのだろう。
手が離れ、
手を離し。
それはずいぶん前だった気もするけれど、最近の気もする。
卒業おめでとう。
一度買い替えた学生服が、もう短いくらい。
スニーカーから、ローファーになって。
足がしっかり、大地を踏みしめている。
私から卒業しても、私はずっとあなたを見ている。
もう守れないけれど、見ている。
背中を。
離れていく、背中を。
もう「卒業」。
私も息子から。
遅すぎるくらいだけど。
息子のことよりも、自分のことを考えて。
私が、できること。
やりたいこと。
やること。
ずっと考えているつもりなのに、まだよくわかっていなくて。
なんだか、息子の方が、しっかり考えているみたいにも思えて。
悔しい。
春は新しいことを、新しい関係を、新しい考えを、新しい環境を、新しい人間関係を、新しい日々を、連れてきてくれる。
衣を脱ぐように、新しい生活へと、進もう。
私も。
昨日、「卒業おめでとう」をいってくださった皆様、ありがとうございます✨ 何回か書かせていただます。もしよかったら、おつきあいください。
※イラストはおくちはるさんからお借りしました。ありがとうございます。
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