夫婦別姓×ジェンダーギャップ指数
経団連が「選択的夫婦別姓」の早期導入を求める提言をまとめた。
夫婦別姓を認めない今の制度は女性の活躍が広がる中で海外でのビジネスなどの際に支障が出かねないなど、企業のビジネス上のリスクになりうると指摘している。
この提言を受けても、国はあくまで慎重な姿勢だった。広く国民の意見を聞いて、検討していきたいとのことである。
妻は僕と結婚して姓が変わった。クレジットカードや銀行口座、サイトの登録名の変更など、新姓に改める作業は大変そうであったし、申し訳ないとすら思ってしまった。
職場では旧姓を名乗っていたが、病院で名前を呼ばれるときは新姓なので、リアクションに慣れるまで時間を要していた。
特許申請をする場合は戸籍上の名前でなければならないため、女性研究者にとっては大きな障壁になっているともいう。
結婚するとLINEの名前を変える女性も多い。妻はフルネームを名前だけに変更している。新姓に変える人、新姓に変えた上で(旧姓)とする人、ひとことコメントのところに「旧姓:〇〇」とする人もいる。
婚姻関係で平等な夫婦となったのに、なぜ女性にだけこうも負担がかかるのだろうか。
世界経済フォーラムは2024年の「ジェンダーギャップ指数」を発表した。「経済」「教育」「健康」「政治」の4分野で男女平等の度合いを毎年分析・数値化したものである。
日本は調査対象146ヶ国中、118位だった。先進7カ国の中でも最下位である。これでも前年から7つ順位をあげている。
政治分野の押し上げが総合順位を押し上げたとしているが、男女平等というには程遠い数値だそうだ。
世界経済フォーラムの試算によると、完全な男女平等を達成するにはあと134年を要する見込みであるとのことだ。
選択的夫婦別姓の議論は約30年間、ほとんど平行線をたどっている。日本ならではの「イエ制度」が障壁となっているのだ。
夫婦別姓となると「夫婦としての一体感が薄れる」「子どもがかわいそう」などとの意見があるそうだ。極めて抽象的であると思う。一方で夫婦同姓を強制することによる女性の不利益は具体明確だ。
僕は立派な家に生まれたわけではないので、「家系を守る」みたいな考えはピンとこない。多分、僕が妻の姓を名乗っても親は何も言わず受け入れてくれると思う(何も思わないかは別問題であるが)。
この記事にも書いたが、僕の職場は女性が少ない。仕事をする相手は男性9:女性1くらいの割合だが、仕事をさせてもらう女性は優秀な方ばかりだ。
ジェンダーギャップは世界に大きく遅れを取っている。夫婦同姓の強制が女性に不利益を与え、活躍の場を狭めているのであるとすれば、早急にテコ入れをする問題ではないのだろうか。
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