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読書人間📚『乳と卵』 川上未映子


『乳と卵』 著 / 川上未映子 

「文學界」2007年12月号掲載
単行本 2008年2月出版
芥川賞受賞作



文庫本掲載作品、二編。
▪️乳と卵
▪️あなたたちの恋愛は瀕死



表題 『乳と卵』
これは、ちょっと手強い。方言や会話の言い回しがスムーズに入って来ない。何度も読み直して頭の中で言葉を口ずさむ。そうすると本当に口がもやもや動き出し、発声する。
私、大阪育ちじゃないしなぁ、長崎はもっとクセが強いし、大分県とも違うなぁと思いながら読み進める(私は長崎生→大分→現在東京)。
馴染みにくいその生々しさが特徴で、きっと大阪育ちの人が読むと滑らかで変に気取った大阪イントネーションでは無いのでしょう。


そんな風に一所懸命、慣れない土地の言葉を噛み砕きながら呼んでいると、なんと!登場人物の娘が口をきかない!
読者の私が、芥川賞受賞作に奮起し時間をかけ、口に出して読んでいるにも関わらず、娘はなかなか喋らない。あー反抗期〜。

私は目立った反抗期が無い子供で、本書に登場する娘の様に母の"女"の面、オトコの目を意識するオンナの顔を見た記憶がありません。
娘は母を嫌だと思いながらも、苦労をさせてるのは自分が存在するからだと、申し訳なさと悲しみ。それを上手く言葉にできず、更に母との距離は離れていくばかりです。加えて自分の成長も苛立ちの一つ。難しい年ごろ。
ですが、本作品は母との距離はいつか繋がるものだと教えてくれます。
込み上げてくる涙があり、本書の筋となる美容や整形、女としての執着、意固地さよりも、母と娘の成長作品として私は感じるものがありました。


しかしですねえ、
60ページ。最低な男の登場。
「やーこんな事言われてよくもまぁ殺人事件にでも発展せんやったなぁ!ようあんた耐えたワ!あたしやったら無理や!」
と、ちょっと大分なまりで思わず発してしまいました。んー。酷い。酷い。




▪️『あなたたちの恋愛は瀕死』

新宿。あー、あの街はそう言う匂いがする街だなー。紀伊國屋の先の靴屋の前にティッシュ配りの人達が固まっている場所。
私もよくティッシュを受け取っていたのを思い出します。
新宿と言う街の人の行き交うあの場所。あの場所を人間の性の交わる危うい場所として連想する人がどれくらいいるでしょう。
作家、川上未映子と言う人は何をどう見て生きてきたのだろうと耽った作品でした。
一見、分かり難いかもしれません。新宿と言う街の表と裏、生と性、その欲望を誰もが見て見ぬふりできない、実は遠い所の話ではなく近場の事です。



アートワーク・吉崎恵理
デザイン・大久保明子
文春文庫

ジャケ書いです。ステキ。


#芥川賞  #本 #読書

🌝声、発声、機能を考える
ボイス・ボーカルレッスン/東京都 
音楽療法(医療行為は行わない)の観点からオーラルフレイル、口腔機能、老化防止を意識した呼吸法、発声のレッスンも行います。

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