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鳥見散歩<T村編>1/2話 2023年8月 標高1,000Mの集落

 先日、鳥見仲間で茶飲み友達のモカさんとT村へ行ってきました。

 T村は標高1,000Mの農村です。
 この日、最高気温の記録は38度超でしたが、T村は31度でした。

 私たちは、ある冬鳥を探していました。

 その鳥の名はジョウビタキ。

 元々は渡り鳥で、冬に日本にやってくるのですが、近年、海を渡らずに日本国内で繁殖している個体が急増しています。
 T村にジョウビタキが繁殖しているというのは野鳥の会ゆる支部の方から聞きました。

 ひとりで行くのは遠いので、モカさんに声をかけたというわけです。

 またT村では、ノビタキという鳥も繁殖するようになったそうです。
 T村を農村として開拓した結果、森から草原に変わったため、ノビタキが繁殖地を変えたのだろうとのことです。

 T村の情報がほとんどなく、ノビタキがいるなら田園地帯ではないかと推測をたてて、水田の多いところにしぼって車を走らせました。

 道に迷ったような気がしながら走っていると、助手席のモカさんが
 「いた!いたいたいた」
 「戻ります?」
 「戻って!」

 モカさんがさっそく鳥を見つけたようです。
 トウモロコシ畑の脇の道が広くなっていたので、そこに車を寄せました。

 モカさんが鳥の場所を教えてくれました。
 「その電線の上」
 「本当だ」

 電線の上にいたのは……

 「ホオジロ?」
 「えっ」

 急にモカさんの声のトーンが落ちました。
 「ホオジロだね……」

 夏になるとホオジロは高い山へ行ってしまうので、珍しいと言えば珍しいのですが、モカさんガッカリ。

ホオジロ

 道を引き返したところ、崖の上に飛び移る鳥を見つけました。

 せっかくなので道が広くなったところを見つけて車を停めました。 

 「知らない鳴き声がする」
 そう言い合って目をこらしたのですが、鳥は見つかりません。

 「ヒヨドリ?」
 「そっちにいるのはヒヨドリだけど」

 結局わからないままでした。

 その道を先に進むと住宅の多いところに出ました。
 新築したばかりのきれいな家が並んでいて、農村というよりは住宅街でした。

 住宅と田んぼの間の道を走っていると、小鳥が飛び立ちました。
 「いた!」
 「今の、何ちゃん?」

 慌てて車を停めて、急いで畑の小鳥を確認しました。

 「スズメ」
 「…………」

 ふたりともガッカリ。

スズメ

 モカさんが、向こうに見える木がこんもりと茂った一角を指して言いました。

 「向こうはどう?」
 「いそうだね」

 そういうわけで、次に向かったのは木の多い場所でした。

 川に向かって急な下り坂になっていて、苔むした緑色の道を下りました。
 すると目の前を小鳥が3羽飛び立ちました。

 私は運転しながら
 「何ちゃん?」

 モカさんはカメラのズームで確認すると
 「キレンジャク」
 「えぇっ!?」
 「違った、キビタキ、じゃなくて、キセキレイ」

 モカさん、慌てすぎです。

 キセキレイは飛んで逃げるのですが、私たちの進みたい方向に逃げるので、しばらく追いかける羽目になりました。

2につづく

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