マガジンのカバー画像

無拍子

34
全部で33話の物語です。
運営しているクリエイター

記事一覧

無拍子(第三章(最終章))

無拍子(第三章(最終章))

第三章
それは自分で探すもなのさ、口説くなるようだけど
【24 凪=風がやんで波が無くなり海面が静まること】
部屋の真ん中にパスタの麺がこねられるような大きな机があり、そこに大きくてカラフルな布が敷いてある。
その布の上には、さっきボンゴレ大陸と話し込んでいた、大きな丸い蛸がイライラしている雰囲気で待っていた。
その身体の色合いが、薄白く変わっていたからね。
セバ教授改めアンクル(この呼び名は今の

もっとみる
無拍子(第二章)

無拍子(第二章)

第二章
周りの人間も、君が好きで好きでたまりません
【12 かなり寒い日に、僕らはいきなり旅だった】
トマトの宣言を聞いた後、僕はドルトムント伯爵の顔をドキドキしながらちらと見る。
「ん、ん、ん」と、又咳ばらいを3つ
ドルトムント伯爵はゆっくりと、そして柔らかい声でこう切り出した。
「ペンギンの足は?」
その言葉にまたしても僕は驚いてしまう。
さぞかしトマトも驚いているだろうと、彼女の顔を覗き込む

もっとみる
無拍子(第一章)

無拍子(第一章)

第一章
目的を持たずに生きるということの楽しさ
【1 魚屋のおばさんとそこに居合わせた客の会話】
夕暮れ時。
僕は最近、親といまいち折り合いが悪く
家に帰りたくないと思うことがしばしばあった。
いつもはそこらに落ちている空き缶なのだけど、その日に限って空き缶はひとつも手に入らなかった。
角の酒屋のごみ箱に何種類かの空き缶を見つけた。
缶詰の缶は論外だし、ビールの缶もいまいち気に入らない。
そこにマ

もっとみる

無拍子(33)

【最終回 緑山猫】

あの角に差し掛かると、決まって酒屋のごみ箱の中からマウンテンデューの空き缶を探してしまう。ゴミ箱の中の何種類かの空き缶をかきわけて、缶詰の缶は論外だしビールの缶には目もくれず。

何度かそこで見つけたマウンテンデューの空き缶も、

僕が自分のお小遣いを工面して自動販売機でマウンテンデューを買って、一息で飲み切ったあとの空き缶も、

さっぱりだった。

そうしているうちにマウン

もっとみる

無拍子(32)

【32 星との会話、星との懇談、星の陰謀】

☆を作る試験のために[トウガンの岩]のかたわらに僕はいた。

星を作るにはバナナの蜜を蜘蛛に勧めて、気に入ってもらえなくてはならない。

どちらにしても蜘蛛がやってくるのを僕はひたすらに待たなくてはいけなかったんだ。

夜を彩る蜘蛛たちはなかなかに現れることはなく、夜に住まう蜘蛛たちはぜんぜんやってくることはなかった。

7日か4日たった頃に、あのウル

もっとみる

無拍子(31)

【31 工場に行こう】

次の日の朝(あの蜘蛛がやって来たわけではない。ここではいつも朝にやってくるあの看板の[朝]が来た時が朝なんだ)僕らはカジノフォーリーとイースカーに別れを告げていた。

カジノフォーリーは

「ほなな、またいつかな」って

イースカーはアンクルを失ってしゃべる事が出来なくなってしまった黒い影のセバ教授の事を、くれぐれも頼むよと何度も僕らに頼んでいた。

僕はイースカーに

もっとみる

無拍子(30)

【30 こんなに素晴らしい日、三度登場のあの人を添えて】

アンクルを失ってしゃべる事の出来なくなってしまった影を纏っているセバ教授を乗せた鯉のぼりは、更なる重みと僕の操舵についての不満があるのか僕の言うことを益々聞かなくなっていた。

それは、ギラギラしてへらへらした太陽と[MOON]と書かれてしまっている月が知り合いの子についていがみ合っているせいなのかもしれない。

3時間に一回でよかった鯉

もっとみる

無拍子(29)

【29 よういではないことが世の中には溢れている】

ドルトムント伯爵の元にたどり着くのは、簡単なことではなかった。

何せ、僕は一人きりになってしまったし、鯉のぼりはまだセバ教授の重さが背中にない事に不服を訴えているし、ピギーのヒントがいちいち無くなってしまったし。

今、星図とのコミニケーションだけが唯一の頼りだった。だけどうまく話し合いができてくるころ、決まって鯉のぼりは暴れだす。

そのた

もっとみる

無拍子(28)

【28 イルカの成人式】

そんな悲しい出来事があっても僕らは前を向いて旅を続けた。

僕もその頃には星図との会話がスラスラできるようになっていたし、横でヒントをピギーがいちいち持ってきてくれていたから、旅はセバ教授を失っても間違える事なく前に進めたんだ。

ただ、鯉のぼりはセバ教授になついていたからね。

とても深く悲しんでいた。

まっすぐ飛べなくなるほどね。

そうしてとうとう15番目の[模

もっとみる

無拍子(27)

【27 アンクルの独講演】

僕らはそれから、大きな丸い蛸と黒い影を背負っているセバ教授が作成した星図をもとにしてイルカの雛のピギーの父親のマムシを探しに旅を続けた。

あの事件で風船はダメになってしまったから、セバ教授が懇意にしていた鯉のぼりをうまく利用してね(もちろんあのラクダの徳利を用いて)

ちょっと不思議なお願いの仕方をしていたけど。

僕らは15の様々な都市や街を順に回っていろいろなこ

もっとみる
無拍子を書き終えて

無拍子を書き終えて

12年前にガラケーで書いた物語です。

文章も内容もはちゃめちゃで破綻してたので、今回ノートに上げるのに修正箇所が多い多い(修正してあれですか?とかいうのは聞きません)

物語の概要も何も考えずに毎日ガラケーに打ち込んだものをPCに貯めてたんですが、何せ12年前なのでデータがどこにも無くなってて

紙の資料だけが残ってたので、それを打ち直しました。

こんな話の長編があと何本か、長編はやっぱり話が

もっとみる

無拍子(26)

【26 誰が居るのかな?そこには】

僕は泣きじゃくっている。

大きな丸い蛸と影で出来ているマントを背をっているセバ教授はマンホールの上にイースカーだった子をそっと置く。

僕は泣きじゃくっている。

イルカの雛のピギーはマンホールの端をトントンココンとスプーンで叩く。

僕は泣きじゃくっている。

次の瞬間、マンホールは裏表になって表が表にやって来た時にはすっかりイースカーだった子の姿は跡形も

もっとみる

無拍子(25)

【25 風船にも感情にも限界は、あるということ】

アンクル改めセバ教授は(この一連の作業が終わるといつの間にかアンクルは、セバ教授の衣装をすっかり着こんでいた。この姿になっているときはセバと呼びなさいと、強く強く僕に彼は強調した)

「ウ、そろそろ時間だね」

一言声をかけると、大きな丸い蛸と先に立って玄関に向かった。

玄関まで差し掛かると、その内側にダウリンは顔をのぞかせていた。

ダウリン

もっとみる

無拍子(24)

第三章

それは自分で探すもなのさ、口説くなるようだけど

【24 凪=風がやんで波が無くなり海面が静まること】

部屋の真ん中にパスタの麺がこねられるような大きな机があり、そこに大きくてカラフルな布が敷いてある。

その布の上には、さっきボンゴレ大陸と話し込んでいた、大きな丸い蛸がイライラしている雰囲気で待っていた。

その身体の色合いが、薄白く変わっていたからね。

セバ教授改めアンクル(この

もっとみる