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【発達障害】WAIS-ⅣとCAAAS受検⑨

■ワーキングメモリー(WMI)

以前は作動記憶と言われていた項目。
注意を維持して耳で聞いた情報を処理する能力を示す。
下位検査は
数唱:注意力・集中力
語音整列:注意力と作動記憶の連携

わたしはこれも全検査IQに近い数値で平均の下。通常よりやや弱い。
しかし、この検査を実施しているとその理由は明確にわかった。
感覚過敏(=知覚のアンバランス)と、処理速度の遅さが足を引っ張っている。
つまり
感覚過敏→人の気配や話し声がすると気が逸れて忘れてしまう。
処理速度が遅い→脳内で処理している間に飛んでしまう。
 
 
一般的にADHDは「作動記憶」「処理速度」の能力が低下していることが多いとされているけれど、両方が低いというわけではなく、どちらかが低いともう片方にも影響する、相関性があるということではないだろうかと思った。
 
そして、これまでADHDの先延ばしグセは衝動性や不注意による気の散りやすさに原因があるとか、遅延報酬障害(脳の報酬系に問題がある為に将来もらえる報酬よりも目の前の楽しみを選んでしまう)がある故とか言われているが、所見にはハッキリと「ワーキングメモリーは実行機能とも関連している」と記載されていることにわたしは着目した。
いくつか調べるうち、このような文献に当たった。

ワーキングメモリは、人間の思考や行動の制御に関わる実行機能の一部とされる。
ワーキングメモリと実行機能との関連については様々な考え方があるが、少なくとも両者は密接に関わり、脳の前頭葉によってその働きが担われてい
る。
本特集では、実行機能には【抑制,更新,シフティング(切り替え)】の 3 つの要素があり,更新がワーキングメモリに相当すると考える。

発達心理学研究/30 巻 (2019) 4 号 「ワーキングメモリと実行機能の発達」特集序文

”更新がワーキングメモリに相当すると考える”とある。
「更新」は、新しい情報に注意を向け、その情報を記憶し処理すること。
これは作動記憶という機能そのものや検査内容をそのまま表しているのでわかりやすい。 
しかし、実行機能という部分に着目した場合、ADHD当事者としてはこの3つの実行機能の要素の中で最も影響が大きいのは「シフティング」のような気がする。
「シフティング」は必要な活動のために今取り組んでいることから気持ちや注意を切り替えることだが、それがうまくいかない、実行に移せない、遅延してしまうというのが汎ゆる面で影響している。
提出物や支払いの先延ばし、出発準備に取り掛かるのに遅れて遅刻してしまう等は、日付感覚時間感覚の知覚のズレと相互作用して起きている現象のように思う。
また、「抑制」は、必要な情報に注意をするために他に注意を向けないことだが、感覚過敏があるとこれも働きづらい。
これらのことからも、発達障害は単にどれかの機能が著しく劣っているとか、機能別に著しい能力差があるからとかではなく、それぞれの下位検査のによって低く出たものが弱点となり、それが相互に組み合わさって困難さを作り出しているように感じた。

わたしが処理速度75と境界知能レベルなのにタイピングと読書は早いのは言語理解が高値であるのと関係していると思うし、だからこそからこそ調べたり分析したりして対策を取ることができたとか、自分の感覚を言語化でき文書や口頭で伝えられるという面もあった。先を見通すとか予測を立てるとかの強みの部分で忘れっぽさとかカバーしてきた部分もある。
プラスの部分を組み合わせることで対抗できる余地は十分あるのではないだろうか。

次回は、その問題の、一番低く出た処理速度です。


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