不快感とすっきり感の間の、知的欲求を高めるモヤモヤのデザイン
『問いのデザイン』を執筆した塩瀬先生が講師として登壇された、「問い」からはじまるコミュニケーション/第2回【問いをつくる】というオンラインイベントに参加した。
このワークショップのテーマは「多様性」。80人が参加するオンラインイベントで、2時間の間に8回もグループワークがあった。(こんなに回数多いの初めて!)
ファシリテーションの観点から観察しての気づきと塩瀬先生からのフィードバックをもとに、「もやもやするからもっと学びたくなる」ワークショップデザインのポイントをまとめた。
もやもやに向き合うことが必要なときとは
多様性は大事だと多くの人が漠然と思っている。
けど抽象度が高くて自分の言葉で語れなかったり、なんで大事か、何が多様性かと問われるとわからなかったりすることが多い。
そういうときは模範解答的な考えを得てすっきりするよりも、モヤモヤすることに存分に向き合ったほうがいいようだ。
イベント後に塩瀬先生はこんな風に教えてくださった。
「多様性を肯定(しないといけないという強迫観念)してはいる。
他方でモヤモヤする部分も自分のなかにありつつも言葉にはできない。もっと知りたいからこういう講座に参加する。参加している人は前向きなんだろうけど、何かひっかかりがある。そういうときは、知りたいスッキリよりも、ひっかかりを大切にしたほうがいい。」
モヤモヤの言語化に挑戦したり、あまのじゃくな問いを投げかけられたりすると、別の観点や説明するときの言葉が増える。
さらに「モヤモヤを解消したい、もっと知りたい」と参加者が勝手に学習へ向かうようになる。
喉が渇いたときに飲む水が至福でしみわたるように、欲しいときに得る知識が一番身につきやすく、得られたときの喜びが大きいのだ。
ワークショップデザインではそんな風に知識を渇望する状況をつくることで、参加者の学習を促すことができる。
「多様性とは〇〇である。あなたにとっての〇〇は?」
この問いを核として、新しいアイディアを提案する人のモチベーションをへし折るようなセリフを考えたり、多様性を打ち消すチームや会議の条件を考えたり、あまのじゃくな視点から多様性を考え直すプロセス設計。
ステンドグラスや石垣というアナロジー(類推)を使って、色や形は1つ1つ違うけどうまく組み合わせると全体として価値が高まる、という見方も伝えてもらった。
じゃあ、多様性を取り入れるときは全体の価値を高めないといけないのか。
「全体の価値を高めること」自体が世の中で期待される価値尺度にはまっている。
でも異質な人や物が入ってコミュニケーションが変化すること自体が価値だと塩瀬先生は最後に話してくださった。
目まぐるしくいろんな考えに触れて、わかるような、わからないような状態になった。
結局多様性とはなんなんだろうか。
それはワークショップが終わったあとも考え続けたくなる、心地よいモヤモヤであった。
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