見出し画像

やっちまった

2023年5月16日

難病かもよ?と言われてから2日目の夜のこと。

うっかりサザエさんエピソードはありすぎて書ききれない(それすらすぐ忘れてしまう)私だが、この時のことは多分一生忘れられない「やっちまった」事件である。よかったらお付き合いください。お焚き上げとはいかなくとも、私の過ちをご共有いただけると、少しは救われます(気のせい)。

前段の話はコチラ↓

昼間はやることがあるから病気のことはまだそんなに考えないですむ。
一度にたくさんのことは考えられないしできない私でよかったと思う。

明日から修学旅行に旅立つ中3の娘が、楽しそうに準備をするのを少し手伝ったり、ワクワクしすぎの彼女の話を笑って聞いていたら夜になった。

娘は自分の部屋があるくせに、しょっちゅう私と夫の寝室の片隅に布団を敷いて寝るかわいい末っ子。(息子は大学2年で実家を離れて寮住まい)

娘は眠りに落ちるのは早いし、一度寝たらほぼ朝まで目覚めない。
修学旅行初日の朝は早い。私も早く寝なくては。

けれど、昨夜とは打って変わってなかなか眠れなかった。
ベットに入ってしまうと、いろんな考えが浮かんでは私を眠らせなかった。
つい、検索もしてしまった。
そばには明日からの楽しい時間を想いながら眠る娘がいる。
女子は旅の荷造りも男子よりはアレコレ必要だ。私が手伝えてよかった。そんな当たり前のことに対して、よかったなんて今まで感じたことはなかった。

来年は高校生になる。3年間、果たして弁当を作ってやれるだろうか?
いや、さすがにきっとそれは大丈夫。この病気は比較的ゆっくり進行していくことが多いと書いてあったし、85%以上の人が10年以上は生きているというデータもあるそうだ。
私が10年生きられるならば、娘は25歳。せめてそこまで生きられたなら…。
でもなー、やっぱ孫の顔みたいよなー(気が早すぎる)。いや、出産しないかもしれんけども、産むなら面倒みたいよなー。

10年…。その先は???
そもそも元気で10年生きられないなら、それってどうなの?って話。
進行のスピードはひとそれぞれ。私がどうなのかは分からない。

けど!薬はあるそうだ!
2014年に日本でも承認された、進行をよりゆるやかにする薬。
そう、薬といっても治るわけではないのだ。進行が完全に止まることは、滅多にない。女性ホルモンが関係していて、妊娠可能な女性にしかほぼ発症しないらしいが、閉経しても進行が止まらない人もいるらしい。
そしてもちろん副作用が出る人もいる。これもまた人それぞれとな…。

そして最終的には、在宅酸素療法→肺移植。なんだって。

ああああ、さすがにこたえるなああ!!いやほんと何でワタシなん?!
100万人に数人しかならんのやろ?まあまあな都市レベルよね、100万人て!

「私、死ぬんかな・・・。」

左隣でまだウトウトしかかっていた夫にくっついて、つい小さな声で呟いてしまった。
そして初めて泣いてしまった。声は押しころしたけれど、涙はこぼれていた。夫は「大丈夫」と言いながら背中をさすってくれていた。

すると突然、

「ママ、死ぬの?!」

と、娘が起きあがって言った。

「!!!!!!」 

・・・一瞬固まる夫とワタシ。

「何?花まだ起きてたん?」
めっちゃ普通に若干半笑いくらいな感じで言う私。一瞬で涙をひっこめて。
「楽しみ過ぎて眠れん。寝てなかった。で、何!ママ病気なん?」
「いやいやいや、ママが死ぬように見えるか?このママが!友達の話よ、ほら今度私、友達と旅行する言うてたやん?京都ののりちゃんと。のりちゃんがね、なんか病気みたいでさ(のりちゃんごめん)」

「・・・。」←納得してない娘。

「ちょっとだけ、その病気の話聞いてたら、何か怖くなってきてしもて。ママ友達少ないから(ほんまに)のりちゃんいなくなったら寂しすぎるから悲しくなってしまって。でも、大丈夫!のりちゃんの病気、すぐどうこうなるってわけじゃないのに、私が大げさに考えてしまっただけやから。」

「・・・。」←まだ納得してないっぽい娘…。

そして夫が
「ママが死ぬわけないやん、こんな元気なのに(笑)。それよりいい加減寝なさい。」

「・・・。」→ふて寝。。。

それ以上話しても言い訳がましくなってしまうし、私も眠るふりをした。娘も・・・しばらくしたらちゃんと寝息が聞こえてきた。何とか、よかった。いやよくはない。猛反省。

「ほんとうにごめん…」夫に手を合わせて謝り、その夜は別の意味でなかなか眠れなかった…。娘の楽しい修学旅行前夜になんたる失態!!!!バカ親にもほどがある。悔やんでも悔やみきれない。本当に情けなくて、病気がどうのこうので泣く涙はとうにはるか彼方へ消え去っていた・・・。

どうか、どうか娘よ明日の朝には、この母の苦し紛れの嘘を真実だと信じ、もしくはすっかりこの一件は忘れ去り、修学旅行の朝を迎えておくれ。スッキリ目覚めておくれ。お願いだ...。ああ、もう一度時間を巻き戻してほしいとこれほど願ったことがかつてあっただろうか(あったはずだが覚えていない)。

サザエさんから生まれたタラちゃんが結構しっかりしたお子ちゃまなように、わが娘も私の何十倍もしっかり者で忘れ物なんて滅多にしない。でも信じて。母の嘘を今夜だけは!

闘病記でもなんでもない本日の記録。ご拝読ありがとうございました。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?