BL本棚

腐女子「私が書店員なら…」"共感"でバズる本屋のBL棚×SNSマーケ

以前バズった、こちらのツイートをご覧になったことはありますか?

こちらは「ちるちる棚」。今回は、話題の種となったこちらの企画の裏方を解説していきます!

起点は「B+LIBRARY(ビープラスライブラリー)」

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こちらは、ちるちると日販さんと行ったコラボ企画!BL初心者から玄人まで、自分にあったBL作品を探せる小冊子「B+LIBRARY」を無料で配布しました。

毎号、表紙をヨネダコウ先生、紗久楽さわ先生、ナツメカズキ先生、桜日梯子先生、キヅナツキ先生等、人気BL作家さんが彩ってくれています。

冊子では、BL作品の性癖や設定をカテゴライズし、読者さんにどの作品が合うか、わかりやすくまとめています。年々、ニーズの複雑化と共にBL作品の分類も複雑化しており、それらの情報を整理整頓してお届けすることがBL界では求められています。

ちるちる棚って?

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全国の書店500~600店舗で展開した、BL作品を性癖ごとに分類した棚です。ちるちる棚を書店でたまたま見かけたBL好きの方が、そのディスプレイに驚いて画像とともに投稿したツイートがバズりました。ちるちる棚ツイートの中の1つには「いいね」の数は4万超と、企業のプレゼントキャンペーン規模の数に。

この企画は、自分の好みとマッチするBL作品探しに課題をもつ腐女子の皆さんに刺さり、サービスの認知獲得にも貢献してくれました。ほかの一般書籍のジャンルならば、"棚"でここまで拡散することはまずないでしょう。「この書店、私たちの気持ちをわかってるじゃん!」という共感が、4万人もの共有へとつながった事例です。

BL作品の特徴1:既刊が売れる

既刊がよく売れることもBLコミックの特徴です。一般的なコミックでは、既刊が動くのは映像化など、突発的なイベント時に限られますが、BLに関してはキャンペーンの切り口などで既刊を動かすことができます。

この点を活かしている1つの施策がB+LIBRARY。購買層に合った、棚のディスプレイ方法で、確実に売上を獲得しています。

書店様にはあらかじめジャンル別に分けられた形で納品されるので、棚作りにそれほど手間はかかりません。コミック売場でBLコーナーにある程度の棚を割ける書店様は、B+LIBRARYを展開していただくことで、売上の底上げが可能になるのではないでしょうか。

BL作品の特徴2:作家買い文化

前述したように、腐女子は自分の好みとマッチするBL作品探しに課題をもっています。マッチする作品の探し方としては「作家買い」という、好みだった作品を描いた作家の別作品を購入する文化が確立しています。ニーズが非常細分化しているので、楽にマッチする作品と出会う方法としては最もスムーズな方法でしょう。この他、好みが一致する知り合いからのBL作品おすすめしあう文化も、通常の漫画よりも非常に活発です。両者ともに、BL作品と自分の好みに合う作品探しが、針に穴を通すようなものだからです。好みの作品が見つかったことを腐女子の間では「性癖が一致する」と言います。

おすすめ作品が見つかる!腐女子に支持される売場

腐女子の方に特徴的なポイントをあげるとしたら、「好きな物を好きと共感したい」という欲求、そして「自分の好きなモノをほかの人に知ってほしい(=推し)」という欲求です。

この欲求を起動力に、日常的にSNS発信をしています。今や国民的SNSとなったTwitterですが、この腐女子の欲求の発散場所となっていた場所こそが、ちるちるです。

ちるちるに投稿される熱量の高いレビュー

弊社が運営する商業BLサイト「ちるちるには、毎日長文のレビューが次々と投稿されます。レビューを書くことでそれに釣り合うインセンティブが発生するわけではないのですが、にもかかわらず何人ものユーザーがレビューをコツコツと投稿するのです。作品を読んで1,000字以上の文章を書いて見直しをして……一つのレビューを投稿する作業に膨大な時間がかかることは言うまでもありません。

その手間を惜しむことなく投稿を続ける方たちの原動力こそ「この気持ちを分かち合いたい」情熱ではないでしょうか。心を動かされた作品をみんなと共有したい――その気持ちを吐き出すところはスタート地点であり、その先には共感というエンドレスな到達地点があるのです。

今後求められるのは、マス向けでなく専門的に深いマーケティングだといわれています。BLというジャンルは、まさにその典型だと思います。


edited by むきゃ

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サンディアスでは、豊富なBL業界の知見を元に腐女子向けサービス・コンテンツのアドバイスを行っています。

また、取材やインタビューも積極的に取り組む予定ですので、お気軽にTwitterのDMなどからご連絡ください。

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