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【本の表紙沼】永遠に眺めたい…美麗!上下巻BL作品の装丁デザイン

BL作品の装丁ってえげつないほどに美しいものが多いですよね…。

これまでオタクマーケティング研究所の記事でも、装丁デザインに関する記事や、装丁デザイナーさんへのインタビュー記事を掲載しました。

今回は、上下巻完結のBL作品の装丁に注目。2巻だからこそ楽しめる装丁デザインをまとめました!なかなかたくさんあるので、抜粋してご紹介します。

※なお、上下巻装丁として時代の先陣を切っていた『かしこまりました、デスティニー』シリーズは、現在完全に廃盤となっていることからこちらで取り上げるのを避けました。どんな形か問わず、いつか復活されることをいちファンとして願っております。

【装丁】カラーと構図でシリーズを表現

『被写界深度』苑生

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メインの登場人物たちの性格が真逆な本作。それを表すような色使いや光の当て方……そなたは美しい……。構図をお揃いにすることで、シリーズものだとすぐわかります。

背景は挑戦的な白。しかし、本棚にあってもとても目立ちます。タイトルもこの空気感を邪魔せず引き立たせています。さらに、帯に到るまでこの空気感を死守している徹底ぶり。

お気づきでしょうか、二人の背の高さまで再現されているようで、こういう細部に胸をときめかせてしまう筆者でした。


『鬼と天国』お吉川京子 / 阿賀直己

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上下巻で構図が同じに揃えられた、保険医と先生のBL作品。学習椅子に、スリッパ……よく見ると、学校が舞台だとわかるグッズが散りばめられてますね。ストーリーとしては、保険医に教師が治療(?)してもらう話なのですが、教師が学生用の椅子、保険医が教師用の椅子に座っているのも、立場の差を表しているのでしょうか…?

こちらは、タイトルが入ってるのが2箇所。センターの小さめのスクエアタイトル、そして上下巻を並べることで堂々と背景にタイトルが並びます。


『えんどうくんの実験ノート』ハヤカワノジコ

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構図が同じ作品で、駅構内に立つ二人。よく見ると、季節感が変わっていますね。イラストは、何気ない瞬間を切り取ったようなワンシーン。ポーズを決めてるでもなく、顔をアップにするでもなく、あくまでもしイラストです。なんだったら、人物の表情はあまり見えません。そんな余白が乙女の想像を掻き立てつつ、物語の二人の絶妙な距離感を演出しています。

『カラーレシピ』はらだ
対照的なカラートーンとシンメトリーな構図でシリーズ感を演出。バビューン!と目があってしまう、パキッとした配色はどこの棚にあっても目立ちますね。

さらに、タイトルも対象的に配置し、繋げて読めるようにデザインされています。後掲、「文字でシリーズを表現」グループもご紹介しますが、より印象的な「構図とカラー」にグルーピングさせていただきます。

かられぴ


【装丁】文字でシリーズ表現する

『あちらこちらぼくら』たなと

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シンメトリーな構図な作品。青春の甘酸っぱさが装丁から伝わってきますね……! 
そして、帯がこちら。帯は一巻どちらかだけでは読めず、二つ並べると「やっとここまでたどり着いたね。」という文章が表れます。

あちらこちら帯


『僕等に名前をつけるなら』あがた愛

ぼくら

上下巻そろえると、大きなタイトルが。それぞれの巻ではタイトル全文は小さく黒背景ですが、大きなタイトルは人物イラストよりもレイヤー上に載せ大胆なデザインに。上巻はブルー、下巻はレッドでタイトルの文字を装飾しているのも、おしゃれですね。


『マイリトルインフェルノ』朝田ねむい

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上下巻でタイトル&帯が繋げて読めるようになっている作品。アメコミを思わせるパキッとした配色とニュアンスカラー、文字、陰影と、非常におしゃれに仕上がっていますね。


【装丁】2巻で1枚のイラストに!

『Two sides of the same coin』西本 ろう

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続いて、一枚絵がそれぞれ上下巻の装丁に分割されている作品です。本作はタイトルデザインも2冊繋げて読めるような演出がされていますが、本項で取り上げます。

はっきりとした陰影、そして陰影演出で多用したカラー…背景が白と思えないほど、カラフルな印象を受けます。タイトルの擦れたような雰囲気と、美しく繊細なレタリックが物語にぴったり。


『俺たちナマモノ?です』腰オラつばめ

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こちらも実は一枚絵!人物メインの構図で意外と気づかれにくいですが、背景やアイテムから、繋がりのある一枚絵ということがわかります。アイドルBLらしい、キラキラ前回の装丁。

本作の内容では、お互いの隣を死守したい二人。「2冊並べてこそ」という装丁の演出がストーリーとリンクするようで、とても味わい深い……! 


『ブライトライトスプラウト』市川けい

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シンプルが美しい、一枚絵イラスト装丁。雰囲気を邪魔せず、整えられたタイトルの字詰めが美。上巻だけだと「この手はいったいい…!?」と想像を掻き立てられます。


『コオリオニ』梶本レイカ

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まず文字が目に飛び込んでくる、大胆&大胆なタイトル。まるで文字がメインでイラストがサブのような、漫画作品としては攻めの装丁ですね。タイトルに隠れるようなイラストですが、非常に美麗。隠れているからこそ、目を凝らして注視してしまいます。

※こちらは「ふゅーじょんぷろだくと」発行の表紙で、現在廃盤となっております。


【装丁】視点替え

『高嶺の花は、散らされたい』左京 亜也

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今度は、時間軸が同じイラストですが、視点を変えたイラストの装丁。薔薇のブルー×ブラック、レッド×ホワイトと、色の演出も華麗です。こちらもまた、想像をかき立てさせられるデザインや構図ですね……! 


【コラム】BL作品は1巻完結が基本

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BL作品、特にBLコミックスは1巻のみで完結する作品が多数派です。

1巻のみで終わるため手に取るハードルが低く、読者は低コストでときめきや癒しを得ることができます。シリーズ化するBL作品は稀で、連載が継続する作品は非常に人気のある作品とも言えます。

一方、上下巻完結型の作品も少なくないという点が、BLコミックス市場の特徴の一つ。1巻だけでは短いけど、もう少し話を膨らませた結果上下巻に落ち着く作品傾向があります。(こちらは別記事として出します。)

【コラム】並べると…技あり表紙は紙購入&シェア欲アップ

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近年デジタル書籍での購入を選択が増えています。しかし、本記事でご紹介したように並べて楽しめるコミックスは、紙で買うこその楽しさも。

・紙で購入し並べて保管しておきたいコレクション欲
・並べたところをSNS等に投稿したくなるシェア欲

このような購入者の欲求を刺激し、デジタルより紙での購入を加速しそうです。


今回は、上下巻BL作品の一部をご紹介しましたが、このようにデザインが凝っているものがまだまだたくさんあります! 

多くの出版物がデジタルへ移行するなか、紙だからこそ可能なデザインで勝負する上下巻のBL作品。ストーリーとしてもライトすぎず深すぎず、忙しい大人が癒しを求めて手に取るコンテンツとしてぴったりです。ぜひ装丁で興味を持ったら、中身もチェックしてみてくださいね。


edited by むきゃ(@kahonyun)

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