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走らされてる、自分に

何も起こりえない1日に無理をして、イベントごとを起こそうと悪あがき、限られた時間と労力でじたばたする。

暮れてきた時間軸に背いて、よれたシャツを羽織る。今日はオフだと聞いていたシャツは、自室から引っ張り出されて驚愕している。

おれだって、できれば呼びたくなかったよ、でもどうにかしなきゃいけないんだ。力を貸してよ。

戦闘力の高いシャツが曇った表情を浮かべているが、答えは聞かない。

メタモルフォーゼ

慌てて玄関を突破する。自転車の電動駆動以上にペダルを踏み込み、機械音とは思えない電気の音が響く。

目的地は決めずに出てきた。時間がなかった。

だから、ひたすらにペダルを踏むことだけに集中する。音楽なんていらない。風を切って電気がグワングワンいって悲鳴をあげてるから十分だ。

息が切れて、興奮が冷めきって、足を地に下ろした。スマホを向けたら、0:04の表示。

無駄にしか思えない自転車暴走は、勝手にハンドルを動かして、三つ先の町に到着しようとしていたところ。

日付が変わる時間に開いてる店なんて、ガソリンスタンドとネカフェぐらい。呑気に歩いてる人もいるわけがなかったし、車輪が地面を横切るだけでうるさくしてしまったかもしれない。

鬼気迫る1時間で、馴染みのない街にいてしまった。猛烈にグッタリ、青信号を2回見過ごした。

どこだよ、ここ。地図アプリを立ち上げて、帰りの道を検索する。

疲れ切った肉体と意味不明な精神状態を纏ったおれは、恍惚とした表情だけ浮かべ、自動販売機でスポーツドリンクを買って帰った。

自分を甘やかしてご褒美に使わせていただきます。