見出し画像

優しさの種類 ~「天才の根源」を読んで~

夢や目標なんて、一生持つつもりはない。

昨日書いた”今年の目標を考える”でも登場した、東海オンエアのリーダーてつやの著書「天才の根源」を振り返る。

東海オンエアは、愛知県岡崎市を拠点としてYouTubeで活動しているグループ。2013年から動画投稿を開始して、昔からスタンスが変わらず、ずっと面白そうな動画を上げている。

おすすめのシリーズ置いておきます。

24時間いつもふざけているように見えるけど、真面目なことを真面目に語る機会もなく、自分の内にあるものを見せてくれるような機会はほぼなかった。プライベートも隠さないグループで、特にリーダーはプライベートと仕事の境目が見えないほどのエンターテイナーであり、ファン対応もよくて、大体のことは断らない。そして本当に怒らない。

最初聞いたときは、底抜けの優しさを持った人なんだなとだけ思っていた。

その時の楽しいことに我武者羅についていく姿から、「面白さ」への探究心が強そうな反面、日常生活のだらしなさも見て取れた。

その行動ひとつひとつを見てどう思うかは置いといて、いったいこの人は何を考えているのかがずっと気になっていた。

ずっとずっと気になってきたけど、どうも深いところが見えてこない。教えてくれそうもなくて、気になりながらずっと動画を見るしかなかった。ゲラゲラ笑う毎日。

面白いの一面でしか見られなかった人のエッセイがようやく出た。出版が決まったときは喜んだ。ローテンションな私もジャンプした。待ち望んでいたよ。

天才の根源

やりたいことを邪魔されたり、やりたくないことを強制されることが何より嫌いだ。だからこそ僕は誰かのやり方や考えに口出ししたり、奪おうとは思わない。施さずとも、静観する。僕が身につけたのは、そういう「優しさ」だ。

一般的な「優しさ」と似てるようで少しだけ違って見えたのは確かだった。相手を助けるのではなくて、なんでも許してあげる。最強の放任主義だ。

そういえば以前サブチャンネルでも、

ファン対応に関してもどんな時でも応じるのは、何も気にしない、相手のことをなんとも思ってないから、波を立てたくないと思ってマシな選択肢を選んでる

と言っていた。

最強の放任主義は、誰かを傷つけることとは無縁で、マシな選択肢を選ぶからヘイトを溜めることも少ない。なるほど。

この本から、そしててつやという人物像に影響してそうな文があった。

悪口に同意することでその人が救われることもあるかもしれないが、間接的にでも、人を傷つける言葉を発している自分でいたくない。

一貫して、彼は悪口とトゲのある言葉とは距離をとっている。面白い流れでのツッコミなどで場を盛り上げたりはするけれど、主体的に、自分が中心になって口走っているシーンは見たことがない。誰かを傷つけたくないという意識が強くある。幼少の経験からも、その意識が形成されていたようだ。

人生哲学というか、学ばせてもらえるものが他にもたくさんあった。

・嫌味を言う場を最大限に避け、参加せず、その場を離れる。
・物事は体験してから語るべきで、想像でうだうだ言うのはもったいないし失礼だ。
・できないと諦めるのは早すぎる。コツをつかもうと説明書を読み込んで、基本をいち早く知って、できるまでやめない。できるまでやめないで続けていたら、ある程度の段階までは到達できる。センスのせいにしない。

真面目にここまで書いている姿を想像するだけで珍しいなと思うが、文の進みもユーモアを混ぜつつで、飽きずに読めた。細かい部分を突こうとか思わなかった。その歪さが面白さで彼の懐なんだろうなとも思った。嫌味なく楽しく最後まで読めた。あと写真がいい。服が超個性的でイケてる。

かっこいい、、、という内容だけではない。

普段の動画のネタ会議の様子を文字起こししていたり、恋愛遍歴だとか、人生の振り返りだとか、面白そうでディープな内容も多くある。動画では触れられてこないような真面目で人間味を感じる一冊だった。

適当に見えていたものの裏には、予想通りの放任主義さと相手の選択を受け入れるだけの器があった。

人に優しく、自分にもっと優しく」という座右の銘を持っているようだ。その言葉を納得材料にさせているかのような振る舞いはずっと変わらなくてかっこいい。

毒を耐え込むのはやめて、さっさと水に流して、やりたいことができるようになるまで没頭しよう。

もっと自分に優しくなろう。

この記事が参加している募集

読書感想文

自分を甘やかしてご褒美に使わせていただきます。