辛抱する明けに花を咲かす

朝がやってきても、異変も活動限界も度外視で動けたらなって、ないものをねだりたくなるが、今だって欠伸が頻繁に出ている。涙を拭いて目に力を入れても、次の欠伸弾がすぐそこまできていて、堪えることもできずボロボロ泣いている。

物音がほとんどしない6時前、イヤホンをせずに自然に出ている音と曲を重ねる。

Never Sleep/YONA YONA WEEKENDERS


Never Sleepは眠くなる。曲調が寝かせにきている。ばたんきゅーに抗うには向いていない、むしろ睡眠導入の役割すら担っていそうだ。

お風呂に張ったお湯の温度を上げても、入浴剤のリラクゼーション効果には及ばない。

夜食を軽く胃に入れて、罪悪感に苛まれながら深夜のエンジンにするかどうかを悩みつついたら、正当な朝ご飯の時間になる。

テレビでは夜のショッピング番組が終了して、ニュースに一周して戻ってきた。

深々と頭を下げて、「おはようございます」と清々した目覚めの音が画面越しに届けられる。

白米と味噌汁の匂いが香る。朝の到来を告げにやってきたのだ、味噌汁を火にかけて器によそう。おたま三杯だけカップに移し替える。

始点の位置を間違えたのだろうか、そうだとは思いたくないのだ。これは幼心のデジャヴであり、反抗期の名残りだ。

重たくのしかかる睡魔に脳を支配されて、距離感が掴めなくなり、平衡感覚が鈍って揺れる。

どう転んでも気持ち悪いし、体調不良への第一歩に違いないのに、極限らしい環境に身をおいてみたくなる。
浮遊した感覚なのか地に足がつかない恐ろしさなのかわからないが、地獄との境目を反復横跳びしたくなる。

頭が揺れて揺れて、反動を受ける。
弾みがついて、バネの役割を担う。端っこに追いやっていた、あやふやで消えゆく寸前だった引き出しが開く。辿り着くまでの過程を含めてエクスタシーが見える。
直立不動よりも、メトロノームのように動いていると、安定感こそ欠けるが、手の届く範囲が倍近くになる。

快楽物質が出たという錯覚なのか現実なのか幻覚なのかわからない崖の端に押される。

崖の下に落ちる趣味はない。

溺れるように眠る。

自分を甘やかしてご褒美に使わせていただきます。