Kako

家庭文庫「子どもの本の家ちゅうりっぷ」主宰。1989年より文庫活動を始める。本を手渡し…

Kako

家庭文庫「子どもの本の家ちゅうりっぷ」主宰。1989年より文庫活動を始める。本を手渡した子どもは5千人超。子どもと本について書いていきます。4人の子どもは全員成人し、孫も一人。元幼稚園副園長、元保育専門学校専任講師、元司書 https://tulip2.webnode.jp/

最近の記事

子ども時代に出合う本#20 小学生の読書 "You are what you read.”

 #19の記事を作成してから4カ月も経ってしまいました。この間、ずっと書きたいと思いながらも、次年度にむけて様々な仕事のご依頼をいただき、じっくりと時間をかけて記事を書く時間を作れずにおりました。 昨年4月から補助教諭としてパート勤務している幼稚園が春休みに入り、日中時間に余裕ができました。今日は小学生時代に出合ってほしい本について書いていこうと思います。 You are what you read. ” You are what you read.” つまり、「あな

    • 子ども時代に出合う本 #19 7歳、語彙力と思考力の育ちの分水嶺

       前回の投稿が9月4日でしたから、またもや久しぶりの投稿になってしまいました。この間に図書館のボランティア養成講座(連続講座)の講師や、図書館や幼稚園でのわらべうた講座、名古屋市にある家庭文庫主催の絵本講座など、外部に向けてお話する機会をたくさんいただきました。  そのための準備に、いくつかの参考文献を読んだり、また講座の中で参加者のみなさんからさまざまなご質問をいただき、改めて「文字が読めるようになった年齢」の子どもたちにどんな読書支援が必要かを考えさせられました。幼児期に

      • 子ども時代に出合う本 #18 5~6歳 心を開放できること

         noteの更新が、しばらく出来ていませんでした。実は3月半ばまで仕事で図書館の児童サービス支援サイトを制作・情報発信をしていました。そこでは、図書館司書の業務に役立つ子どもと本の情報を発信していたのです。そのサイトは、私が退職したことで更新できなくなり7月31日に閉鎖されました。更新できる人材がいなければ仕方がないことです。ただ、子どもの本の情報と共に図書館の業務にすぐ役立つことも多く発信していたので、そのサイトを利用されていた方々から悲鳴に似たメールやメッセージ、DMが私

        • 子ども時代に出合う本 #17 5~6歳 体験を促し、知る喜びを味わう

          絵本から遊びへ 絵本を読むという行為がきっかけになって遊びに発展していく、ということがよくあります。絵本に描かれる物語が、子どもたちの想像力を掻き立て、現実の世界を押し広げていくのです。  そんな遊びが豊かになっていくのが、ちょうど5~6歳の頃です。  何度もこの連載で紹介している今井和子氏の『子どもとことばの世界 実践から捉えた乳幼児のことばと自我の育ち』(ミネルヴァ書房 1996)の5章には、それを客観的自我が育つことによるのだと説明しています。  五~六歳頃にな

        子ども時代に出合う本#20 小学生の読書 "You are what you read.”

        • 子ども時代に出合う本 #19 7歳、語彙力と思考力の育ちの分水嶺

        • 子ども時代に出合う本 #18 5~6歳 心を開放できること

        • 子ども時代に出合う本 #17 5~6歳 体験を促し、知る喜びを味わう

          子ども時代に出合う本 #16 5~6歳、読書好きになるかどうかの大事な時期

          文字が読めるようになっても読み聞かせることが重要  5~6歳、幼稚園でいえば年長組。小学校の入学を控え、ほとんどのお子さんが文字を読めるようになり、ひらがなでお手紙を書いたりできるようになってきます。  どんどん文字を覚える時期が早くなっていて、幼稚園年少組の子どもたちの中にも自分で絵本を声に出して読める子どもたちもいます。  親は、子どもが自分で文字を読めるようになると、読んであげなくてもよくなると思ってしまうのではないでしょうか。  以前、図書館に勤務していた時にも「

          子ども時代に出合う本 #16 5~6歳、読書好きになるかどうかの大事な時期

          子ども時代に出合う本 #15 4~5歳児の心の成長に寄り添う

          友だちと共に育つ時期  前回の投稿から少し時間が経ってしまいました。今回も4~5歳の子どもたちの心の成長に寄り添う絵本の紹介をしていきたいと思います。  この年齢の子どもたちの特徴といえば「友だち」の存在を求め、「友だち」との関係性を学びはじめる時期だといえるでしょう。  3~4歳になると、友だちと一緒に遊ぶことが増えますが、それぞれが自己中心性をもっており、関わり合っているけれど、協働するというところまではいかないことが多いのです。自分の関心がほかに移ってしまうと、友

          子ども時代に出合う本 #15 4~5歳児の心の成長に寄り添う

          子ども時代に出合う本 #14 4~5歳児と絵本

          「もう一回読んで」という絵本  前回、3~4歳の子どもたちが何度も「読んで」と持ってくる絵本を紹介しました。Facebookに投稿すると同じように子どもたちに本を手渡している方々から、「この3冊、選り抜きですね」「好きな絵本です」と言う感想が寄せられました。  さて、この何度も「読んで」って持ってくるってどんな意味があるのでしょう?おとなは一度読んだら、もう内容もわかっているから、繰り返し読む必要はないと思いがちです。  もう15年以上になりますが、図書館に勤務していた

          子ども時代に出合う本 #14 4~5歳児と絵本

          子ども時代に出合う本 #13 何度も「読んで!」と持ってくる絵本(3~4歳)

           今回は、3歳から4歳の子どもたちが「もう一回読んで!」と何度も何度も持ってきた絵本の紹介をしたいと思います。  最初の1冊は、マーシャ・ブラウンの『ちいさなヒッポ』です。 いざという時は大丈夫だという安心感 『ちいさなヒッポ』(マーシャ・ブラウン/作 内田莉莎子/訳 偕成社 1984)は、アフリカの野生のカバの親子を板目木版画で描いた作品です。  子ども騙しの可愛さとは無縁の、力強い線と色で、カバの生態が描かれています。  ヒッポは、あかちゃんの時はいつもお

          子ども時代に出合う本 #13 何度も「読んで!」と持ってくる絵本(3~4歳)

          子ども時代に出合う本 #12 空想の世界にはばたく翼を得る(3歳児~4歳児)

          物語の世界で遊ぶ 3歳児は、身の回りのものすべてが知りたいことで溢れている、「なんで?」「どうなってるの?」と質問魔になるということと合わせて、想像の世界、虚構の世界を楽しめるようになるということを、前回記しました。 その時期の子どもたちは、想像の世界と現実の世界の境界が柔軟であるために、おとなからは「うそ」をつくようになってしまったと感じることがあるとお伝えしました。 それは、彼らが想像の世界にいる時は、完全になりきっているからで感情も入り混じっていて、非日常世界が現

          子ども時代に出合う本 #12 空想の世界にはばたく翼を得る(3歳児~4歳児)

          子ども時代に出合う本 #11 3歳、何もかもがワンダー

          子どもらしい発見の日々 前回、2歳は赤ちゃんから幼児へ移行していく時期で、日に日に赤ちゃんの部分が減っていき、ことばへの理解も増え、語彙が爆発的に増えていく時期だと書きました。 自我が芽生え、親とは別の人格であるという自覚が生まれ、おとなのいうとおりに動かなくなる、ある意味とても扱いづらい時期を乗り越え、落ち着いてくるのが3歳児なのかなって思います。 自分を発見した2歳児はとても自己中心的な時期なのですが、3歳児になるにつれて他の人の気持ちを理解できるようになっていきま

          子ども時代に出合う本 #11 3歳、何もかもがワンダー

          子ども時代に出合う本 #10 2歳児と絵本

          2歳児、人としての成長 2歳の子どもたちの一般的なイメージは、イヤイヤ期、つまり第一次反抗期ではないでしょうか。 でも「イヤイヤ」とか、「反抗期」って、育てるおとなの側の言い方なんですよね。子どもたちにとっては、大事な成長過程であり、自我が芽生え、自己の確立期なのです。だからポジティブに捉えてあげたいと思います。 それまで、衣食住すべてを保護者の手助けがなければできなかった、つまり親への依存が大変強かった子どもたちが、少しずつ自分で出来ることが増えていく時期で、おとなから

          子ども時代に出合う本 #10 2歳児と絵本

          子ども時代に出合う本 #09 1歳児と絵本

          繰り返し読むという行為 我が家の子どもたちの場合、4人それぞれ個人差はありますが、1歳を前に少しずつ意味のあることばを発するようになっていきました。 といっても、最初は唇の動きで偶然出てきたような「んまんま」「んぱっぱっ」というような音、いわゆる喃語と呼ばれるものなのですが、それに反応しているうちに意味のある「まま」「まんま」みたいなことばに変化していきました。 1歳になった時には、それでも意味のあることばはせいぜい2~3語だったのが、2歳になるまでの1年間で爆発的に語

          子ども時代に出合う本 #09 1歳児と絵本

          子ども時代に出合う本 #08 0歳児と絵本

          0歳児と絵本 前回(07→こちら)で、赤ちゃんのことばの発達について触れたあとで、2001年に始まったブックスタート運動のことを書きました。 赤ちゃん絵本も、私が子育てをしていた30年以上前と比較すると格段に増えて、多種多様なものが出てきました。 自分の子育てを振り返る前に、まずは現在0歳9か月の孫と絵本について少し書いてみたいと思います。 トップに貼った画像は、3月下旬、長女一家の家を訪れた時の写真です。孫が自分で絵本架から気になる絵本を取り出そうとしているところで

          子ども時代に出合う本 #08 0歳児と絵本

          子ども時代に出合う本 #07 赤ちゃんのことばの発達

          赤ちゃんには絵本、必要ない? ある図書館研修の時に、50代の男性に「赤ちゃんはことばも話せないし、絵本なんて読む必要はないのでは」と聞かれたことがあります。 その方には「まだ自分で意味のあることばを喋れなくても、赤ちゃんの脳は聞こえてくることばを記憶していっているのです。でも、それ以上に自分に向けて読んでくれる、その時間を親と子が一緒に楽しむということが大切なんですよ」ということを伝えましたが、どこまで理解していただけたかなと、振り返って思います。 しかし図書館で勤務し

          子ども時代に出合う本 #07 赤ちゃんのことばの発達

          子ども時代に出合う本 #06 子どもの発達に合わせて

          子どもの発達に合わせて 絵本と一口にいっても、さまざまなグレードがあるということは、子どもと本に関わっている人にとっては常識でも、一般にはあまり知られてないんじゃないかなと思います。 絵本は、幼稚なもの、子ども向けの本・・・程度の認識で、どれを選んでも同じじゃないかという声も時々聞きます。 子どもの本を選ぶって、実は結構難しいと思っています。子どもの誕生から青年期までの発達・成長の道筋を知り、ベースとして脳の発達、言語や認知の発達、心の発達について理解しておく必要がある

          子ども時代に出合う本 #06 子どもの発達に合わせて

          子ども時代に出合う本 #05 子どもに本を手渡す

          運命を決めた『子どもの図書館』 子ども時代に、福音館書店の世界傑作絵本や岩波書店の岩波子どもの本に出合って絵本の面白さを知り、小学校中学年以降、当時子どもの本の黄金時代の恩恵をうけ、例の『アンクルトムの小屋』で本を読むのが大好きになった私は、図書館に通いながら岩波書店の「くまのプーさん」に「ナルニア国ものがたり」、「長くつ下のピッピ」などを司書さんに勧めてもらって、それらの作品に夢中になりました。その後はドストエフスキーやヘミングウェイなどの海外の文学から、川端康成に三島由

          子ども時代に出合う本 #05 子どもに本を手渡す