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『オードリー・タン 自由への手紙』 オードリー・タン 感想

■ Listening:『オードリー・タン 自由への手紙』台湾ではどのように政治が行われているかについて、コロナ禍以降伝わってくることも多くなった。この本から、それがどのような仕組み・構造になっているのか、どのような考え方のもと行われているのかについて触れることができ、より台湾への興味が大きくなった。

以下に、この本の印象的だった部分をまとめる。

- すでに学校を離れている若い世代への学びのア

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『K-POPはなぜ世界を熱くするのか』 田中絵里菜(Erinam) 感想

「いつか自分がK-POPにハマる日が来たら、そのときはこの本を読もう」

そう思っていたら半年後にまあものの見事にハマったので読んだ。

この本を知ったきっかけは、ライムスター宇多丸さんがMCを務める「アフター6ジャンクション」に著者である田中絵里菜さんがゲスト出演された回を聞いたことだった。下記リンクから無料で聞けます。

アフター6ジャンクション 特集:沼落ちするにはワケがある! K-POP入

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『文化系のためのヒップホップ入門』 長谷川町蔵, 大和田俊之 感想

1990年代生まれ、音楽的自我が芽生えてからはロックを聞き、近年はアイドルにハマっている女が令和に読んだ場合の一考

「ヒップホップのことが知りたいな」と思い、教科書的なものを探していた中で手に取ったのがこの本だった。

この本では1970年代〜2000年代のヒップホップについて、地域的な観点も踏まえて網羅的に記述されている。丁寧に読めば、ヒップホップの大枠は捉えられると言えるだろう。

ただしA

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『推し、燃ゆ』 宇佐見りん 感想

読み終えて次のページがないことが分かったとき、ぶわっと鳥肌がたった。読みながらずっと苦しかった。

そして怖かった。
推しのこと以外のことが断片的にぽつりぽつりと出てくるのがひどくリアルで。彼女にとって推しを推すことが背骨であると痛いほど分かると同時に、自分にも似たようなところがある(あった)と感じずにはいられなかった。自分の場合は推しの存在が背骨だった訳ではなく、推しを推しているという状態が背骨

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『アーモンド』 ソン・ウォンビョン 感想

感情をあまり感じることができない少年・ユンジェが主人公であり、語り手である。

どちらかというと物語を全体として捉えるというよりは、細部にいくつもある美しさを拾い集めていくような感覚だった。普段はあまりしないけれど、線を引きながら読んだ。

彼の特性ゆえに、この物語の中では他の多くの物語と比較してより丁寧に、人間の感情に対する問いとそれに対する答えのような、あるいは考え方のようなものが描き出されて

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