『アーモンド』 ソン・ウォンビョン 感想

感情をあまり感じることができない少年・ユンジェが主人公であり、語り手である。

どちらかというと物語を全体として捉えるというよりは、細部にいくつもある美しさを拾い集めていくような感覚だった。普段はあまりしないけれど、線を引きながら読んだ。

彼の特性ゆえに、この物語の中では他の多くの物語と比較してより丁寧に、人間の感情に対する問いとそれに対する答えのような、あるいは考え方のようなものが描き出されている(その答えは複数であったりも、なかったりもする)。

自分にとっては感情というものは自然に発生するものであり、それについて改めて考えてみるようなこともなかった。だからこの本を読むことによって、なるほどと思うこと、考えさせられることも多かった。

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本の中のこの言葉が、まさに端的に『アーモンド』を読む私の体験を表している。

また興味深かったこととしては、(注釈を除いて)ユンジェの特性を表すのに「障害」という言葉が使われていないこと。そこに著者の意図があったのだろうか。

ひと通り読み終えたあと「愛」という単語でこの本の中を検索をしてみたら、また再び考えさせられた。他の感情を表す言葉でも検索してみたい。


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(2021.09.13 - 2021.09.14)

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