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春に浸る

桜も散って、もうすっかり春ですね、暖かい。

今年は三週連続で花見をした。

一週目は彼と彼の知り合いのカップルと。二週目は高校の友人たちと。三週目は親友の女の子たちと。それぞれ上野、代々木、千鳥ヶ淵で。

どの場所も溢れんばかりに美しく咲き誇る桜たちに、圧倒された。毎度晴天で眩しくて、目を細めながら桜の木を見上げる。照り付ける太陽が私の黒いスキニージーンズから肌をじりじりと焼いた。


時がくると大量に薄いピンク色の花を咲かせて春を知らせる桜。桜が咲くと一気に気候が暖かくなるあの感じが好きだ。春の始まり。

入学式。新生活。新たな出会い。カラフルで様々な種類の花が咲き出して緑が増えて、青空、太陽、鮮やかに色がつく。陽は伸びて夕方さえも明るくなる。

どことなく緊張感が漂って、新たなことに立ち向かう生命力のようなものがみなぎって。


そんなときに聴くのは、フジファブリックの「桜の季節」

そんなときに見るのは映画「ハチミツとクローバー」

大人になると、新しいことに挑戦するとか、新しい環境に変わるとか、沢山の人と出会うとか、そんなことがどんどんなくなって行って、緊張感と高揚感の伴う春、というのは実体験としてはなかなか味わうことがなくなるのだけど、こういった音楽や映画を見て、桜を見て。そんな感覚を思い出す。

知らない人ばかりで緊張して、でも全部が楽しみで、ぱちんと弾けて目の前が開けるような、春。


芸術などの表現って、そういった感覚という部分を思い出させてくれるから素晴らしい。

感覚や感性って人によってきっと全く違うもので、それを他人に伝えるって、言葉で話す・論文を書くなどでは、至難の業だ。

自分の見えた世界、感覚や感性を表現して、他人へ伝える、というのが芸術の真骨頂だと私は思っている。感覚を感覚として伝えて、味わってもらう。

それを表現する為に、音楽や映画や映像や小説や絵などが存在するのだとよく思う。

エンターテイメントとしてわかり易くて、面白い・かっこいい・迫力がある・感動する、というものも好きだしいいけれど、伝えづらい抽象的な表現や感覚的表現を伝える、感じとる、その為に芸術と触れていきたい。

そんなことをBjorkを聴きながら、彼に話して聴いてもらった春の夜でした。


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