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アート・小説エッセイ

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小説、映画、アートにまつわるエッセイ。
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#映画レビュー

「顔を上げる」ということ──「聲の形」映画感想/考察

「顔を上げる」ということ──「聲の形」映画感想/考察

(前のブログで書いてたものを移行しました)

少し前になっちゃうのですが、映画「聲の形」を鑑賞してきました。前回までの山田監督映画「けいおん!」や「たまこラブストーリー」とはうって変わって、ずっしりとのしかかる映画に仕上がっていました。勿論それは悪いことではなくて、よりリアルに感じられるということでもある。映画を見て感じたこと、思ったことをつらつら書いていきます。※ネタバレありです。

賛否両論の

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新海誠「天気の子」感想&メモ

新海誠「天気の子」感想&メモ

新海誠監督の新作「天気の子」が公開されたので見に行ってきた。半端ない上映回数である。それでも満席である。君の名は。ってほんと社会現象だったんだなあとつくづく思う。

見終わってていねいにレビュー書こうと思ったのだけど、そうこうしているうちに忘れちゃうそうなのでとりあえずのメモと感想。激しくネタバレしているためまだ見てない人はお気をつけを...!!

ではちょっとあいだ空けます。

***ネタバレ*

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思春期の揺らぎと危うさ。『打ち上げ花火、下から見るか横から見るか』

思春期の揺らぎと危うさ。『打ち上げ花火、下から見るか横から見るか』

ここ1年ほどで、アニメをたくさん見るようになった(とはいえ趣味がアニメですとは恐れ多くて言えない)。それまでアニメといえばコナンとドラえもんくらいしか見なかったけれど(ちなみに今も両方見ている)、元々絵を見るのが好きなこともあり、実写ではできないアニメの表現の幅の広さに気づいてからというもの、一気にアニメがおもしろくなった。

去年はちょうどアニメ映画の当たり年だったのもあり、君の名は、聲の形、こ

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真夏に見たくなる映画『風立ちぬ』––美しさと“狂気”は紙一重

真夏に見たくなる映画『風立ちぬ』––美しさと“狂気”は紙一重

国民的アニメ、ジブリ。

ジブリと聞いて真っ先に思い浮かぶのは、ラピュタや千と千尋、耳をすませばあたりかなあと思うのですが、そんななかで私が最も好きな映画が、『風立ちぬ』。

宮崎監督の最後の作品(たぶん)ともあって、色々と賛否両論なこの作品。切り口もたくさんあって、好きなくせに何が好きなのかよくわからなくて、私にとっては非常に語りにくい作品でもあります。

何回か見て思ったこと、それはこの映画は

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変化への、一歩を。『たまこラブストーリー』映画レビュー

変化への、一歩を。『たまこラブストーリー』映画レビュー

不安、不安、不安。何が不安かって言うより、不安というその感情自体がキライ。

今の時代は、先行きが不透明で不安になりやすい時代だと言われています。先行きが不透明ということは、この先どうなるかわからないと言うこと。つまり、今までと同じじゃなくて、変化していくということ。

そう、変化が不安を呼び起こすのです。

変化そのものが怖い、というのは人間の普遍的な感情で、私もご多分に漏れずそのうちの一人です

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