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おうちで中華 - 辣炒蛤蜊(青島式アサリの辛味炒め)

今回の料理は、山東省青島からお届けする。青島人のソウルフードと言えば、アサリ。我々日本人もアサリを食べるが、彼らがアサリに対して抱く思い入れの深さは、僕らの想像を超えている。

かつて知人の青島人は言ったものだ。「とにかく青島人はアサリがないと落ち着かないんだ。一年中いつでも食べるし、旬の春ともなれば、毎食のように食べる(註:毎日ではなく毎食)。海外出張に行くときは、アサリを冷凍して持っていく奴もいるくらいさ。どこに行っても、茹でるだけで食べられるだろ?」…こんな具合である。

そんな青島人が最も愛するアサリ料理が、今回ご紹介する辣炒蛤蜊(青島式アサリの辛味炒め)だ。


辣炒蛤蜊
làchǎo gélí

辣炒蛤蜊(青島式アサリの辛味炒め)

アサリを干し唐辛子や各種薬味で蒸し炒めにするだけだから、料理自体は至ってシンプルだ。だが、これが旨い。

ぶわんぶわんと湯気を立てるアサリの山をガサリと崩すと、お馴染みの二枚貝が自身の水気と油の混じり合った汁をまとい、てらてらと輝いている。その汁ごと、じゅるりと身をかじり取る。

熱々をすすろう!

口の中で膨らむ薬味の香りのあとに、やがて、じんわりとした辛味が広がってくる。それほど激しさはないが、この辛味が絶妙に食欲を刺激し、アサリを持つ手が止まらなくなる。

この料理は、山盛りが基本。何故なら旨すぎてすぐなくなるからだ。箸を使うのもまどろっこしい。手づかみでわしゃわしゃ食べるのが正解だ。この量をひとりで食べるのに5分もかからなかった。

この食べ方が一番旨い。

お供は、もちろん青島ビール。そこまでは無理でも、冷えたビールは必ず用意したい。なんせこの料理は、大量のアサリをぐわーっとむさぼったあとでグビリと干すビールの旨さもセットなのだ。

青島人に敬意を表して、乾杯!!

ネットだと豆板醤やら何やらあれこれ入れるレシピも多いが、全て余計だと思う。今回は、青島で食べた中でも最もシンプルな作り方をご紹介する。

アサリの旬は、春と秋。ビールが旨い陽気になってきた今、作り時ですよ!

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