【無料公開】広州で食べた① - 懐かしの広州を2日3日で喰い倒す!
台湾篇がようやく終わったので、新たな旅行記を始めます。
今回始めるのは、2019年1月の広東省広州篇。旧ブログで序盤を書き始めていたのですが、帰国後の忙しさに追われて未完になっていたものです。
広州には4年ほど暮らしていましたので、好きな店も好きな料理も数えきれないほどありました。その中から、2泊3日の日程でどこへ行って何を食べるべきか、悩みに悩んだ結果をまとめる形になります。
初めて広州へ行く人にとっては、大いに食事の参考にして頂けると思いますし、旅行の予定がない人にとっても、目くるめく広東料理や点心の数々に心を躍らせて頂けるのではないかと思います。しばらくお付き合いください!
広州1 - 懐かしの広州を2日3日で喰い倒す!
かつて4年ほど暮らした広州に、幼い子供(当時2歳)を連れてわざわざ飛んだのは、広州在住時代に作った銀行口座を帰国前に整理しておこうと思ったからだ。
だが、期限切れが迫ったマイルを使って広州行きのフライトを取ったあとになって、昔は現地へ行かないとできなかった手続きが上海でもできるようになったことが判明し、行く意味がなくなってしまった。
結果として旅行の目的は、「2歳我が子に本場の広東料理を経験させる」&「大人は広州の食を懐かしむ」という極めてお気楽なものに変容した。
まず、今回はもう新規開拓は一切しない、と決めた。広州時代に好きだったレストランに行って、だらだらの限りを尽くすのだ。
ただ、飲茶や広東料理に身を浸すということは、ほとんど酒を飲まないということになる。どっちも酒より茶の方が断然合うから、ダメな酒飲みの僕ですら、広州の食事では茶を選んでしまうのだ。
「胃袋はともかく、肝臓には優しい旅になりそうだなあ」なんて言いながら、広州行きのフライトに乗った僕らなのだった。
空港から市内へ出る高速の車窓から見える景色は、十年前に住んでいた時とまだあまり変わらなかった。町中に咲き誇るブーゲンビリア(三角梅)を見ると、広州に帰ってきたなあと思う。
なにせ市中心部の歩道橋や高架にはほぼ全て植えられていて、その印象的なことと言ったら、花の名前なんて全く覚えない僕が、この花は自力で判別できるようになったほどなのである。
午後一時過ぎにお目当ての店へ着いた。某外資系高級ホテルのメインダイニングだ(店名は次回記事に載せます)。
外資系高級ホテルの店だなんて「らしくない」と思われるかもしれないが、僕の判断基準は「美味しいか否か」である。数年ぶりの広州での飲茶なので、絶対に外さない店を選んだ。
実は飲茶天国の広州でも、ローカルの人気店で美味しい点心にありつくのは結構難しい。変な創作点心が幅を利かせていたり、食材の質が悪かったり、味付けが甘すぎたり、旨味調味料が強すぎだったりするのだ。
その点、この店の品書きは伝統点心が中心で、値段は高いが、どれも間違いなく美味しいものを供しているのだ。
家から持参した茶葉を店員に渡して淹れてもらい、僕らはそれをすすりながら、ゆっくりと点心を選んだ。
この日渡した茶葉は、鳳凰単欉。広東省潮州市の鳳凰山で栽培される烏龍茶の一種で、華やかな香りと甘味と渋みを兼ね備えたコクがある。僕らが大好きな茶のひとつだ。
いきなり余談になるが、広州の茶楼では、席に座ると問答無用で1人当たり数元~十数元のお茶代がかかる。これには席料の意味合いもあるので、たとえ自分で茶葉を持参しても、しっかりお茶代は取られる。
しかし、お茶代の対価として出される茶は基本的に安物だし、別途良い茶葉を注文すると割高になる。それならば、お茶代はお湯代と割り切って、自分で茶葉を持参した方が、安く、美味しいお茶を楽しめるというわけだ。
尚、当地では、客が茶葉を持参するのは極普通のこと。僕ら以外にも持参客は大勢いて、茶楼も普通に対応してくれる。
更に余談を続けると、僕らが広州に住んでいた2000年代は、ローカルな茶楼だと、せっかく茶葉を持参しても、店が使っている水道水のお湯が泥臭くて、お茶が台無しになることがよくあった。
対策として、茶葉のみならずミネラルウォーターを持参して、店のポットで沸かしてもらったりしていたのだが、その後、上水道の水質改善が進み、僕らが広州を離れるころには、この問題に遭遇することはなくなっていた。
「懐かしいね。あの頃は年がら年中、飲茶してたもんね」
「子供と一緒に広州に来るなんて、あの時は想像もしてなかったな」
さあ、飲茶の始まりだ。
<2024年6月>
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