傘をさすなんてもったいない！／Loxia 2/50
雪が降り出した。
雪は空気中の埃と音を吸っていつの間にか積もっていた。
せっかく傘を持って行ってやったのに、息子は雪を顔に受けて喜んだ。
地面や塀に積もった雪をかき集めて放り投げたり、雪の感触を確かめて笑った。
からだじゅうが雪だらけになっても傘をさそうとはしなかった。
雪が楽しいんだなあ。
ぼくは傘をさしていたが、コートの前が雪で真っ白になった。
雪が目に入ってくる。どうして雪は前から降ってくるの。
と息子が聞いた。
それは北風が吹いていて、ぼくらは北に向かっているからさ。
とぼくは答えた。
まだだれも踏んでいない雪があると息子は駆けてって新雪の上を走り回った。
うちについてからも中へ入ろうとしないで、外で遊ぶんだとはりきった。
ぼくは風呂を沸かした。やがて息子が雪だらけになって帰ってきた。頭に積もった雪が
みぞれのようになっていた。息子はうひょー最高！と叫びながら風呂に入った。
ぼくは降り積もる雪を眺めながら雨にならないかなあと思った。
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