【読書感想文】女たちのニューヨーク/エリザベス・ギルバート

前回に引き続き、読書感想文を。
今回は、わたしのバイブルになりました、大切な小説です。
強く生きていきたい1人の女として、貫きたいスタンスのようなものが詰まっていました。



もともと、2012年頃、高3頃だったかな、ウーマン・オン・ザ・プラネットという深夜の30分番組で、一人の内気な女性が自分を変えるべくニューヨークに飛び込んで少しずつ自分を見つけていくドキュメンタリーを見ました。それがきっかけで、ニューヨークってそういう場所なんだ。みたいな憧れを持ちました。とにかく行けば強くなれるのかな、みたいな感覚。。
内気ではなかったと思うけど、外での振る舞いや人間関係がうまくできない気持ちになることが多く悶々としていた時期(今でもそうだけど)だったのもあって、ニューヨークに行けば自分もオープンなマインドを手に入れて、コミュニケーション能力が飛躍して、強くたくましく自分を確立している女になれるのでは!!なんて思っていました。

そして念願叶ってニューヨークに行ったのは、大学の卒業旅行で、2月の真冬でした。友人たちと一緒だったので、自分を変えるような旅というよりは、とにかくエンターテインメントや食事を楽しんだり、大好きな海外ドラマの聖地巡りなどが中心だった。セントラルパークは雪景色(そんなにきれいな真っ白ではなかったけど)だったから、いつか緑のセントラルパークに行ってみたいと今でも思います。ちなみに、この本で描かれるニューヨークは、そんな壮大なオアシスなどは皆無。華やかなニューヨークの街で、密度の濃い血が通った、激しく生きる人間たちの物語。その登場人物たちにニューヨークを感じるだろうと思います。
さらにちなみに、日常の中にある公園がでてきたりはします。

私が想うニューヨークについて、長くなり申し訳ございません。
以下、読書感想文になります。


◎この本を選んだ理由

・完全にタイトル買い
⇒高校時代からニューヨークに熱烈な憧れがあった。(先述の内容です)
 タイトルだけで強く生きていく女のストーリーであることが想像できた。
 まさに、自分の理想が詰まってるんだろうなという直感がありました。

・どうしても忘れられなくて
 ⇒安い本ではないし、一度考えようと思って購入せずに帰宅。
  しかしやっぱり忘れられず、帰宅後すぐに本屋さんに電話をし、お取り置きをお願いして翌日に取りに行きました。

◎読了後の感想

 一言で表すのならば、「なにを愛とするのかを求め続けた女性たちの壮大な物語」でしょうか。
 個人的には、女性が強く自立して本当の姿で生きていくためのバイブルだと思う。心から大切な本に出会えたと思っている。なんとか大人になりたくて、解放されたくて、理想の自分に近づきたくて。どうしようもない若い時代を過ごしてもいい。
29歳で出会えた天職。彼女の仕事に対する姿勢やスタンスは、見習うべきところばかりだった。仕事に対するポリシーが大好きだった。プロフェッショナルなのです。誇りやこだわり、美学を持っていて、忠実に守り抜いている姿。本当に私の理想の女性。それから、天職に出会った29歳という年齢を遅いととるか早いととるかは人次第かと思いますが、私にとってはすごく希望となった。
 一方、男性関係はものすごく奔放。ただ、そうなるまでの過程の描写も、少女の心の葛藤や欲望、大人になるにつれての経験や成長、熟成された心の変化などがものすごくリアル。主人公の大胆な人柄に引き付けられた。
 仕事、恋愛、家族関係、友人関係、そのすべてにおいて、どのような生き方、道であれ、それを自分が望むのであれば、貫いていることがかっこいいし、強さの象徴。まさに美学のようなものを感じた。ある程度の自分が決めたモラルのなかでなら、求めるものに忠実であっても構わない。
 若い時から時代を経ていく過程が丁寧に描写されているため、少女が大人に、そして熟成されていく姿をひとつひとつ感じることができ、一緒に生きている気持ちになると思います。と同時に、手紙の受け手の気持ちにもなる。不思議だ。
 ストーリーは、後半になるにつれて展開がますます濃くなる。人生ってこうやってつながって、できていくのかな。人と人との関係、つながり、どこで何が起きるかわからない。丁寧にひとりひとり、ひとつひとつの出来事から逃げずに向き合うこと、自分のことも、誰かのことも、許すこと。生きていく中で本当に必要なことを教えてくれました。読み返すと、やっぱりここが刺さる。自分が出会わなければならなかった教えのすべてが詰まっていました。許すことで、愛が生まれることもあるのかなと思いました。

◎言い回しや表現にうっとりしました

 独特な表現や言い回し、言葉遣いにうっとりしてしまうこと多々。この表現によってより繊細に主人公の心の中の細かい心情、目の前の風景がリアルに把握できて、自分も同じ気持ちになったりする。
 ひとつひとつの気持ちの言語化、どんな些細な気持ちもすかさず丁寧に表現されていて本当に脱帽です。これって、著者本人の表現力なのか、翻訳者さんの言語化力や読み取る力なのか、なにによるものなのだろう。わかる方、教えてください。
 あとは戦時中の様子やそれぞれの立場の人の思いを知ることができたことも個人的にはよかったです。そういった視点を広げることができたかなと思う。

◎魅力的な登場人物たち

 登場人物ひとりひとりがみんな濃い。それぞれが強く意思や考えを持っていて、それぞれもまた、主人公同様に自分を導いてくれるように思えた。また、なんとなく登場人物たちの容姿も想像がつきやすい。このあたりのキャラクターの表現も、圧巻なのです。
 また、時代の設定はずいぶんと昔だけれど、多様性の観点からもものすごく現代的な小説だと思います。こういった多様性への受容も、ニューヨークならではなのだろうか。

以上、読書感想文まとめでした。
とにかく大切にしたい、という表現が正しいのかな。
この本に出会えたこと、心から感謝したいと思います。

小説の感想文は、思いを伝えるのが難しい!!!
今回も、ネタバレや内容を書きすぎているなど、注意ございましたらご指導ください。
何卒よろしくお願いいたします。

「女たちのニューヨーク」 著者:エリザベス・ギルバートさん 訳:那波かおりさん 出版:早川書房



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