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祖母の認知症と喧嘩

今日もお疲れ様です。
今は亡き祖母の話。
以前書いた「祖母から聞いた不思議な話」
「車とお金と空き巣」に登場する祖母である。


大好きだった祖母が認知症になった。


母方の祖母になる。
祖母が認知症と診断され、母は兄妹でこれからどうするのか話し合いをしたようだった。

兄妹順番に祖母のお世話をする事になり
不安だったのか分からないが母は私に電話をかけてきた。

「私が婆ちゃんのお世話を来週の土、日にするんだけど夕希も来る?」

いつもの強気の母の声とは違っていた。

私も祖母が気になっていたので祖母宅に行く事にした。


当日新幹線に乗り祖母宅に向かう。
一足先に来ていた母は既に祖母と言い合いが始まっていた。

ここから「ボケる」という言葉が出てきます。
受け付けない方、不快に思われる方は読むのをやめてスルーして下さいね。


母「何回言ったら分かるのよ!!もう食べたでしょうが!!」

祖「私は食べていません!何故あなたはそんなにキツイ言い方するんですか?」

外まで聞こえる両者の声にさすがにこれはヤバいんじゃないかと悟る💦💦

いつもの様に窓から入ろうとしたら鍵がかかっている。
あ〜そうか、勝手に出ていかれたら困るから鍵を閉めてるんだなと分かった。

玄関に回りピンポンを押す。
足音がきこえて母が鍵を開ける。

母「よく来てくれたね。2人だったら息が詰まるよ……」
母の顔には疲労が出ていたように見えた。

私「遅くなってごめんね。お婆ちゃんは?」

母「昼食今食べたのに食べてないって言いはるんだよ!あー、もう情けない…」

私はリビングに入って祖母を見た。
私と目が合った祖母はニコニコして

祖「夕希ちゃん、よく来たね〜待ってたよ。」
と穏やかな顔。

今はちゃんと私が分かるみたいだ。

拍子抜けしてしまった私は
私「お婆ちゃん、こんにちわ。来たよ〜」
と言い祖母の隣に座った。

母は部屋の掃除などがあり、私に祖母の見守りを頼んだ。

元気だった?と他愛もない話を10分程していた時に急に祖母の顔が変わる。

祖「姉ちゃん、いつ来たの?久しぶりやね。」

ん~~
私はたった今祖母のお姉さんになったようだ💧

私「桜さん、ついさっき来ましたよ。」
お婆ちゃんとは呼べなかった。
だって今、私は祖母のお姉さんだからね。

祖「桜ちゃんだよ〜」

私「桜ちゃんね、そうだったね〜」

私が笑っているのとは裏腹に背後で冷蔵庫の中を整理する母の顔は引きつり、はぁ~と大きなため息が聞こえた。

祖「あなたはどこから来はったんですか?」
ん?
何かまた口調が違う…

私「私ですか?」

祖「そうです。ヘルパーさんですよね?」

次に私はヘルパーさんになったみたいだ。

私「駅の方から来たんですよ。」
祖「はぁ~そうですか。ここまで来てくれはってありがとうね。」

口調も違う祖母。
そんな祖母にイライラしてきたのだろうか
母が怒りをぶつける!

母「婆ちゃん、いい加減にしてよ!あんたの目の前にいるのは孫の夕希よ!何で分からないの?」

いや、そこまで怒鳴らなくても……
祖母は驚いている。

私「母さん、そこまで言わなくても…認知症だから仕方ないよ。」

母からすればあれだけ綺麗好きだった祖母が
家の掃除もできなくなり、服装にも気を使わなくなり、ましてや名前すら忘れられた事に耐えられなくなったのだろう。
分からなくもない。
私も家族が認知症になった時に、どう思うのかなんてその時にならないと想像もつかない。
だけど認知症は脳の病気だ。
祖母のせいではない…

母「大体、夕希も夕希よ!怒るわけでもなく何で婆ちゃんに話を合わせられるのよ!腹が立たないの?私は無理よ。腹が立つやら情けないやら…」

と、怒りながら涙ぐむ。
自分の怒りを私に向けるのは出来たらやめて欲しい……と思ったのだが
母も認知症になり老いていく自分の親の状況を目の当たりにして何とも言えない思いがあるのも分かっていた。
母も母で複雑だよな……
反論するとまた更にヒートアップするのが目に見えているのでやめた。

私「私がいる時はお婆ちゃんは私が見てるから母さんはお婆ちゃんの家の事をして。私はお婆ちゃんの家の事は詳しくないから下手に触りたくないし。」

そう言うと母はホッとした顔をしていた。

祖「ヘルパーさん、トイレは大丈夫?」
私を見て祖母は言う。
私「あ、お借りしてもいいですか?」
祖「どうぞ、どうぞ!」

私はトイレに行った。
行った事をすぐ後悔する💧

トイレに入って少ししか経過してないはずなのにリビングで大きな声が聞こえる💥💥

まさか母さんとバトル?
いやまさかね?

急いでトイレから出てリビングに向かうと
あろうことか母と祖母が揉み合ってる姿!

バトル勃発!!

掴み合い、叩き合い、引っ掻き合う2人!!😱


蹴りは流石に無かったが…😱😱😱

母「何回言ったら分かるのよ!!このボケが!」
母は祖母の腕を掴んでいる。

祖「離してよ〜ここは私の家じゃないの!!」

母「婆ちゃんの家でしょ!」

祖「離せー!コノヤロー!!」

母と祖母の取っ組み合いの喧嘩。

お婆ちゃん、コノヤローって言うのね?💦

で、何でこうなった?😱😱😱

私、トイレに行っただけなのに……😭😭😭

慌てて母に聞く。
私「何で?何があったの?」

母「私の顔見て『あなた誰よ?』って言って、いきなり『私出て行きます』って出て行こうとするから腕を引っ張ったらいきなり騒ぎ出して暴れて母さん叩くから叩き返したらこうなったの!あーもう訳が分からないわ!」

私「母さん、手、離してあげて!」

母「嫌よ!力ずくでも止めてやるんだから!」

いや、それは逆効果なんだって!
祖母はずっと「離せー!」と叫んでいる。

何故か私は泣きそうになってしまう。
多分祖母のこんな姿、見たくなかった自分が少なからずいたのかも…😭😭

引っ張る、逃げる、叩く、叩き返す……💥💥
2人が強すぎて止められやしない!!


母「いい加減にしなさーーーーーい!」

母はそう言い祖母の腕を思いきり引っ掻いた。


何もそこまで……と思ったのだが
認知症になり加減を知らない祖母に引っ掻かれた母の腕はもっと酷く血が流れている箇所が沢山あり、叩かれた場所は真っ赤になっていた。

母さんは母さんなりに手加減していたって事だよね…

しかし、
女同士のバトル?って…どうなのよ…🙄🙄


祖「血が…あ…血が…」
座って腕を見つめる祖母。

私「お婆ちゃん、消毒しようか?」

しかし、祖母はいきなり立ち上がり近くに置いてあった鞄を掴む。
祖「私、帰ります。ここは私の家じゃない!」

母「まだ言ってるの?本当にボケたんだ?」

祖「あなたはいつも酷い事するから嫌よ。私、帰ります。」

母「帰れるもんなら帰りなさいよ!出て行けないくせに!」

祖母は机の上にあるリモコンやお菓子、畳んであった洗濯物を鞄に入れ始める。

出ていく気満々ですな😅😅

だけど鞄の中身が違いすぎる。
リモコンは不要だし、洗濯物はタオルばっかり入れようとしてるし、入れようとした鞄はやけに小さいし…
判断ができなくなるのも認知症なんだろう。

私「お婆ちゃん、出て行くの?」

祖「出て行くの!」

私「道、分かるの?」

祖「……………………」

私「もう外は暗いからやめたらどうかな?」

祖「……………………………………」

私の言葉を聞いているのか聞いていないのか
分からないが

祖母は鞄に荷物を出したり入れたり……

これをずっと繰り返していた。


私はその姿を


黙ってずっと見つめていたんだ。


何度か母と祖母宅に見守りに行ったけど

この母と祖母の取っ組み合いのバトル?が

1番心に残っている。


認知症になった実母に容赦なく対応する母。
認知症になっても娘に立ち向かって行く祖母。


女同士のバトル?は
感情と感情のぶつかり合いだよね~💦💦


祖母と母、2人とも強かったです😂😂😂



















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