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特集番外編 ドローンは石拾いで活用できるか実験してみた

『特集 ドローンは石拾いに役立つか』で取り上げた石拾いとドローンの関係。この特集自体が何の役に立つのか疑っていた人もいたのではないだろうか。そのような疑念を払拭するため今回は本当にドローンが石拾いで活用できるかを実験した。

初めに言っておくと今回実験した場所は国立公園内である(入林許可取得済み)。ドローンを対岸に飛ばしたりドローンで石の写真を撮ったりはしたもののその場所にある石は拾っていないし、我がドローンの仕様書にはペイロード(積載可能重量)の記載がなかったためドローンに石をくくりつけて飛ばしてもない。

さて、実験の正当性に対する疑いが晴れたところで、早速実験結果を見ていくことにしよう。

実験したのはこのくらいの小川でなんですけどね!




実験1:ドローンを対岸に飛ばして石の写真を撮る

端的に言ってこの実験は成功した。荒川やラ・プラタ川のような川幅でなければ対岸は目視内であるし、今回のような川ならば対岸にどのような石があるか遠目からでも大体把握できる。ドローンをお目当ての石の場所に飛ばして撮影ボタンを押せば良いだけなので簡単に石拾いで活用可能だ。

横からのアングルはこのような感じ


気をつけるべきことはドローンを石すれすれまで降下させて飛ばさないことである。ダウンウォッシュという、ドローンから吹き下ろされる風によって砂や小石が巻き上げられる現象が起こり、プロペラが傷つく可能性がある。その他にも、低空飛行をさせすぎると目測を誤った時にプロペラが石に接触するなど思わぬ事故の原因になりかねない。下方に対しセンサーが付いている機種は常にセンサーをオンにしておくことをおすすめする。

真上からのアングル。いずれのアングルも石の種類や質感まで知ることができる


また、露出等を間違えると石の色を正しく撮影できないので、快晴の日はあらかじめカメラにNDフィルターをつけておくと良い。カメラの設定は感覚的に把握しておこう。

今回はNDフィルター等はつけずドローン側の設定で暗めに撮影した。しかし、設定を暗くしすぎると黒い石は色が潰れてしまうのでバランスが重要だ


実験2:ドローンを飛ばしながら石の映像を撮る

川幅が広いと対岸にどのような石があるか測りかねることがある。川幅は広いもののドローン自体は目視できる程度の場合は写真ではなく映像という選択肢もある。今回は実験のために映像も撮影してみた。そこでわかったのは石拾いにドローンの映像を役立てたい場合はかなり低速飛行をする必要があるということである。

※これは編集なしの石探査映像。目視内で撮影するとこのような散々な結果となる

感覚的な話になってしまうが、ゆっくりドローンを進ませているつもりでも低空飛行(=被写体との距離が近い)の場合には映像内の石があっという間に通り過ぎていく。あまりにも早くてどのような石なのか判別できないほどだ。もちろん映像を一時停止すれば良いのだが、映像の解像度は写真に比べてはるかに低い。しかもドローンは速く動いているからフォーカスが合っていないことの方が多い。そのような映像を一時停止したところで石の質感までわかる静止画を得られる保証はないだろう。

ドローンの速度は、石の質感を得ようと思ったら対岸から見てドローンが前進しているのかどうかわからないくらいのゆっくりとしたスピードで飛行させる必要がある。操縦者としてはもどかしい気持ちにさせられる。しかし、ここで我慢しないと後に撮影された映像を見たときに落胆する羽目になるので忍耐が必要だ。

さらに、少しでも成功の確率を上げるには1080p(Full HD)以上で撮影すると良い。最近のドローンは簡単に4K以上で撮影できるので1080pはそれほど難しくないだろう。

加えて、石との距離を適切に開けることも重要だ。石との距離はプロポ等の画面を見ないと正直よくわからないので、ドローンをホバリングさせながらチラッとモニターを見て確認すると良い。あまり長く画面を見すぎると規則違反(目視外飛行)になるので気をつけよう。

※この動画は先ほどの反省を活かしかなりゆっくりと飛行しているし石との距離も離れている。ちなみに今回は24fpsで撮影した。一時停止を活用して石の種類等を判別したい場合は60fpsなどにしても良いかもしれない。ただしデータ容量はかなり重くなるので注意が必要だ。


目視外飛行にならないように気をつけよう

100グラム以上のドローンを飛行させる場合、目視外飛行をするには承認を得る必要がある。国家資格を持っていて機体認証も済ませていればその限りではないが、石拾いにドローンを活用する目的で国家資格を取っている者など、現時点では私以外にいないのではないだろうか。ただ、私は国家資格の二等は持っているものの我がドローンが基準を満たす機体ではないため承認なく目視外飛行はできないことになっている。

空撮をしたことがある者は経験していると思うが、飛行中はどうしてもプロポなどの映像に見入ってしまうことがある。チラッとぐらいなら良い、というかチラッと見ないと逆に危ない目にあうこともある。だが、画面ばかり見ていると目視外飛行となってしまうので気をつけなければならない。

実際はドローンとその周囲ばかりを見ている方が危険ではある。なぜなら、プロボなどには高度や速度、何か危険があった場合に具体的にその理由を示す文言が書かれているからである。私は人間の目よりもドローンのセンサーを信じているので、あくまで個人の見解だがドローンを見ることとプロポなどを見ることの比率は5対5くらいの方が安全だと思っている。まあ、ルール的には補助者がいれば良い(人生的にも一緒に石拾いをしてくれるお友だちがいれば良い)のだが……。



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