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特集 ドローンは石拾いに役立つか

割引あり

ドローンを石拾いで活用したいと考える人も多いのではないだろうか。日本国にはドローンを公共の福祉に役立てたいという目論見があるらしい。ならば石拾いでの活用は真剣に考えるべき時だろう。2022年12月に導入された国家資格に伴い以前とは運用ルールが大きく変わったドローン。今まで以上に複雑で煩雑になったルール、その徒労を凌駕してまでドローンは石拾いに役立つのだろうか?
今回はタイトル通りドローンと石拾いの関係を特集し考察する。もし有用ならばドローンを石拾いに使わない手はない。無料部分ではドローンの運用に関する基本的な説明を、有料部分ではドローンは石拾いに役立つかを考える。ちなみに、この特集で思い描いているドローンとはDJI社のMavic Air 2という私が持っている機種(愛称:ドロンちゃん)である。




おさえておきたいドローン基礎知識

ドローンは空を飛ぶ車のようなものだ。車の運転には免許が必要だがドローンは必ずしもそうではない。しかし、ある程度大きなドローンにおけるサイズ感やプロペラが回転しているところを見れば、これは事故が起きたら怪我や物損は免れないと思うはずだ。初めて大きなドローンを飛ばした時は正直ちょっと怖かった。
ここでは、安全にドローンを飛ばすために知っておきたいいくつかの点を解説していく。

ドローン操縦に際するさまざまな義務

ドローンを運用する際に知っておかなければならない義務は実にたくさんある。国家資格ありと国家資格なしでできることとできないことがあったり、国家資格を持っていても原則禁止されていることもあったりとドローンのルールは複雑だ。また、飛行空域や飛行方法によって負う義務も変わる。ここでは100g以上の無人航空機を飛ばす場合の主な義務を挙げる。

  • 機体登録(違反したら1年以下の懲役または50万円以下の罰金!

  • リモートID搭載(2022年6月19日以前の登録で搭載しなくて良い場合もある。搭載しなかったら50万円以下の罰金!

  • 飛行前点検と登録記号の機体への表示(違反したら50万円以下の罰金!

  • 特定飛行をする場合に許可・承認を得ること(国家資格ありで機体認証された機体であればしなくて良い場合もある。許可・承認を得ずに特定飛行をしたら50万円以下の罰金!

  • 技能証明を受けた者は技能証明書の携帯(忘れたら10万円以下の罰金!

  • 緊急用務空域に該当するか確認(緊急用務空域で飛ばしたら50万円以下の罰金!

  • 特定飛行をする場合の飛行計画の作成とDIPSへの通報(通報しなかったら30万円以下の罰金!

  • 事故や重大インシデントの国土交通省への報告(報告しなかったり虚偽の報告をしたら30万円以下の罰金!

  • 事故で負傷者を出した場合の救護など危険を防止する措置(講じなかったら2年以下の懲役または100万円以下の罰金!

  • 航空法、小型無人機等飛行禁止法、民法、刑法、外為法、道路交通法、廃棄物処理法、条例など法令の遵守

こんなにたくさんあるのか……これでも全部じゃないなのか……と思ったかもしれないが、ドローン操縦者もパイロットである。飛行機のパイロットが負う義務に想像を働かせるとこれくらいはあってもおかしくはない。
一方、100g未満の機体は小型無人機となるため、100g以上の無人航空機とは異なる区分となる。100g未満のドローンも小型無人機等飛行禁止法の遵守やその他の関係する法令の遵守は絶対だが、無人航空機のみが負う義務は免除される。義務遂行を怠れば破産するか懲役が待っているのできちんとルールを理解しておこう。


任意だけどドローン操縦者なら知っておきたい

保険
意外に思われるかもしれないが保険加入は任意である。だが、自動車の自賠責とは違い任意ということは何か起きても大した賠償額にならないのではないか、などと考えてはいけない。上空100メートルから落下するドローンが直撃すれば人の命も容易に奪える。また、対人・対物の事故だけではなく肖像権侵害といった民事で訴えられることも考えられる。ドローン操縦者は刑事責任・民事責任・行政処分の責を常に負う。賠償を求められた時に救いになるのは保険だ。
ちなみに、機体保険に加入しているとドローンに何かが起きた時の費用を一部あるいは全部負担してもらえるかもしれないので機体の購入価格と保険代を考慮に入れて加入を検討しよう。
石拾いでドローンの活用を考えている人も保険には入っておいた方が望ましい。川や海岸で石を拾う時に注意したいのは釣り人だ。わりとどこにでもいるから衝突する可能性は否定できない。釣り糸がドローンに絡まることも考えられる。

服装
ドローンを操縦する際には動きやすく安全に配慮された服装をしていることが望ましい。よく推奨されているのは長袖長ズボンに動きやすい靴、ヘルメットの着用、ドローンを飛ばしていることを示すもの(腕章など)、必要に応じて保護メガネといった防具である。これは自分と第三者に対する事故を防ぎ、事故が起きた場合は素早く対応できるためだ。また、経験上、暑くても寒くても露出を控えることで長時間の撮影に耐えやすくなる。晴れていると肌に直接太陽光が当たるのは辛い。曇っていて暑ければ袖を捲るだけで良い。
石拾いの際も草を分け入って川原に出ることもあるので皮膚を守るためにも長袖はおすすめだ。

特定飛行をしない場合の飛行計画
特定飛行をする場合は飛行計画の通報が義務となるが、特定飛行をしない場合は飛行計画の通報が望ましいとされ、つまりは任意となる。個人的には計画を練るのは楽しいしリスク回避にも役立つので任意でもやった方が良いと思う。
石拾いには常に不測の事態が生じるため飛行計画を立ててもその通りに実行できるとは限らない。限らないが、計画を立てておくと石拾いへのやる気が高まるかもしれない。


事故を起こさないための備え

もし事故が起きてしまった時はパニックにならないように準備をしておくことで大事は避けられるだろう。撮影場所のロケハンをするのと同じくらい、最寄りの病院の把握や助けてくれそうな人をみつけておくことも大切だ。とりわけ石拾いでのドローンの活用を考えている人にとってドローンを飛ばす場所は非日常の中にある。今どこで自分が石を拾っているかその所在地(〇川河川敷とかではなく、×町△丁目の〇川河川敷という具体的な場所)をわかっていないこともしばしばある。そうだよね、みんな?私はあまりわかっていない。

また、飛行計画の作成と飛行前点検も事故を避けるために役立つ。

飛行計画の作成
飛行計画の作成で重要なのは安全管理である。飛行経路や飛行範囲を定めるだけではなく、高圧電線がないか、航空機(ドクターヘリ含む)の往来がないか、第三者の立ち入りがない場所か、着陸ができない事態が発生した時に緊急着陸地点が確保できるかなどを安全管理を優先しつつ考える必要がある。また、緊急用務空域に該当していないかは飛行前だけではなく飛行直前にも確認した方が良い。

飛行前点検
機体の飛行前点検は表があるので活用したい。これをするだけで安全性が高まるのならやって損はないはずだ。なお、私が試験を受けた時は以下の項目に加えて「機体識別表示」「リモートID機能」「灯火」「カメラ」が加わっていた。

https://www.mlit.go.jp/koku/content/001574394.pdfより

また、飛行前点検のためのアプリもある。こういったアプリは飛行計画の作成もできるためとても便利である。ほとんどのアプリが有料の中、会員登録すると無料になるのがJULC飛行日誌アプリ。


ここまでのまとめ

ドローンは事故が起きるたびに規制を強めてきた。事故が多発するとどんどん運用ルールが厳しくなると予想される。ルールを逸脱することなく事故を起こさないよう細心の注意を払うことが操縦者本人にとっても全体にとっても望ましい。ドローン活用の可能性を石拾いにつなげるためにも、これ以上規制が強まらないようみんなで努力していきたい。


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