バリで人が亡くなった後の儀式の流れ・手順③ 〜火葬式〜
午後からのガベン(火葬式)の流れです。
お昼過ぎに訪れると、この様子。
ガベンではたくさんの出店が並びます。
火葬している真横で
人のお墓の上にダイレクトに座って
油ギトギトご飯を食べれるバリ人…すごい😂
準備が着々と。
・ご親族でのお祈り
皆様で遺影のお写真・
お供物の前に集まり
火葬前の祈りを捧げる。
・朝燃やしたご遺骨を依代にお入れして
あの世への乗り物にのせる
朝燃やしたご遺骨は
ココナッツを使った依代に。
先ほどの祈りは
身体と魂を、この依代へ鎮座させるため。
カラフルで手が混んでいて
めっちゃ可愛い…!
細かい飾りは、神様に向けてのものだそう。
あの世で使うためのお金、
土葬の時に口に咥えさせていた指輪も
一緒に燃やすそう。
他にも
カジャンサリ・カジャンアレという
死者の書を2種類。
カジャン=
これからいくところの道を教えるもの、
道案内図・聖なる文字
上に引き上げるための存在を呼ぶ。
自然とつながるための文字が
たくさん書かれている。
ウランタガという
宇宙のシンボルを描いた布。
(神を胸に抱いてあの世にいく
ガイドをしてもらう)
布は、あの世への船を漕ぐ帆になる。
孔雀の形、ちょうちょの飾りも。
儀式には、シンボルや形が大切。
宗教の開祖者たちは
見えない世界を見てきて、
それを形にしているものがシンボル。
あの世にあった道具を
図式で書いている。
孔雀はチャクラを開くための道具。
(病気を治すときは、
チャクラを開かなくてはならない。
そのための道具でもある・11個ある)
飾りのひとつひとつに意味があり
その全てが聖なる道具として
形にされたもの。
バリ人でも、意味を知って
やっている人はそんなにいない。
ロンタル(高僧しか触れられない秘伝の書)
によって細かく決められているものを
その通りにつくっているだけ。
これらは人間界以外の情報、
見えない世界の情報を
リアルに知ってる人しか理解できないが
世界でも稀なほど緻密な
サイエンスでもある。
バリ人は、全員がマンクー(お坊さん)
一般人の方であっても
自分たちの手で
様々な弔いや儀式・浄化ができる。
火葬の前に、再び遺骨と依代や
あの世への乗り物を
何種類ものお寺でいただいた聖水で
お清めしていく。(11種類だったかな?)
何回聖水でお清めするの…!!すごすぎる。
こちらの乗り物に
先ほどのココナッツの依代を
乗せていく。
合同火葬式の場合
ひとつの乗り物につき
最大5名程度だったかな…?
魂と骨、お供物など
あの世に持っていくものを抱え、
列をつくって
この周りを何度もまわる。
乗り物の色は、
一族・門徒によって違う。
ブンデサマニックマスが
写真の、赤の獅子(binatang singa)
プラサリが
顔が象で身体が魚の乗り物。
お坊さんやブラフマナ一族は
(カースト階級のトップ)
だいたい牛(ルンブー)の乗り物。
↑こちらは別のタイミングにあった
お坊さんのお葬式で撮影した
牛の乗り物。
お坊さんのお葬式は
常に単独で行われる。
亡くなった後、土に埋められずに
準備が出来次第、吉日に葬儀。
(他のタイミングで撮影した
葬儀の動画や写真などは
また別のブログで綴ります✏️)
本当はこの乗り物は
バンジャール(村)から
隊列を作り、歩いて連れてくる。
ガムランも一緒で
それはそれは華やかだそう。
今回はコロナ禍だったため
車で乗り物を移動させて
火葬場に鎮座させていました。
ちなみに、ガムランの演奏は
無料で捧げるものだそう。
バリ人にとって葬儀は
本当に大切なもの。
民族としての誇りをかけて
おこなうものである。
・いよいよ火葬
乗り物にのせたら、火をつける。
…が、なんとこのタイミングで
スコールが!!☔️😂
「もし雨が降ったら
火葬式ってどうなるの…?」
と疑問に思って直前に聞いた時
「どんな時でも、必ずするよ。
葬儀の吉日は決まっているから。
火葬式の時、神様が見てる。
みんな待ち望んでいる日。
必ず、雨は止む。
バリは、そういう島」
と言っていたのだけれど…
まさにその通りの展開に😂
ちなみに
集団火葬式の季節は決まっていて
乾季のタイミング。
近頃肌寒いね〜という話題を
バリ人としていると、決まって
「だって、ガベンの季節だから。
この時期はエネルギー的にも気候的にも
体調を崩しやすいから注意してね!」
と言われておりました。
お葬式の季節だから、って凄いワード…!
何はともあれ。急な大雨
雨具を持っている人はごく一部。
雨が止まないと、火をつけられない。
みんな、びしょ濡れになりながら
依代を持って、その場で待ち続ける。
だ、大丈夫か…?!?!
みんな絶対風邪ひくやん😂
ひろみさんと共に
たまたま持っていきていた
ちいさな折り畳み傘の中で
きゅうきゅうを身を寄せ見守る。
(雨具がない皆さんに申し訳なくも
できることがない我々。。。)
その時
びしょ濡れになっている
知り合いのバリ人女性と
(お供物を持っていた)
目が合った。
彼女はニコッと、一言。
「Sudah makan?」
(ご飯、食べた?)
バリ人にとっての定番の挨拶の一言
相手を気遣う言葉なんだけど
まさかの、このタイミングですら
聞かれるわけ…?!🤯
お腹減ったでしょ?
お弁当をあげるよ、と言われ
衝撃のあまり、ひろみさんと
目をまん丸にしました😂
すげすぎだ…その気遣い力…。。。
大雨と火葬式というインパクトは
半端なく大きくって
今も忘れられない体験です。
「なんか…この感じ
もはや…体育祭っぽいですよね…」
と言い合うという😂
みんなの情熱と想い、
その当たり前が凄すぎて。
30分ほど雨に打たれて
震えながら待ったのち
ようやく、雨が止んだ!
みんな歓声をあげ、いよいよ点火。
火がついた途端、みんな
「ヒューーーー!!!!」
と叫んで拍手😂👏
ぬかるんでドロドロの中
炎と煙が勢いを増して
天に登っていく。
ちなみに、これらの乗り物の真下には
他の方のお墓が普通にあります🤣
踏んでいいの?!ってビビるよね😂
見ている私たちも、みんな
お墓の真上に立っているという…
本当は故人たちも
早くあの世に行きたいけれど
金銭的な問題で集団火葬式になり
自分の番を何年か待っているので
埋められている方からしても
「いいな〜」って感じかもしれませんね😂
あと、きっと一緒に
盛り上がっていると思います。😂
「いってらっしゃーい!!」的な。
そこかしこで、
何十体もの乗り物が
燃えていく様は
圧巻としか言いようがない。
コロナじゃなければ
大量のガムラン生演奏が
鳴り響いているらしく
それはそれは、凄いそう。
土に埋められ、土に還り
火に燃やされ、火に還り
風に吹かれ、風に還り
そしてこの後は
海に撒かれ、水へと還る。
なんと壮大な物語なのでしょうか…。
バリ人の人生、哲学は
ドラマティックでありロマンティック。
もはや、バリはステージで
ここに生きる人は役者なんだよね、と
ひろみさんは、おっしゃっていました。
・燃えた骨と指輪を拾い、安置
燃えた骨を再度拾い
聖水でお清めをする。
白い布の上に聖なる葉っぱを置き
その上に遺骨と指輪をのせる。
白い布は、結界。
明日は、この遺骨を
海に撒きに行きます。
そのために、一度お浄めをして、
お墓にこのような形で安置するそう。
そして、明日もさらに
・ココナッツの依代(魂と身体が入る)
・お花、お供物、祭壇
・浄土に行くための曼荼羅
などが大量に必要になるため
この後もひたすら
お供物作りが続くのです…。
雨でぬかるんでいる…😂
そしてこの土は、遺体を分解し
耕し続けてきた
ドゥルガのエネルギーの土。
ドゥルガのお墓に行くたびに
「なんなのこの土とエネルギー…
なんか凄すぎるんだけど…」
と思っていたけど
こうやってできていたのか、と気づくと
納得しかなかったよね…。
ブラックマジックの使い手は、
このドゥルガの土を使って
魔術や呪い、良くないことに使うそう。
お、恐ろしい…
ちなみに
お墓のお名前を綴っていた石は
不要になるため、
崖から放り投げて割っていました😂
天に登っていく身体たち。
…今回もどどっこかった。
次は、海編を綴ります✏️
ちなみに、この火葬式の後
雨でびしょ濡れのバリ人に
「やったね〜〜〜!
ついに火葬できたよっ😂
コロナで延期延期になって
儀式も先が見えなかったからね。
あの世にいくステップを踏めて
本当に嬉しいよ!
今日、楽しかった?!」
とニコニコ聞かれました。
「た、楽しかった…って
言っても、いいのかな?😂
すごく良い経験をさせてもらって
感謝でいっぱいだよ」
と答えると
「何事だって、
楽しかった〜って
言っていいに決まってるじゃん!
葬儀は最上のお祝い事だよ。
人生の全てを楽しむ。
それが大事だから🌟」
と言われました。
ハッとしたよね…!!
物凄いわ、バリの人たち。ほんとに。
学ぶことばかりです。
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