幼子と果物売り 【かわいい(不登校の)子には旅をさせよ(ママにもね)】
不登校の息子とベトナムはニャチャンに旅行に来ています。ニャチャンの海はとてもきれいで潜ればきれいな熱帯魚が見られます。日本の海では絶対に見られないきれいな魚見たさに頻繁に海に通う日々。
ニャチャンは昔からロシア人のリゾートとして人気のある都市らしく、ビーチで一番多いのはロシア人らしき欧米の方たち。小さな子どもを連れた家族が多く、よちよちと歩く姿には目が細まります。こういうとき、子育て経験がある人が必ず自分の子供に言うこと。「あんたもあんなに小さかったのよぉ〜」
誰もが言われ(あまり言われたくはなかったけれど)、親になった人は多分一生に一回は言っているセリフじゃないでしょうか。口には出さなくても、自ずと小さい頃の息子が思い出されます。
そんなことを考えていると、ベトナム人のおばさんが声をかけてきました。「ハロー。どこから来たの?」と英語で尋ねてくるおばさん。「日本だよ」と言うと、「ああ、いい人が多いよね。美人も多い」とカタコトの英語でよいしょするおばさん。続けて「ところでマンゴーとパイナップルはどう?」
営業でした(笑)果物は好きではないのと今からまだ泳ぐので、「果物アレルギーなのよ。食べると具合が悪くなる」とやんわり断りましたが、英語が通じませんでした。結局「ノーセンキュー」で終了。
私としては、はっきり断るのも何か悪いなと思ったので嘘も方便を使用したのですが、おばさんが英語を理解したとして、このなんとも日本人らしい「やんわり(体よく?)断る」精神が果たして通じたのかは疑問だなと、言った直後に頭に浮かびました。そんな文化はベトナムにはないかもしれません。「結局買わないんでしょ?」と片付けられる可能性も多いにあります。言葉は通じたとしても気持ちが通じるのは難しい。
こちらの気持ちが相手に通じないと言えば、「親の心子知らず」。言葉も文化も同じでも気持ちが通じるのは難しいようです。特に、愛情を言葉にしない日本人はなかなかそれを伝えることが難しい。小さいころは抱きしめてやればよかった。むしろ抱きしめることが必要でした。でも、成長していって中学生にもなれば抱きしめるなんてまずありませんし、必要でもなくなります。「どう愛情を表現すればいいか? できれば精神的に何か本人のプラスになることがしたい」と考えたとき、私が行き着いた答えは「味方になること」でした。
味方なので、子供だからと言って馬鹿にしません。間違ったことをしたら間違っているよと教えます。何か困っていたら、どうしたら解決できるかを一緒に考えます。本人も気持ちもしっかり聞きます。それが味方です。親という立場としては子供より上なのかもしれませんが、人として見た時に大人が子供の上になる構図は作らないことが私の信念です。もちろん、これが正解ではありません。私のやり方というだけです。
ただ、どうやって愛情を示すかはすべての親に課されている課題なのかなとは思います。子育てから何か学ぶことがあるとすれば、難しいと言われる思春期の愛情表現かもしれません。人の本当の気持ちは本人にしか分かりません。それをうまく表現できるようになれば、それこそ世界平和も叶うのかもしれません。
そんなことを、果物売りのおばちゃんの後ろ姿と幼子を連れたロシア人家族を見ながら考えた昼下がりでした。
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