マガジンのカバー画像

天下統一 恋の乱SS

17
note限定の恋乱ショートストーリー置場
運営しているクリエイター

#恋乱

双月㈡【藤林朔夜】-天下統一 恋の乱- ✎

双子の兄である弦夜に呼び出された俺は、山道を急いだ。

「普段着で来いよ」

定期連絡だと言いながらも「普段着で来い」の意味がまったくわからなかったが、俺は指示にしたがった。

やがて弦夜が指定した庵に着いた。

庭の方に回ると、縁側で杯を持って佇む弦夜がいた。

弦夜は何時もの着崩した着流しではなく、仕立ての良い着物に身をつけていた。

「おー朔夜。早くこっち来いよ。美味い酒を飲ませてやるからよ
もっとみる

双月 ㈠【藤林弦夜】-天下統一 恋の乱- ✎

正式に伊達の忍になってからどのくらい経っただろう。

俺は目の前に差し出された報酬を目の前にして、ため息を一つついた。

「なんだ?不満か?」

何時も堅苦しい小十郎さんが俺のため息に反応して、顔を引きつらせる。

「不満つーかよ…美味い酒とか出てこないかなぁ…なんてな」

「何?」

立ち上がろうとする小十郎さんを、隣で黙っていた政宗が静かに制する。

「弦夜の望みは酒か?」

政宗が俺に真っ直
もっとみる

CORE PRIDE【織田信長】-天下統一 恋の乱- ✎

燃える城の中に鯉口を切る音が響く。

目の前の男は慄き、魔物でも見るかのような顔つきで見上げている。

刀を抜くと、その刀身は蒼く美しい輝きを放った。

「ひぃ…」

男が声を上げると同時に、俺の手にある刀が風を切る。

シュッ

軽い音と同時に、男の頭上にあった髷が地に落ちた。

「去れ」

冷たく言い放つと、男は慌てふためきながら俺の前から立ち去った。

「御屋形様…よろしいのですか?」

もっとみる

君の行方 【明智光秀】-天下統一 恋の乱- ✎

天下統一恋の乱の二次小説です

ヒロインの名は陽菜です。











「比叡山を焼き討ちに処す」

「御屋形様!お待ちください」

私、明智光秀は声を荒らげ、御屋形様の前に出た。

「人質はどうするのですか?」

「見殺しにする」

冷たく言い放たれた言葉に、全身に寒気が走った。

「陽菜は…陽菜を見殺しにされると…」

陽菜は私の大切な人だ。

それを知った朝倉に、人質に取られてしまっ
もっとみる

EVERY【織田信長】-天下統一 恋の乱- ✎

※天下統一 恋の乱の二次小説です

ヒロインの名は陽菜です






信長様にお客様が来ていると聞き、私は広間へお茶と茶菓子を持っていった。

広間からは何やら早口の言葉が聞こえてくる。

(聞いたことある声…もしかしたら)

襖を開けると、想像通りそこにはフランシスコ・ザビエールとルイス・フロイスがいた。

「ザビちゃん!ルイちゃん!お客様って二人の事だったのね」

「あら!陽菜!元気ソウね」
もっとみる

スパークル【真田幸村】-天下統一 恋の乱- ✎

説明し難い感情を胸に、俺は一人庭で鍛錬をしていた。

雑念を払うように己を奮い立たせる事数時間、気がつけば空は薄暗く、ぼんやりとした月明かりが俺を照らしていた。

「もうこんな時間か…夕餉を取るのも忘れていたな」

「幸村様?」

廊下が軋む音に振り向くと、そこには陽菜が立ち尽くしていた。

「夕餉の場にいらっしゃらないと思ったら、こんな時間まで鍛錬ですか?」

陽菜は呆れ顔をしながら庭へ降り、俺
もっとみる

YURA YURA 【藤林朔夜】-天下統一 恋の乱- ✎

弦夜影EDの後日談で朔夜目線です










「弦夜…抜け忍の庇い立てするなら、お前も始末する」

「もう後戻りは出来ねぇな…朔夜」

俺の半身である双子の兄である弦夜は、里の命より、任務よりも…この俺でもなく陽菜を選んだ。

何時かはこうなるのではないかと、心の奥底で思っていたのかもしれない。

俺の心中は驚くほど冷静だった。

「朔夜…わりぃな。死んでもらうわ」

「それは俺の台詞だ」
もっとみる

YURA YURA 【藤林弦夜】-天下統一 恋の乱- ✎

弦夜影EDの後日談です

ヒロインの名前は華、月ともに基本『陽菜』となっています










あの夜、捨てる事など出来ないはずだった双子の弟の朔夜を裏切り、陽菜を選んだ。

その代償はあまりにも重かった。

朔夜の放った刃から俺を庇った陽菜は、右腕に大きな傷を負った。

それはただの薬師として生きて行きたいと願う陽菜の人生を奪った。





「弦ちゃん!凄いね!ほんと筋が良いよ」

「な
もっとみる

愛してる【織田信長】-天下統一 恋の乱- ✎

信長さま外伝の後日談です

ヒロインの名前は陽菜です










俺は光の中にいた。

眩さに目を凝らしていると、目の前に死んだはずの…俺が自ら手にかけた弟の信行が現れた。

「兄様、お探ししておりました」

信行は屈託のない笑顔を俺に向ける。

「美味しい饅頭を手に入れました。兄様に召し上がっていただきたく…」

そう言って饅頭を一つ俺に差し出した。

「一つしかないではないか」

「え
もっとみる

99/100騙しの半蔵 【服部半蔵】-天下統一 恋の乱-✎

三葉の行く末の為、藁も掴む思いで服部半蔵の元に身を置いた

それは間違いだったのか…もうわからない

私は彼に捕われ…身も心も捕らわれてしまった

ぼんやりする頭で考えてみるが、甘ったるい香の匂いがすると、何も考えられなくなる

与えられる刺激に耐えかね、甘い声が漏れる

感じる肌の熱をもっと感じようと身をよじる

やがて体の芯が熱くなり、頭が真っ白になった





「で…お前が望む結果になった
もっとみる

IMPACT 【織田信長】-天下統一 恋の乱-✎

怪しい宣教師達は言う

神は貴方の側におわすと

ならば…ぱらいぞ(天国)は実在するのか?

誰も見たことも無いものが、本当に存在するのか

誰も見たことも無いのなら、己が手で作るだけ

この世は見えるものこそが真実

目に見えぬ『愛』というものがあると言うのなら

貴様自らの手で証明してみろ

この俺に感じさせてみろ

その『愛』とやらを




⊰᯽⊱┈──╌❊╌──┈⊰᯽⊱

MoShowと
もっとみる

強さ【猿飛佐助】-天下統一 恋の乱- ✎

※佐助さんの御屋形は武田信玄さまです( ᐛ )σ





強さとは何か?

俺の光の望みを叶える為の力

弱き者を守る力

不屈の精神

そう思っていた

お前に再会するまでは…



「私に佐助さんを守らせてください」

片腕で倒せるくらいの小さな娘

そんなお前から飛び出た言葉に俺は笑った

「お前は守られていればいい」

だがお前はこう続けた

「私も戦います!私は佐助さんを守るために戦い
もっとみる

大好きだよ。【織田信長】-天下統一 恋の乱-✎

※天下統一 恋の乱の二次小説です。ヒロインの名は陽菜です。






天正十年六月二日早朝

本能寺は炎で赤く染まっていた

前日に信長様は本能寺にて茶会を開き、そのまま滞在をしていた。

私は茶菓子の準備はしたものの、茶会には参加しなかった。

今思えば少しの我儘を言ってでも同行すれば良かったのだ。

今生の別れとなってしまったのだから。

当時、本能寺のそばに光秀様の軍が居たという。

それ
もっとみる

小さな祈り 【前田利家】-天下統一 恋の乱- ✎

「で?今日は陽菜ちゃんと何で喧嘩したの?」

「してねぇよ!ちょっと言い合いになっただけで…」

陽菜は俺、前田利家の幼なじみで…今は恋仲の関係だ。

だが今朝些細な事で言い合いになり、謝る事もなく今に至る。

「だからそれが喧嘩でしょ」

秀吉の呆れ顔を無視して、俺は御屋形様の元へと向かう。

襖を活勢いよく開けると、甘味を口にしている御屋形様と陽菜がいた。

「犬、猿、揃ったか」

「はいっ!
もっとみる