ちーかま

新選組と恋乱大好きな似非歴女 おもに簡単な動画と画像編集作り、恋乱の二次小説を書いて…

ちーかま

新選組と恋乱大好きな似非歴女 おもに簡単な動画と画像編集作り、恋乱の二次小説を書いています ※二次小説は主にアメブロにて別名で書いています https://profile.ameba.jp/me

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  • 天下統一 恋の乱SS

    note限定の恋乱ショートストーリー置場

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    自分のことや、動画の作り方等を語っています

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スパークル【真田幸村】-天下統一 恋の乱- ✎

説明し難い感情を胸に、俺は一人庭で鍛錬をしていた。 雑念を払うように己を奮い立たせる事数時間、気がつけば空は薄暗く、ぼんやりとした月明かりが俺を照らしていた。 「もうこんな時間か…夕餉を取るのも忘れていたな」 「幸村様?」 廊下が軋む音に振り向くと、そこには陽菜が立ち尽くしていた。 「夕餉の場にいらっしゃらないと思ったら、こんな時間まで鍛錬ですか?」 陽菜は呆れ顔をしながら庭へ降り、俺へ手ぬぐいを差出してきた。 「あ…いや…俺に近づくな」 「えっ?」 顔を曇らせた陽菜を見てさらに焦りが募る。 「その…なんだ…俺は…今、汗臭いからな」 陽菜はキョトンとした顔をし、次の瞬間コロコロと鈴の様な笑い声を上げた。 「ふふっ…鍛錬お疲れさまでした」 「お疲れさまはお前もだろう。その…明日は祝言だというのに今日も働き詰めで…」 「それでしたら信幸様も同じです。今部屋に伺ったら、まだ仕事をされていました」 兄上の名が出たところで、心臓が掴まれたかの様な痛みを感じた。 「今から信幸様にお夜食をお持ちするんです。幸村様も如何ですか?」 「かたじけない。ではお願いするとしよう」 「ふふっ…承知しました」 陽菜はいそいそと台所へと向かって行った。 「失礼します」 湯を浴び、着替えを済ませたところで陽菜の声が聞こえた。 「お夜食をお持ちしました」 「これは…」 皿には甘い香りのする、穴の空いた菓子が山盛りに積み重ねられていた。 「きなこどうなっつです。幸村様お好きですよね?」 「あぁ、陽菜の作るきなこどうなっつは天下一品だからな」 「嬉しいです」 陽菜は茶を注ぎながら、赤い顔をして微笑んだ。 「お夜食を召し上がりましたら、幸村様も早くお休みくださいね。明日は剣舞を披露してくださると、信幸様から聞きました」 「あぁ、明日は兄上と義姉上の門出だからな」 陽菜は少し困った顔をして「何時も通りに陽菜と呼んでください」と言った。 「しかしだな、兄上と婚儀を結べは俺にとっては…」 「家族ですから」 「………」 「明日は幸村様と家族になる日でもあります。私にはそれが嬉しいんです」 「陽菜!」 「!」 俺は思わず陽菜の手を握りしめた。 「俺は…」 俺は陽菜に感じていた感情の正体に、ようやく気づいた。 (そうだ…俺は陽菜が…陽菜が好きだ) 「幸村様?」 「いや…何でもない。呼び止めて悪かったな。明日の晴れ姿楽しみにしている」 「はい!」 頬を染め退室する陽菜の姿を、俺はただ黙って見送った。 伝える事の出来ない言葉を胸に秘めながら。 ꕀ꙳ 私は思いつきやフィーリングで行動する事が多々あります。 この動画もSSも、ふと思いつきで作りました。 私の中で幸村さまは『恋に不器用な人』 そして『誠実な人』 そんなイメージを形にしてみました。

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      YURA YURA 【藤林朔夜】-天下統一 恋の乱- ✎

      弦夜影EDの後日談で朔夜目線です 「弦夜…抜け忍の庇い立てするなら、お前も始末する」 「もう後戻りは出来ねぇな…朔夜」 俺の半身である双子の兄である弦夜は、里の命より、任務よりも…この俺でもなく陽菜を選んだ。 何時かはこうなるのではないかと、心の奥底で思っていたのかもしれない。 俺の心中は驚くほど冷静だった。 「朔夜…わりぃな。死んでもらうわ」 「それは俺の台詞だ」 弦夜の鎖鎌が俺を襲う。  鎖鎌が俺の肩を軽くえぐった。 「チッ…」 今、俺の目の前にいるのはろくでなしの兄弦夜ではない。 忍である、藤林弦夜だ。 (本気だな…ならば) 俺は弦夜へと手裏剣を投げた。 手裏剣は弦夜の足をかすめ、鮮血が吹き出した。 「ぐっ…」 「弦ちゃん!朔ちゃん!」 弦夜の後ろで立ちすくむ陽菜が悲鳴に近い声を挙げた。 「安心しろ…直ぐに二人まとめてあの世へ送ってやる」 俺はクナイを強く握りしめ、地を蹴りだした。 「二人ともやめて!」   陽菜の叫び声が響いた瞬間、クナイは肉を切り裂く音を立てながら血にまみれていく。 「陽菜!」 弦夜の叫び声が響く。 クナイを振り下ろした俺の目の前には、右腕を血だらけにした陽菜がいた。 「朔ちゃん…止めて…弦ちゃんは朔ちゃんの…半身…なん…だ…から」 瞬間、頭の中が真っ白になった。 「陽菜!しっかりしろ!」 弦夜の腕の中で横たわる陽菜の顔はどんどん青ざめていき、右腕から流れる血は止まることはない。 「…」 俺は心は説明のしようがない感情に支配されていく。 「くっ…」 頭が痛い 胸が苦しい 咽るような血の匂いに吐き気がする 「俺は…」 呟いた瞬間、目の前の世界が反転した。 「!」 気がつけば俺は屋根裏部屋にいた。 「夢…だな」 魘されていたのか、全身が汗だくになっている。 「キキィ…」 飛丸は俺の胸元にしがみつき、心配そうな目を向けていた。 「飛丸…大丈夫だ…夢を見ていただけだ」 俺は褥から立ち上がり、忍装束に身を包んだ。 (そろそろ里に報告しなければ…弦夜が裏切ったこと、陽菜が怪我を負い、龍涙の作り手が絶たれたこと。三葉の里の始末をどうするか) ハラリと装束から何かが落ちた。 それを目ざとく見つけた飛丸は口で拾い上げ、俺に差し出した。 「三つ葉…」 遠い記憶が呼び戻される。 幼い頃に陽菜に誓った約束。 『陽菜と同じ名の三つ葉に誓う。俺はずっと陽菜の味方でいる』 初恋の女の子にずっと笑っていて欲しくて、交わした約束だった。 「ふっ…くだらない」 そう言いながらも、手に取った三葉を捨てることが出来ない自分がいる。 「こんな感情は…捨て去った…はずだ」 俺は三葉を強く握りつぶした。 「…」 痛む胸を抑えながら、俺は屋根裏部屋を出ていく。 「飛丸…行くぞ」 甘い感情は捨てて 俺は忍として生きていく 「それが俺の|運命《さだめ》だ」 ꕀ꙳ 先に書いた弦夜SSのコメントで 『朔夜目線はどうだろう』 といただきコネ(ノ)`ω´(ヾ)コネしました 弦夜の影EDは一見幸せそうなのですが、幼馴染の三人はずっと心に痛みを抱えて生きて行くのだと思います。

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        YURA YURA 【藤林弦夜】-天下統一 恋の乱- ✎

        弦夜影EDの後日談です ヒロインの名前は華、月ともに基本『陽菜』となっています あの夜、捨てる事など出来ないはずだった双子の弟の朔夜を裏切り、陽菜を選んだ。 その代償はあまりにも重かった。 朔夜の放った刃から俺を庇った陽菜は、右腕に大きな傷を負った。 それはただの薬師として生きて行きたいと願う陽菜の人生を奪った。 「弦ちゃん!凄いね!ほんと筋が良いよ」 「なんだよ、煽てて薬を量産させる気か?」 「褒めてるんだから素直に受け取ってよ」   「はいはい」 俺達二人は忍である事を捨て、小さな町を中心に薬を売り歩いている。 陽菜の右腕は日常生活は問題なく過ごせるくらいには回復したが、薬師として活動出来るほどではない。 あの時の朔夜が俺にどれだけの殺意を抱いていたのか…、それを受け止めた陽菜が感じた恐怖は如何ほどだったのか…考えるだけでぞっとする。 と、同時に陽菜に対する拭えない罪悪感を感じる。 「弦ちゃん、手が止まってるよ」 「あっ…わりぃわりぃ。サボってんのバレちまったな」 「もー!明日与助さんのところに往診に行く時に必要って言ったでしょ。あと花さんと小次郎さんと…」 「はいはい!真面目にやるよ」 俺は陽菜の代わりに薬を作るようになっていた。 自分で言うのもなんだが…俺の筋が良かったのか、陽菜の教え方が良いのか、『薬』として売るに値するものが作れるまでは、そう時間はかからなかった。 陽菜が願ったものとは違う未来。 それでも『幸せだよ』と笑う陽菜を愛おしく思う。 ある夜、呻き声で目が覚めた。 隣で寝ている陽菜がうなされている声だ。 陽菜は時折うなされ、その度に『夢見が悪いの』と言っていた。 どんな夢かと問いただすと、決まって『覚えていない』と答える。 強く揺り起こす事も出来たが、その日は陽菜の悪夢の原因が知りたいと思ったため、額に流れる汗を指でそっと拭いながら様子を見ていた。 「こんな時までろくでなしかよ…」 苦笑いが浮かぶ。 次の瞬間、陽菜が小さく叫び声を上げた。 「やめ…て…さ…く…ちゃ…」 俺は陽菜がどんな夢を見ているのかに気づいた。 俺が朔夜と決別した夜。 陽菜が朔夜に傷を負わせられたあの夜の夢だ。   急いで陽菜の肩を揺すろうとしたその時、陽菜は涙を流しながらこう呟いた。 「弦ちゃん…ごめんね…ごめん…朔ちゃんと…バラバラになっちゃって…唯一…の…半身…な…のに」 傷を負わせたのは朔夜だけじゃない。 俺が朔夜を捨て陽菜を選んだ事で、俺も陽菜に負い目を背負わせた。 「陽菜!」 俺は褥に横たわったままの、陽菜の小さな体を抱きしめた。 目覚めた陽菜が俺の腕の中で身動ぎするのがわかった。 「弦ちゃん…ごめん…怖い夢…見てたの。なんの夢だったのかな…覚えてなくて…」 「何も言うな!」   俺は陽菜に顔を見られたくなくて、さらに抱きしめる腕に力を入れた。 「弦ちゃん…泣いてるの?」 「泣いて…ない」 その嘘は陽菜に伝わらなかったのだろう。 陽菜は俺の背中に手を回し、黙ったまま優しく背中を擦った。 ꕀ☽ 弦夜の影EDを見た時に思ったこと 朔夜が可哀想だなぁ(T_T) 結果『初恋の女の子を手にかける』事になった朔夜 弦夜とヒロインはそれなりに幸せになれたけど…朔夜は? って思いました で、これ書いたり、ショート動画作ってて思ったこと 一番朔夜にさせたくない事をさせてしまった弦夜も可哀想だなぁ(´;ω;`) 影EDって幸せではあるんだけど…バットED感が拭えないんだよね

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          私の『作品』の作り方➂

          作品の作り方は前に二度書いたのですが 今回は天下統一 恋の乱の秀吉さまのショートストーリーについて書いて行きます そもそも私の中で秀吉さまはお笑い要員だったのですが 『恋の沸点が低そう』『叶わぬ恋をしてそう』 とか散々なコメントのやり取りの果に 『秀吉さま専用ヒロインを作ってはどうか』 というご意見をいただき、秀吉さま専用ヒロイン【琴音】が誕生いたしました 恋乱のヒロインって殿ごとに微妙に性格が違っていて(違うよね?) たぶんそれは各殿の好みが反映されているのだと思いますが それはガチ無視ポイッ( ・ω・)ノ ⌒ * おとなしくてちょっと後ろ向きな子にしました 内心「絶対に秀吉さまのタイプではない!」と思っています(笑) ヒロインの性格づけはいきあたりばったりです 勝手イメージでMATURIさんの『金魚すくい』で動画を作った後に同タイトルのショートストーリー(以下SS)を書いて そのSSに「二人の出会いを見たい」とリクエストをいただいたので、続きの「始まりの音」を書いた時に決めました 「始まり音」は琴音の名にかけて「はじまりのね」と読みます 秀吉さまと琴音は別シリーズのSSに関わって行きます それを踏まえて、先日バレンタインSSをアップしましたら、またいろいろネタ振りをいただいたので 若干方向転換中ブーン……ε( ε ˙³˙)з もう少し関係を進めてみようかなと思います 二人の行き着く先はもちろんハッピーエンドなのですが そこに行くまでの過程を書くのがこれまた楽しいのよ_φ(・ω・๑ )カキカキ

        スパークル【真田幸村】-天下統一 恋の乱- ✎

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          愛してる【織田信長】-天下統一 恋の乱- ✎

          信長さま外伝の後日談です ヒロインの名前は陽菜です 俺は光の中にいた。 眩さに目を凝らしていると、目の前に死んだはずの…俺が自ら手にかけた弟の信行が現れた。 「兄様、お探ししておりました」 信行は屈託のない笑顔を俺に向ける。 「美味しい饅頭を手に入れました。兄様に召し上がっていただきたく…」 そう言って饅頭を一つ俺に差し出した。 「一つしかないではないか」 「えぇ、ですから兄様に…」 俺は信行から饅頭を奪い取り、それを二つに割った。 「…ふん」 俺は割れた饅頭を見比べ、若干大きい饅頭を信行に差し出した。 「お前も食え」 「しかしこれは…」 「毒でも入っているのか?」 俺はガブリと小さい方の饅頭にかぶりついた。 「では、いただきます」 信行も饅頭にかぶりつき「美味しい」と笑みを浮かべる。 「信行…頬に餡がついているぞ」 俺は手を伸ばし、信行の頬についた餡を拭い取った。 「何時までも子供のようでいるな」 指についた餡を舐めると、信行は俺を眩しそうに見つめた。 「私はずっと…」 突然目の前が白く光る。 「兄様の弟ですから」 気がつけば俺は褥に横たわっていた。 傍らには陽菜が寝息を立てて眠っている。 「夢…か」 昨晩、陽菜に信行の話をしたからだろうか。 (何時もの恨めしそうに俺を責める夢ではなかったな…) 俺の心は驚くほど清々しかった。 何時もの様に一日が始まる。 朝餉を終えれば当然のように執務が待っていた。 俺は文机に積み上げられた書類を手にし、一つ一つ目を通していく。 何時もながら面倒な作業ではあるが、俺は次々と手に取り署名をしていく。 「♪〜」 つい鼻歌が口から漏れた事には我ながら苦笑したが、そのくらい俺の心は晴れ晴れとしているのだ。 気がつけば、光秀が生暖かい目で俺を眺めていた。 「なんだ?」 むっとして声をかけると、光秀はさらに目尻を下げ「いえ…なんでも」と答えた。 「何か言いたそうではないか」 「御屋形様が楽しそうなので、つい笑みがこぼれました」 「ふん…執務に楽しいもクソもなかろうが」 光秀にまで気づかれるほどの機嫌の良さに、我ながら呆れてしまう。 「この調子ですと、先延ばしにされていた件も今日中に片付きそうですね」 「貴様は俺を仕事漬けにするつもりか?」 「今の御屋形様なら、容易くこなせるかと」 (冗談ではない…) 光秀が「書類を取ってまいります」と言って退室した隙に、俺は部屋を飛び出した。 庭に出た俺は何時もの木に登り、身を隠した。 しばらくすると、光秀が俺を探す声が聞こえてきた。 「今日の分は終えたからな」 木の上で独りごちる。 光秀の声が近づき、俺は息を潜めた。 やがて竹箒で地を履く音と共に光秀の声が響いた。 「陽菜、御屋形様を見ませんでしたか?」 「いえ…お庭では見ておりません」 「そうですか…まったく困った方だ」 (困った奴は光秀、貴様の方だ) 「厩の方では?また城下に出られたのではないですか?」 「そうですね…」 光秀は深いため息をつき、厩の方へと向かっていった。 「貴様、でかしたぞ。褒美に絶景を見せてやろう」 木から降りて声をかけると、陽菜は小さな悲鳴を上げて竹箒を放り投げた。 「大声を出すな。光秀に気づかれる」 「はっ…はい!すいません」 俺は再び木に登り、陽菜へと手を伸ばした。 「早くしろ!光秀が戻ってくる」 「はい!すいません」 陽菜は慌てて俺の手を取った。 力を入れて、小さな体を一気に引き上げる。 柔らかい体を抱きとめると、陽菜の鼓動が煩いくらいに聞こえてきた。 「慣れぬ女だな」 「もう…信長様のされる事は何時も奇想天外で慣れません」 陽菜は苦笑しながら俺にしがみつく。 「そんな俺に惚れたのであろう?」 そう問いかけると、顔を真っ赤にして「はい…」と言って俯いた。 「久しぶりに信行の夢を見た」 そう言うと陽菜は顔を上げ、真っ直ぐに俺と向き合った。 「信行は笑いながら、俺に饅頭を寄越してきた」 「うふふ、信行様は信長様のお気持ちを掴むのが上手いのですね」 「そう言う貴様もな…」 はにかむ陽菜の頬をそっと撫でる。 「陽菜、貴様が傍にいたから乗り越えられた」 「私は…信長様のお傍におります。この後にさらなる苦難が待ち構えていたとしても、信長様と共に乗り越えていきたいです」 胸にあたたかいものが溢れる。 (これが『愛おしい』という感情なのだろうな) 「愛している」 「私も愛しています。信長様だけを…ずっと」 どちらからともなく唇を寄せた。 あたたかな口づけは、甘く冬空へと溶けていった。 𖧷。.⁺︶︶︶ 以前アメブロの方に中島美嘉さんの『愛してる』をイメージしてSSを書きました(恋乱のではない) 今回は同曲で動画を作ったので、それに合わせて書きたいなぁと思い書きました 信長さま、やっぱり一番好きです(*´艸`)キャ♡

          愛してる【織田信長】-天下統一 恋の乱- ✎

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          未来予想図 【犬千代/前田利家】-天下統一 恋の乱- ✎

          「犬千代?大切な話って何?」 幼なじみの陽菜は首をかしげながら、俺に問いかけてくる。 そんな仕草さえ可愛くて、緊張が走り俺は言葉に詰まるのだ。 (俺の気持ちをハッキリ言うだけだろ) そう己を奮い立たせるが、いざとなると言葉が詰まる。 「だからよ…」 何時からこの幼なじみが好きなんだと問われれば、遠い昔からだと答える。 「うん…あっ…もしかして」 「なっなんだよ!」 みっともなく声がびっくり返るが、陽菜は気にする様子もなく言葉を続ける。 「まだ戦に行くのかな…」 「違う!俺は!」 俺の心に不安が広がる。 何時また俺は戦に行くだろう。 陽菜を残して。   その時こいつは俺の帰りを待っていてくれるのだろうか。 そんな覚悟をこいつにさせて良いのだろうか。 違う。 こいつが…陽菜が帰りを待っていてくれるなら、俺は何があったって帰って来れる。 「俺は…」 言葉を絞り出し、勇気を出して陽菜と向き合った。 と同時に陽菜の肩越しに、こっちの様子を覗う秀吉が見えた。   秀吉は口をパクパクとさせ、俺に早く告白しろと催促を始めた。 「っ…わかってんだよ!」 「えっ?」 俺は陽菜の肩を掴んで叫んだ。 「好きだ!」 「うん、私も」 様子を見ていた秀吉がさらに何か言っている。 (言葉が足りねぇことくらいわかってんだよ) 「そうじゃなくて…」 「えっ?」 俺の否定的な言葉に、陽菜が顔を曇らせる。 (そんな顔させたいんじゃねぇ…) 「陽菜、俺は…俺と…」 「うっうん…」 俺は陽菜に向かって大声で叫んだ。 「俺と夫婦になれ!」 陽菜はきょとんとした顔で、俺を仰ぎ見ている。 「くっそ!なんで命令口調になっちまうんだよ!」 驚いたのか、陽菜は俯いてしまった。 「犬千代…」 「おっ…おぅ…」 「ちょっとだけかがんで」 「おぅ…」 叩かれるのを覚悟しながら、俺は腰を落とした。 次の瞬間、陽菜が俺の着物を掴み チュッ と小さな音とともに、頬に柔らかいものが触れた。 「我儘言って困らせるかもしれないけど、よろしくお願いします」 「んなもん…」 俺は陽菜の小さな体を抱き上げた。 「お前の小さい我儘くらい、何時だって叶えてやる。だから俺から離れんなよ!」 𖧷。.⁺︶︶︶ 誕生日おめでと(*ˊᵕˋ*)੭犬千代 私、この曲の 『私きっと これからも我儘ばかりで困らせるけど』 ってとこがめちゃくちゃ納得行かなくて 「(´・ω`・)エッ?悔改めよ」って思っちゃう(笑) けど、ふと思い出したこの曲が(私の知る限り)イメージかなぁと思いました

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          守りたい人 【織田信長】-天下統一 恋の乱- ✎

          あやつに昔の話をしたせいで、ガラにもなく感傷的になっていたのだろうか。 あの頃の夢を見た。 織田の再興を図るため非道を繰り返し、弟である信行を自ら手にかけ、魔王と呼ばれていたあの頃の夢を。 気がつけば目の前に見知らぬ女がいた。 女はポカンとした顔で俺の顔を眺めている。 「貴様…何者だ?」 女中に紛れた刺客かもしれない。 「名を聞いている。名乗れ」 だが女は口をパクパクとさせるだけで、何も言わない。 「やはり不審者か?」 腰の刀に手を伸ばし、鯉口を切る。 その音が響くと同時に、女は慌てて「違います!」と叫んだ。 「ふん…喋れるではないか」 何故が笑みが零れた。 女の慌てる姿が、俺に慄く小動物の様に見えたからだ。 しかし女は何かに気づいたかのように、声を震わせて呟いた。 「信長様?」 「貴様、何故俺の名を…」 よく考えればわかることだ。 この女が俺に差し向けられた刺客であれば、殺す相手の名前くらい知っているだろう。 だが俺は不思議とこの女を知っていると感じた。 見たこともないこの女を。 「信長様!」 女は俺へ手を伸ばしながら叫んだ。 「私はずっと貴方を…私が貴方をお守りします!」 やがて女の顔が歪み、やがて視覚が遮られていく。 身体が重くなると同時に、頭は澄み渡るように冴えていく。 光が俺の全身を包み込んでいく。 あたたかな光が俺を…。 覚醒すると隣で眠る愛おしい女が、うわ言の様に俺の名を呼んていた。 「私が貴方をお守りします!」 そう言いながら手を伸ばしている。 どうやら夢を見ているらしい。 しかも俺と同じ夢の様だ。 「夢の中の女は…貴様であったか」 額にかかる髪を指でそっと梳いてやる。 こめかみがピクリと動いたが、覚醒する様子はない。 「おい!起きろ」 軽く体を揺すると、小さく呻き声を上げた。 やがて瞼をゆっくりと開けて、寝ぼけ眼で俺をじっと見つめる。 「俺を守る…そう啖呵を切っておいて、まだ惰眠を貪るか?」 数回瞬きをして、俺の顔を不思議そうに眺める女を組み敷いた。 「眠りながらも俺の名を叫び、俺を守ると言ったな」 「えっ?あっ…はい」 女はまだ寝ぼけているのか、何度も瞬きを繰り返している。 「ならば約束は守ってもらう」 女の身を起こし、背中から抱きしめた。 俺は女の柔らかな体の熱を感じながら、首筋に顔を埋めた。 夢では感じられなかった、甘くあたたかい香りがした。 (あの時の俺では、手に入れる事が出来なかったものだな) 女は小さく「はい…」と呟き、恥ずかしそうに俯く。 そんな仕草すら愛おしく感じ、俺はさらに強く抱きしめた。 ✎ ------------------------ 信長さま外伝を読み始めてからずっとSSが書きたくて ヒロイン目線はYouTubeに上げたので、noteは信長さま目線です やっぱり推しは信長さま(*´艸`)キャ

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          私の『作品』の作り方②

          先日、恋乱の信幸さま(幸村さまのお兄さん)の動画を作りました その作り方をざっと説明します 使用したアプリはCapCutです 一分未満のショート動画なので、まず歌詞を見つつ画像を当て込む順番を決めます ざっと画像の流れを作ったら音楽を合わせて、頭から順番に画像の長さを決めていきます その間に画像を入れ替えしたりもします 大まかな流れが決まったら、音楽を聴きつつ画像と画像の間の切り替えや動きをどうするか決めていきます 上の動画だと、先頭からABCDと四枚の画像を切り替えしたので AB間は時が流れるようにふわりと切り替え BC間は暗転から明るくしていく CD間も暗転から明るくしていく といった感じ その間エフェクトを入れたり(桜の花びらや枯れ葉、雨など)、動きをつけたりしていきます で、その都度動きを見ながら細かく修正 出来上がったら何回か眺めて修正を繰り返ししていきます 『それでもそれでも 愛し続けるの 女は愚かな生き物なんです』ってところは、夜空の画像を重ね、段階を踏んで暗さを変えています 此処は6回以上調節しました 時間を置いてまた眺めて、また細かく修正の繰り返し 「これ以上直すのɿ(。・ɜ・)ɾわからん」 ってとこまで来たら、時期を見て動画を投稿します 信幸さまのストーリーは甘い展開ではなく、結構シビアだなぁといった感じです それがこの哀しい感じの『愛をする人』が合うかなぁと思い選びました と言うか、なんか動画作りたくなって来たので、まずは曲探しキョロ(「・ω・ )キョロ( 「・ω・)キョロ 色々と何曲かざさっと聴きながら「Σ(`艸´ )ハッ!!これは信幸さま!」って感じで決めました 一時VITAのテンプレートとMoShowの機能使ってショート動画をいくつも作っていましたが、面白いと思えるところは使い尽くしたので、今はCapCutで作っています 上の二つのアプリは画像を選ぶだけでショート動画が作れるので、初めての人のとっかかりにちょうど良いと思います 動画作りはかなり集中出来るので(*´꒳`*)ヨキヨキです

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          小さな祈り 【前田利家】-天下統一 恋の乱- ✎

          「で?今日は陽菜ちゃんと何で喧嘩したの?」 「してねぇよ!ちょっと言い合いになっただけで…」 陽菜は俺、前田利家の幼なじみで…今は恋仲の関係だ。 だが今朝些細な事で言い合いになり、謝る事もなく今に至る。 「だからそれが喧嘩でしょ」 秀吉の呆れ顔を無視して、俺は御屋形様の元へと向かう。 襖を活勢いよく開けると、甘味を口にしている御屋形様と陽菜がいた。 「犬、猿、揃ったか」 「はいっ!」 「はっ!」 御屋形様の呼び声に背筋が伸びる。 が、御屋形様の隣にいる陽菜が気になり、別の意味の緊張が走った。 陽菜も気まずい思いでいっぱいなのだろう。 御屋形様に茶を出したところで、そそくさと退出しようとしている。 「貴様も此処にいろ」 「えっ?私ですか?」 「それ以外誰がいる?」 陽菜は酷く緊張した顔で、俺の隣に腰を下ろした。 「今日呼び出したのは他でもない…貴様ら、今城下で流行りの甘味を買ってこい」 「えっ?」 秀吉が気の抜けた声を上げた。 「それが任務ですか?」 俺も驚きが隠せない。 「わかりました。美味しい甘味を買って参りますね」 陽菜はにこりと微笑み、秀吉へと視線を向けた。 「大変申し訳ございませんが、秀吉様に同行をお願い…」 陽菜が言いかけたところで、御屋形様が俺に視線を向けて言い放った。 「犬、貴様が同行しろ。猿には別の用事を言いつける」 「えっ?俺?」 「わんこくん残念だなぁ。俺も城下巡りしたかったけど、御屋形様の命とあらば仕方がないね」 ちらりと視線を陽菜に向けると、陽菜は引き攣った顔を隠せないでいる。 「さっさと出かけろ」 「はっはい!かしこまりました」 「承知しました」 俺と陽菜は渋々、御屋形様の部屋から退出をした。 城下まで来たのは良いが、さっきからずっと俺達の間には妙な空気が漂っていた。 「早く買って帰らなきゃね」 「おっおぅ…」 会話の一つも成立しない俺達の心の中はきっと『早く帰りたい』でいっぱいなのだと思う。 ほどなくして俺達は目的の菓子を手に入れ、清州城へと向った。 「…」 「…」 会話の無い時間は酷く長くて、俺達は居心地の悪さを感じていた。 「…犬千代、あのね」 「なっなんだ?」 突然陽菜に名を呼ばれ、声がひっくり返る。 陽菜が次の言葉を発しようとしたその時、突然雷鳴が響き渡り、雨が降り出してきた。 「ちっ…濡れるぞ」 俺は咄嗟に陽菜の体を引き寄せ、庇うようにして近くの軒下へと走った。 「濡れてないか?」 「私は大丈夫。犬千代が庇ってくれたから」 そう言いながら陽菜は手ぬぐいを取り出し、濡れた俺の着物を拭く。 「犬千代、屈んで。頭が拭けない」 「おぅ」 屈んで陽菜と同じ目線になった時、俺は口喧嘩をしていた事を思い出した。 俺は一瞬気まずそうな顔をしたのだろう。 陽菜も気づいたようで、黙って俺の髪を拭いている。 「…」 「…」 また重い沈黙が二人を襲う。 「…くしゅん」 だがそれを破るかのように、陽菜がくしゃみをした。 「やっぱお前体濡らしたんじゃねぇか」 「えっ?大丈夫だよ」 「嘘つけ」 俺は陽菜の肩を抱き寄せた。 「これでちょっとはあったかいだろ」 「うっ…うん」 陽菜の体から強ばっているのがわかる。 「雨止んだら担いで帰るからな」 「じっ自分で歩けるよ」 「馬鹿、あちこちにぬかるみが出来てる。足滑らせたら危ねぇだろう」 俺はまた、口喧嘩をしていた事を思い出した。 が、もうそんな事はもうどうでも良い。 俺は心の中で小さく祈った。 俺の想いを上手く言葉に出来るように。 俺の想いが陽菜へ届くようにと。 「お前の事…俺が守るんだって決めてんだ、ずっと前から。だから甘えろ」 驚いたように陽菜が俺の顔を見上げた。 「犬千代」 「なんだ?」 「ごめんね。有難う」 「俺も…悪かった」 「ふふっ」 「なんだよ?」 「何時もと一緒だなぁって。喧嘩しても、結局どちらからとなく謝って終わっちゃう」 「まぁな」 俺は陽菜を抱きしめる力を強くした。 「お前みたいなはねっかえりの相手出来るのは、俺しか居ないだろ」 「うん…」 陽菜も俺に体を預け、小さく頷いた。 「犬千代…」 「なんだ?」 「大好きだよ」 「俺も…お前に負けないくらい…」 雨がざっと強くなり、俺の声はかき消された。 だが陽菜に言葉は届いたのだろう。 陽菜は真っ赤な顔をして、背伸びをしながら俺の頬に口づけを落とした。 ✎ ------------------------ 動画の方は先にアップしてて ふと「久しぶりにnoteに投稿しよう!」 と思ってSSは急きょ作成φ=φ_(:P 」∠)_ 不器用な犬千代が…♡ カワ (๑´д`๑) ユス … ♡ そして秀吉さまと絡むのが好きです この歌は結構好き(●´ω`●) 歌詞も歌声も優しくてほっこりします

          小さな祈り 【前田利家】-天下統一 恋の乱- ✎

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          会津魂 ✎

          ✐幕末を強く生きた山本八重のお話です 私の愛する会津は戦火の中にあった。 西郷頼母様の奥方様を始め、戦の足手まといになるまいと考えた女達は自ら命を断った。 中野竹子様率いる娘子隊も戦火に散ったと聞いた。 私、山本八重…いえ、川崎八重は夫である尚之助様と一緒に鶴ケ城の射撃台へと向かった。 前線にいる指揮官は私の姿を見て、苛立ちを隠せない様子で『誰だ』と問うた。 「川崎尚之助の妻、八重でございます」 指揮官はさらに苛立った様子で『女の出る幕ではない』『出ていけ』など

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          私の『作品』の作り方

          『作品』と言えるような大作なんて作れませんが(*᠔´〰`*)。 今ショートストーリー(以下SS)を書いていて、ふと思ったんです。 頭を整理するついでに『作り方』を書いてみようって。 基本的にSSも、上のようなストーリー動画も、MADも作り方は一緒です。 『タイトル』 『書きたい場面』 『書きたい台詞』 のどれかが頭にあって、とにかく頭の中で コネ(ノ)`ω´(ヾ)コネ しながら作り始めます。 起承転結(ヾノ・∀・`)ナィナィ。 始まりから途中が出来て、その後は終わりまでひたすらキャラ達と走ります。 上のショート動画はブログ(別のところで別名で書いています)を書き終えた後、ふと 「これに音楽付けたら良いんじゃない( ゜д゚)ハッ!」 となって作りました。 この秀吉さまの願い事、公式さまのYouTubeで『身長にコンプレックスある』って言ってて、それで今回ネタにしました。 身長上乗せして申告してるとかって情報もあり(* ̄m ̄)プッそれがおかしくて。 この作品を作った動機はそれだけです。 あとは見た人が笑ってくれればいい。 今書きかけのSSも恋乱のもので、秀吉さまがキーパーソンになってます。 その秀吉さまの動向をどうするか迷い、一旦休憩してこれを書いています。 関係をかき回すのか、良い人で通すのか。 私の中の秀吉さまは何故か人の秘密を知っていて、迷ってる人の背中をポンと押す様な良い人。 さぁどうしようか(*ˊ艸ˋ)イヒヒ。

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          大好きだよ。【織田信長】-天下統一 恋の乱-✎

          ※天下統一 恋の乱の二次小説です。ヒロインの名は陽菜です。 天正十年六月二日早朝 本能寺は炎で赤く染まっていた 前日に信長様は本能寺にて茶会を開き、そのまま滞在をしていた。 私は茶菓子の準備はしたものの、茶会には参加しなかった。 今思えば少しの我儘を言ってでも同行すれば良かったのだ。 今生の別れとなってしまったのだから。 当時、本能寺のそばに光秀様の軍が居たという。 それ故に光秀様は謀反を疑われた。 しかし確たる証拠は何もない。 信長様の遺体は無く…首すらも見つからなかったからだ。 当時、光秀様は深手を負った体を引きずりながら放心した様子で燃え盛る本能寺から現れ、こう呟いたと言う。 「御屋形様自らが本能寺に火をつけ、炎の中へと消えていったのです」 信長様が居なくなってどのくらい経ったのだろう。 信長様亡き後は光秀様を中心とし、各武将達が日の本の国を分担して治めている。 私は秀吉様の元に身を寄せ、女中として働いていた。 信長様が居ないこと以外、何も変わらない。 虚しく寂しい気持ちが募るだけの毎日だ。 それでも秀吉様の気遣いもあり、私は少しずつ前向きに生きようと思い始めていた。 ある夜、眠れなかった私は縁側に腰かけ、夜月を眺ていた。 「陽菜ちゃん、眠れないの?」 「秀吉様、はい…信長様の事を考えていました」 「それでか!ずいぶんニマニマと笑っていたのは」 「えっ?私みっともない顔していましたか?」 秀吉様は慌てて顔を隠す私の隣に腰を下ろし、クスリと笑ってこう言った。 「良い笑顔だったよ」 恥ずかしさで赤くなる顔を隠していると、秀吉様がわざと覗き込むように顔を近づけてくる。 「本当に良い笑顔だった…悔しいくらい」 「えっ?」 「ううん、何でもない」 秀吉様は少し寂しげに笑った。 「そうだ、眠れないなら少し付き合ってもらおうかな。月見酒どう?少しは飲めるでしょ?」 秀吉様は準備してくるからと立ち上がり、その場を去った。 私はまた一人で月を見上げた。 次の瞬間息が出来ないほどの強い風が吹いた。 木々が揺れる音に混じり、誰が庭を歩いている音が響く。 木に陰に誰かの気配を感じた。 恐怖と驚きで声が出ない私に、その人物は声をかけてきた。 「息災か」 懐かしい声だった。 「ふん…俺が居なくて腑抜けたのではないか?」 月明かりに照らされて見えたその人は、ずっと会いたかった人だった。 「のぶ…なが…さま?」 震える声を抑えながら、私はその人へと近づいた。 「やはり貴様の甘味を食わぬと調子が出ぬ」 「本物…」 「足は付いておる。確かめてみろ」 差し出された手を取る。 確かな手応えとあたたかさを感じた。 「遅くなったが迎えに来た。来い」 有無を言わせぬ物言いに、胸が締め付けられる。 涙が溢れ、私の視界はぼんやりとした。 着物の袖で涙を拭うものの、長い間我慢していた涙は止まらない。 「あー…泣くな泣くな」 「だって…」 「だってもくそもないわ。…慰めてやるからこっちに来い」 信長様に腕を掴まれ、私は信長様の胸に飛び込んだ。 「何もかも捨てるつもりだった。だが貴様の事だけは諦め切れなかった。第六天魔王とまで言われた俺が…だ。滑稽であろう」 「いいえ」 「何故そう言い切れる?」 「だって…そのおかげでまた会うことが出来ました。もう…絶対に離さないでください!」 私は信長様の首に縋るように抱きついた。 縁側の方からカチャンと音がした。 振り返ると秀吉様が呆然と立ち尽くしていた。 「猿!こやつはもらっていく。貴様にはもったいない女だからな」 「まさか…」 月明かりに照らされていたのは、確かに織田信長その人だった。 側にいた陽菜ちゃんは凄く幸せそうで…消え去る二人を止めることは出来なかった。 「ははっ…やっぱり御屋形様には叶わないな…」 俺は一人猪口に酒を注ぎ、一気に飲み干した。 「でも…不思議とまた会える気がするんだ。だけど…」 二杯目の酒も煽るように飲み干し、俺は呟いた。 「告げる事の出来なかった陽菜ちゃんへの想いは、俺の胸に仕舞っておくよ」 ꔛ‬𖤐 動画作ってて、頑張って一曲丸々使おうか迷いましたが 『歌詞が切なくてこれ以上は( ꒦ິД꒦ິ)੭ु⁾⁾』ってなり断念 切ないままもなんかイヤ(・ω・`三´・ω・)イヤだったので、SSは信長さまの天下統一編に繋ぐ形にしました

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          引き金 -Trigger- ✎

          ※新選組副長土方歳三のお話です 初めは照れくさい感じのあった洋装にもすっかり慣れた。 当たり前のように結っていた髷も落とした。 ザンギリ頭の自分の姿は、自分で言うのもなんだが…なかなか様になっていると思う。 古参の連中には頑として着物と袴を脱がない奴もいる。 だが、若い連中を中心に洋装や銃を受け入れる奴は多い。 (近藤さんが見たらなんて言いやがるだろうな…) 独りごちると俺は手を腰の辺りにやった。 服装が変わっても、腰に使い慣れた刀があるのは変わらなかった。

          引き金 -Trigger- ✎

          約束 ✎

          ※新選組最後の局長とも言われている、相馬主計の妻であるマツ目線のお話です 相馬主計目線のお話はこちら↓https://note.com/gentle_iris231/n/nd54e26a22cbb  秋に咲く彼岸花という花は、赤い花色が火を連想させるのか、自らが持つ毒のせいなのか、不吉な印象を持つ人が多い。 死人花、地獄花、剃刀花…別名もおどろおどろしいものばかり。 彼岸花を家に持ち込むと火事になる、彼岸花を摘むと手が腐ると言う人までいる。 でも、私はそうは思わない

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          天上の花 -彼岸花- ✎

          「副長、血飛沫は彼岸花に似ていると思いませんか?」 俺、相馬主計がそう問いかけると、彼の人は苦笑いをしながら静かに頷いた。 「そうだな。相馬、次にあの赤い花を咲かせてあの世へ行くのは、俺かもしれないぜ」 「副長、縁起でも無い事を言わないでください」 「副長か…そう呼ぶ連中も、すっかり少なくなっちまったな」 「俺の中では貴方は新選組副長、土方歳三以外の何者でもありません!」 今にも消えてしまいそうだった。 だから引き止めたくて…俺は声を荒げた。 しかしそんな事は無駄だと知っている。 いつかは消える。 俺達が誰かの命を絶つように、何時か誰かが俺達の命を終わらせる。 それは俺達が自ら己に負わせた命運だからだ。 「彼岸花はよ、『天上の花』なんて粋な名前があるんだぜ。知ってたか?」 「いいえ。そのような知識は、俺には必要ありませんから」 「くくっ…お前らしい答えだな」 俺が思うに… 副長はロマンチストな傾向があると思う。 その証拠にこの後副長は、彼岸花をわざと曼珠沙華(まんじゅしゃげ)と呼び、その呼び名が法華経の法典に由来するだの、仏教では白くやわらかい花を指すだの、彼岸花の汚名を晴らすかのように言葉を続けた。 (彼岸に咲くのだから彼岸花で十分だと思うが…。それにどれもこれも、生きる事にも戦いにもまったく無関係だ。いや…もしかしたら、兵法や戦術に繋がる何かがあるのかもしれん) 俺は真剣に、副長の言葉に耳を傾ける事にした。 「言っとくが、今の話は兵法も戦術も関係ねぇぞ。単なる戯言だぞ」 「………はぁ…」 一度押し殺したため息が口から漏れた。 「憶えておけば、何時か話のネタにはなるだろうよ」 「ネタなんぞ俺には必要ありません」 「長く生きてたら、話のネタの一つや二つ持ってねぇと、頭が固いだけのつまらない男だと言われるぞ」 「構いません」 長く生きられる保障などどこにもない。 俺達は常に生死の間に生きているのだから。 「なぁ…相馬」 「はい」 「いつか俺がお前に告げた約束は、まだ生きているな?」 「はい」 「なら受け取れ」 「…」 差し出された封書を、俺はただ黙って受け取った。 あれから三年は経ったのだろうか。 明治二年五月十一日、弁天台場へ向かう途中で副長が戦死。 同年五月十五日、俺は恭順の書状に新選組局長として署名をした。 副長に何かあれば俺が新選組局長となる事、これは副長と交わした約束だった。 この日の出来事は、長き戦いの終わりへの序章であり、新選組が終焉へと歩き出す瞬間でもある。 逆賊として罰せられた俺は明治三年、新島へと流罪に処された。 新島で罪を贖いながら生きる俺は、ここで人並みに妻を娶る事となる。 マツは本当に出来た女だ。 多くを語らない俺に、ただ黙ってついてきてくれる。 俺のちっとも面白くない会話に、声を上げて笑ってくれる。 「旦那様、ご存知ですか?彼岸花は赤だけではなく白もあるんです。土方様がおっしゃっていた曼珠沙華は、その白い彼岸花を指していたのかもしれませんね。でも、旦那様のおっしゃる通り、あの花は彼岸の頃に咲くのですから、彼岸花という呼び名が相応しいと私も思いますよ」 そんな彼女と出会えた俺は幸せ者なのだと…心からそう思った。 だが、俺にはやり残している事が一つだけある。 それをすればこのささやかな幸せは壊れる。 マツの幸せを、俺がこの手で壊す事になる。 それでも…俺はそれをしなければならない。 交わした約束は、最後まで守らねばならないからだ。 『この手紙はお前が開ける時が来たと思った時に読んでくれ。内容は大した事じゃねぇ。今の話と同じ、単なる戯言だ』 部屋の中央に座した俺は、あの日に差し出された手紙を手に取り、封を切った。 この手紙は副長の遺書だと思っている。 だからこの手紙を開封してしまったら、あの人は逝ってしまう、そう思った。 だから開けなかった。 今思えばそんな呪いじみた事は、まったく意味を成さなかったのだが。 手紙を開くと、懐かしいあの人の文字が目に飛び込んで来た。 それだけで複雑な感情が胸に湧き上がり、不覚にも涙が零れそうになる。 深く息を吸い、俺は静かに手紙へと視線を落とした。 相馬主計殿 お前がこの手紙を目にしているって事は、俺はこの世にいないって事だろう。 そうあって欲しいと願っている。 上手く言えねぇが…これはお前への謝罪みたいなもんだ。 俺が死んだら、新選組の全てをお前に任せる お前のやり方で新選組を終わらせてくれ こんな呪いじみた言葉をお前に託した事をここに詫びる。この言葉は毒となり、お前の全てを壊しちまったかもしれねぇ。そうじゃなくても、お前の全てを奪い取っちまっただろうな。 それでも、俺にはお前しか思いつかなかった。 すまねぇ。 謝罪の言葉をどんなに羅列しても仕方がねぇとわかっている。 この手紙は俺の唯一の良心と…それと単なる自己満足でしかない。 そんな手紙を黙って受け取ったお前に、謝罪以外かける言葉もねぇが… 最期まで走り抜けたお前に深い感謝を贈る。 土方歳三 「副長…貴方が俺に与えた毒は俺の生きる糧の一つでした。貴方の言葉があったから、俺はここまで生きて来れたのです。感謝しているのは…俺の方だ」 俺が終わらせたとしても、新選組は生き残った者の中で生き続ける。 それは呪詛のような恐怖であり、輝かしい栄光であり、逆賊と言う汚名であり、懐かしい思い出でもある。 誰にも消す事は出来ない。 それでも俺は俺なりに、俺のやり方で新選組の幕引きをする。 それがあの日の彼の人と交わした約束だからだ。 俺は目の前にある短刀を手に取り、静かに鞘から引き抜いた。 「副長…生きる意味を与えてくれて、こんなにも大きな役目を俺に与えてくれて、本当にありがとうございました。そして俺に最期まで武士として死ぬ事を許してくれた事に、深く感謝しています」 腹に熱く、強い痛みが走った。 「ぐぅ…」 歯を食いしばり、そのまま真一文字に刀を走らせる。 「がっ…」 そして抉るように引き抜き、刃を喉へと当てた。 (マツ、すまない。そして…今までありがとう) 一気に短刀を引いた。 次の瞬間、俺は眼前の障子に釘付けになった。 (綺麗だ…) そこには毒を含んだ彼岸花が咲いていた。 それは怪しくも美しい天上への符。 全てを終えた俺は往く。 ꔛ‬𖤐 先にアップしました『天上の花 -曼珠沙華-』の対となるお話です 『曼珠沙華』と同様にアメブロに掲載(アメブロは別名義)していたものの再録です このお話には、妻であるマツ目線のお話があり、それもいずれ載せたいと思ます

          天上の花 -彼岸花- ✎

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          試行錯誤

          noteの使い方や方向を色々考えてまして… noteには ①画像加工 ②ガチな歴史SS(主に新選組) ③動画付きSS の三つを中心にアップしていこうと思います マガジンでカテゴリーの振り分けしてはいるのですが、タイトル一覧から見るとわかりにくいなぁと思い SSを含む作品には、タイトルの後ろに✎マークをつけてみました あんまり変わらなかったりして… (ノ´>∀<`)アチャ-