ひまわり【伊達成実】-天下統一 恋の乱- ✎

天下統一 恋の乱の二次小説です

ヒロインの名は陽菜です





背中を焼くような日差しを浴びながら、俺、伊達成実は庭弄りをしていた。

「珍しいな。お前が土いじりなんて」

振り向けば、陽を背に小十郎が俺を見下ろしていた。

「あっ?これか?じぃに続けってなー」

「伊庭野様は盆栽と生け花だろう」

小十郎のツッコミを軽く受け流し、俺は手を動かし続ける。

「…陽菜が置いていった花だな」

「大きく咲いただろ?やっぱり育てた奴の性格が出るんだよな」
 
俺は立ち上がり、目の前のひまわりを見下す。

「俺みたいな花だって言ってたんだ。太陽みたいで、陽に向かって真っ直ぐに咲いて」

「お前…自分の事を美化していないか?」

「なんだよ!せっかく人が思い出に浸ってるってのによ!」

振り向くと複雑そうな顔で、小十郎が立ち尽くしていた。

「泣くくらい後悔するくらいなら、引き止めれば良かったろうに」

「泣いてねぇよ」

陽菜を引き止めるのは簡単だった。

「でも…あの時の俺じゃあ…駄目だったんだよ」

俺は陽菜と一緒にひまわりの種を植えた事を思い出していた。






「これは夏に咲く【ひまわり】って名前の花の種なんです」

「へぇ~どんな花が咲くんだ」

「黄色い花弁の大きな花が咲くんですよ。太陽に向かって真っ直ぐに堂々と咲いて、成実様みたいなんです」

顔を赤らめ微笑む陽菜に胸が高鳴った。

そのまま引き寄せて唇を重ねた。

陽菜は一瞬体を硬くしたが、俺に身を任せるように体を預けてきた。

「好きだ…」

そう呟くと、陽菜は泣きそうな顔で「私もです」と答えた。

ただただ幸せだった。





だがある日、陽菜は京に帰ると言い出した。

「じぃに何か言われたのか?」

陽菜は黙って首を振ると、意を決したように言葉を紡いだ。

「成実様は私と居ると過去の事を思い出しそうになっています。私はそれが良い事なのかそうでないのかは…わかりません。思い出したその時に辛い思いをされるのなら、側で支えたいって思ってます」

「だったら…」

「でも、記憶を取り戻す事は本当に成実様の為になるのでしょうか?私は成実様には何時も笑っていて欲しくて…苦しそうな顔は見ていられなくて…その時が来た時の覚悟が…出来ないんです」

俺は何も言えなかった。
  
今ここで「行くな」と言っても、それはあまりにも軽い言葉にしかならない。

「ごめんなさい。ひまわりの咲くところ、二人で見たかったです…」

陽菜は静かに立ち上がり、俺の部屋を出ていく。 

俺は立ち上がる事も引き止める事も出来なかった。






「あーあ!土いじりも体力使うなー」

俺は背伸びをして、縁側へと向かう。  

「成実」

「なんだ?」

「今晩は酒でも飲むか?」

「ん…」

「笑っていない成実は気持ち悪いからな」

「なんだよ!それ!気持ち悪いっとのはよ!」

「らしくないと言うことだ」

小十郎は気遣う様に笑うわけでもなく、何時もの涼しい顔をしていた。

それがこいつなりの気遣いだということが痛いほどわかる。

「じゃあ小十郎の奢りな」

「あぁ」

俺は目を凝らし、翳りゆく太陽を眺めた。

(俺は陽菜の太陽にはなれなかった…でもいつか)

堂々と咲くひまわりは夕日を浴びながら、夏の風に身を任せ揺られていた










ꕀ꙳

初!

初!

初!成実さまSS

成実さまのED全部見てないけど(;・ω・)ゲフン

スチル全部集めてないけど(;・ω・)ゲフン

嫌いじゃないから(笑)

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